【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年12月24日 (水) ウ戦争を終わらせない圧力

植草一秀

トランプ大統領はウクライナ戦争のクリスマス終戦を目指していたと見られる。

しかし、その実現は困難と見られる。

戦況は明確。

ドネツク、ルガンスクの東部2州、ヘルソン、ザポリージャの南部2州の大部分をロシアが占有している。

戦況が逆転する可能性は極めて低い。

これ以上犠牲者を出さないためには戦争を終結するしかない。

しかし、ウクライナが頑強に抵抗している。

ウクライナのゼレンスキー大統領は昨年5月にすでに任期を満了している。

本来は大統領選を実施しなければならないが戦時を口実に大統領選を実施せず、ゼレンスキーがそのまま大統領の座に居座っている。

ウクライナ戦争の遂行にあたり、ウクライナに法外な額の援助が行われた。

その援助資金の取り扱いにおいて巨大な不正が行われている。

ゼレンスキー政権自体が巨大な汚職、腐敗の温床になっている。

この状況下にあるウクライナに追加の資金支援が計画されている。

ウクライナに対する資金支援を中止すれば直ちに戦争は終結する。

ところがEUを中心に巨大な資金提供が続いているために戦争が終結せず、停戦、終戦の見通しが立たない。

戦争の継続はウクライナ市民の犠牲を拡大させるだけで害悪が大きい。

第二次大戦では日本の敗戦が確実な状況であったにもかかわらず日本政府が戦争を継続したために国民の犠牲が飛躍的に拡大した。

沖縄、国内での大規模空襲、広島・長崎の原爆被害は日本政府が早期に敗戦を受け入れていたなら回避されたものである。

そもそもウクライナ戦争においてウクライナの正義は存在しない。

ウクライナ戦争は、ウクライナとウクライナ東部2州が独仏ロの関与の下で締結した「ミンスク合意」という内戦停戦合意をウクライナ政府が誠実に履行しなかったために勃発したものである。

西側メディアはロシアによる一方的な「侵略」と表現するが事実は違う。

ウクライナ政府は東部2州に対する軍事攻撃を強め、これに対応して東部2州が共和国として独立を宣言。

ロシアは2共和国を国家承認したうえで、集団的自衛権を行使するかたちでウクライナに軍事介入した。

ウクライナ戦争が発生するまでの経緯を検証することなく、ウクライナ戦争の原因を短絡的に捉えるべきでない。

ウクライナは独立して40年にも満たぬ歴史の浅い国である。

元はソ連邦の一共和国だった。

冷戦終焉に連動して独立したが、当初は親ロシア共和国であった。

この状況下で米国が地下工作を行い、2004年に親米政権が創設された。

大統領選で親ロのヤヌコビッチが勝利したが、米国が工作した市民運動が「不正選挙」を唱えて選挙がやり直しになった。

この過程で親米候補のユシチェンコが何者かによる毒薬攻撃を受けて顔がただれるという事態が発生した。

ユシチェンコ陣営は反ユシチェンコ陣営による謀略だと主張。

この主張で同情票が集まり大統領選再選挙でユシチェンコが当選。

親米政権が樹立された。

毒薬攻撃はユシチェンコ陣営による自作自演であった疑いが強い。

米国の地下工作による政権転覆であったと考えられる。

しかし、ユシチェンコ政権の金権腐敗は深刻で政権は早期に崩壊した。

正規の大統領選が実施されてヤヌコビッチがウクライナ大統領に選出され、親ロ政権が樹立された。

このヤヌコビッチ政権が2014年に破壊された

2013年11月、ヤヌコビッチ大統領はEUとの連携協定署名を先送りすることを決定。

ロシアが提示したウクライナ支援策を受けた方がウクライナ国民にとって利益が大きいと判断したためだ。

しかし、ヤヌコビッチ大統領の署名先送り決定に合わせてウクライナの首都キエフで大規模市民デモが組織された。

これと合わせて民間テレビ局が3局も同時に創設された。

そのうちのひとつはジョージ・ソロスによる資金投下によるものである。

キエフにあるマイダン広場に市民が集結した大規模デモを水面下で工作・指揮したのは米国であると見られる。

続きは本日の
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第4288

「ウクライナ戦争の真実」
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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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