【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年12月25日 (木) ツッコミ処満載日経御用記事

植草一秀

高市内閣が18.3兆円の補正予算を成立させて臨時国会が閉会した。

ガソリン等の暫定税率廃止などが決定されて歓迎する声もあるが騙されてはいけない。

ガソリンの暫定税率は12月31日に、軽油の暫定税率は26年4月1日に廃止される。

ガソリンについては税率引き下げでなくガソリン価格高騰対策として補助金が支出されてきたが、12月11日には補助金の額が暫定税率と同額の1リットル当たり25.1円まで増額されており、暫定税率廃止と同等の効果がすでに発揮されている。

暫定税率廃止による税収減=減税額は年額で国・地方合わせて1.5兆円程度。

1.5兆円減税が実施されることになる。

ただし、単純に減税が行われるわけではない。

暫定税率を廃止する法の附則には25年末までに法人税の租税特別措置の見直しなどで捻出する方針が明記された。

さらに、これで減税財源が不足場合には、今後1年程度で追加的な財源の具体策の結論を出すとした。

「ただで減税はやらない」

ということ。

日経新聞は財務省の御用新聞と化している。

12月24日朝刊に高市首相単独インタビュー記事を掲載。

「無責任な減税しない」

の大見出しを打った。

「無責任な減税しない」の意味が分かりいくい。

「無責任な減税」はしないが「無責任でない減税」はするということなのか、

それとも「減税は無責任」だから、「減税をしない」ということなのか。

記事の狙いは「大規模減税」を封殺することにある。

これは財務省の意向で、これをそのまま記事にしている。

記事の核心は消費税の重要性の強調。

1.消費税は税収や景気や人口構成の変化に左右されにくく安定している

2.所得税のように現役世代など特定の層に負担が集中することがない

3.社会保障の財源として活用されている

4.社会保障給付という形で家計に還元されている

ことが記された。

3と4はまったく無意味。

3については、消費税は歳入の話で社会保障は支出である。

社会保障の財源が消費税である必要はなく、所得税でも法人税でもまったく問題がない。

消費税が必要という理由にはまったくならない。

4の「社会保障給付という形で家計に還元されている」も意味がない。

国の財政支出をどのように決定するかという支出の側の問題で、特定の財源と特定の財政支出を結び付ける意味がない。

そうなると、消費税のメリットとして挙げられるのは1と2ということになるが、これも正しくない。

1の「税収や景気や人口構成の変化に左右されにくく安定している」は財政の機能の一部を否定するもの。

景気がよいときに税収が増えると景気を抑止する効果がある。

景気が悪いときに税収が減ると景気を支える効果が発揮される。

これが財政の「景気安定化効果」=ビルトインスタビライザーである。

消費税にはこの機能が少ない。

2は「所得税は現役世代など特定の層に負担が集中する」から良くないの意味だが、戦後税制の根幹は「応能負担」である。

税負担能力の大きな人に多くの負担をしてもらい、税負担能力の小さな人の負担を減らすという考え方。

所得税制度の金融課税が金持ち優遇になっているが、この金持ち優遇を是正すれば高齢世代でも金融所得が多い高所得者には応分の負担が課されることになる。

所得税の負担は税負担能力の大きい人に多めの負担をしてもらうのが原則で、これを「特定の層に負担が集中する」というのはおかしい。

この文は「若い層に過大な負担がかかる」ことを匂わせているが、所得税制度を是正すれば、若くて税負担能力の低い者の負担は低くなり、高齢でも税負担能力の高い人には大きな負担を求めることができる。

かくして、高市氏の説明は消費税減税を排除する理由にまったくなっていない。

続きは本日の
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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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