【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.12.30XML : 高市発言から東アジアでの軍事的な緊張が急速に高まり、露国も中国支援を宣言

櫻井春彦

 ドナルド・トランプ米大統領は12月28日、フロリダ州にある彼自身の別荘「マール・ア・ラーゴ」でウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーと会談したものの、戦場で圧倒的に有利な状態にあるロシアの要求をゼレンスキーが拒否している状態に変化はないようだ。

 

しかし、キエフでは変化も見られる。GUR(国防省情報総局)のキリーロ・ブダノフ局長は、戦争終結のためにロシアと交渉しなければならないことを認めていた。また、ゼレンスキーのライバルとされている元ウクライナ軍最高司令官のバレリー・ザルジニー駐英大使は1月4日から5日にかけて現職を退任し、キエフに戻る準備を進めているという。

 

トランプ政権はベネズエラに対して軍事的な圧力を強め、軍事侵攻する姿勢も見せ、カリブ海でロシア、中国、イランとの対立を強めているが、東アジアでは台湾に対し、111億ドルを上回る規模の兵器パッケージを承認。その中にはM142 HIMARSシステム82基、M57 ATACMSミサイル420基、精密誘導ロケット1200発以上が含まれている。M57ミサイルの一部は最大射程距離が約500キロメートルと推定される最新型のミサイルだという。

 

それに対し、中国軍は12月29日、台湾の北西部および南西部の海上で実弾射撃訓練を実施していると発表した。駆逐艦、フリゲート艦、戦闘機、爆撃機、無人航空機(UAV)が参加していると伝えられている。かつて日本は台湾を中国侵略のための「航空母艦」として利用したが、第2次世界大戦の直後に中国を属国化しよとしたアメリカにしろ、アヘン戦争で侵略したイギリスにしろ、同じように考えている。

 

台湾に対するアメリカの兵器パッケージ供与は対中国戦を想定しているが、その前に高市早苗首相は衆院予算委員会で「台湾有事」について問われ、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言した。

 

歴代の日本政府と同じように高市首相も「ひとつの中国」を受け入れているようなので、中国で内戦が始まった場合、日本は中国に対して宣戦布告するということになる。しかも高市首相は11月11日、衆院予算委員会で「核を保有しない、製造しない、持ち込まない」という非核3原則を堅持するかどうかという質問に対して明言を避けた。

 

11月23日には小泉進次郎防衛相が与那国島を視察した際、同島にミサイルを配備する計画を発表。与那国島、奄美大島、宮古島、石垣島へのミサイル配備はアメリカ国防総省のプランに従っている。そうした琉球諸島の先にある島が台湾だ。

 

アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書は、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画について説明している。​アメリカの計画に基づいて自衛隊は軍事施設を建設したと言えるだろう。核弾頭を搭載できるトマホークを配備するともされているが、トマホークが発射されたなら、相手は核弾頭が搭載されているという前提で反応する。つまり核兵器で反撃される可能性がある。

 

GBIRMで中国を包囲する計画は2016年の前に作成されているはずであり、高市早苗首相が11月7日に衆議院予算委員会で行った「台湾有事発言」を「舌禍」と呼ぶべきではないだろう。アメリカ軍の対中国戦略を始動させるために発言した可能性が高い。

 

そして12月18日、「高市早苗政権で安全保障政策を担当する政府高官」が日本は核兵器を保有すべきだと記者団に対し、「オフレコ」という条件で語ったと伝えられている。日本がアメリカの一部勢力と手を組み、核兵器の開発を進めてきたことは本ブログで繰り返し書いてきた。

 

ちなみに、日本が派兵、植民地化するまで台湾はひとつの国とは考えられていなかった。先住民は部族単位で、そのほか福建省や広東省から渡った人びとが生活しているだけ。台湾がひとつの集団と見做されるようになるのは日本が統治するようになってからだと言われている。

 

軍事的な緊張が高まる東アジア情勢について​ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は12月28日、「台湾問題は中国の内政問題」であり、「北京には主権と領土保全を守るあらゆる権利がある」とロシアは考え、いかなる形態においても台湾の独立に断固反対するとていると語った​。

 

中国とロシアの関係は良くないと主張する人が日本にもいるが、両国は2014年以降、関係を強めている。この年の2月にバラク・オバマ政権はウクライナでクーデターを成功させた。このクーデターを拒否するウクライナ人は少なくなかったが、ネオ・ナチを中心とする集団によってビクトル・ヤヌコビッチ政権は倒され、南部のクリミアはウクライナから離脱してロシアと一体化、東部では武装抵抗が始まり、その戦闘は現在も続いている。

 

2014年の9月から12月までの期間、香港で「佔領行動(雨傘運動)」という反中国運動があった。リーダーのひとりだった李柱銘はワシントンDCを訪問し、CIAの資金を扱うNEDで物資の提供や政治的な支援を要請した。

 

そのほかの指導者には香港大学の戴耀廷(ベニー・タイ)副教授、陳日君(ジョセフ・ゼン)、黎智英(ジミー・ライ)が含まれ、余若薇(オードリー・ユー)や陳方安生(アンソン・チャン)も深く関与していた。黎智英はネオコンのポール・ウォルフォウィッツと親しいとも言われている人物だ。

 

佔領行動にはアメリカのCIAとイギリスのMI6が関係している。​1989年に中国では学生による抗議活動があった​が、この活動にもCIAが深く関係している。

 

まず認識しなければならないのは、この年の1月にジョージ・H・W・ブッシュがアメリカ大統領に就任した事実。この人物はジェラルド・フォード政権の時代、1976年から77年にかけてCIA長官を務めているのだが、CIA入りしたのはエール大学時代だと考えられている。

 

ブッシュの父親であるプレスコットは上院議員になる前、ウォール街の金融業者。アメリカやイギリスの金融資本はナチへ資金を提供していた。

 

スイスで設立されたBIS(国際決済銀行)や第2次世界大戦が勃発する半年ほど前にドイツへ約2000トンの金塊を渡したと言われているイングランド銀行のほか、ディロン・リード、ブラウン・ブラザース・ハリマン、ユニオン・バンキングなどもナチへの資金援助で重要な役割を果たした。そうした金融機関の経営陣にはジョージ・ハーバート・ウォーカー、その義理の息子であるプレスコット・ブッシュ、ブッシュと同じエール大学のスカル・アンド・ボーンズに入っていたW・アベレル・ハリマンも含まれていた。

 

当時、ウォール街の弁護士だったアレン・ダレスとプレスコット・ブッシュは親しく、おそらくダレスはジョージ・H・W・ブッシュを子ども時代から知っていた。

 

エール時代からジョージ・H・W・ブッシと親しくしていたジェームズ・リリーもCIAの高官だが、そのリリーをブッシュ大統領は1989年4月に中国駐在大使に据えた。ちなみに、その前任大使であるウィンストン・ロードもエール大学の出身で、3人とも学生の秘密結社スカル・アンド・ボーンズのメンバーだったと言われている。

 

リリーが大使に就任する5日前に胡耀邦が死亡、それを切っ掛けにして天安門広場で大規模な抗議活動が始まった。その活動には投機家のジョージ・ソロスから中国改革開放基金などを通して資金が流れ込み、リリーをはじめとするCIA人脈が関係していたことがわかっている。

 

そうした活動の指導グループには方励之、柴玲、吾爾開希などが含まれていたが、こうした人びとは抗議活動が沈静化した後、イエローバード作戦(黄雀行動)と呼ばれる逃走ルートを使って国外へ脱出している。その際、中継地になったのが香港。そこからフランスを経由してアメリカへ逃れた。このルートを運営していたのはアメリカのCIAとイギリスのSIS(通称MI6)だ。

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※なお、本稿は「櫻井ジャーナル」https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/のテーマは「 高市発言から東アジアでの軍事的な緊張が急速に高まり、露国も中国支援を宣言 」2025.12.30XML)
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