植草一秀【連載】知られざる真実/2026年1月 3日 (土) 米国の侵略は非難しないのか
社会・経済ベネズエラの首都カラカスで1月3日未明に複数回の爆発があり、米国のトランプ米大統領が自身の交流サイト(SNS)で
「ベネズエラへの大規模な攻撃を成功裏に実施した」
と明らかにし、ベネズエラのマドゥロ大統領と妻を拘束したと発表した。
共同通信が伝えている。
トランプ政権はベネズエラが米国への麻薬密輸に関与していると主張して軍事圧力を強めてきた。
25年12月下旬には麻薬組織が船に麻薬を積み込む港湾地域を攻撃。
これがベネズエラへの初の地上攻撃だった。
ベネズエラは「米国による違法な武力行使」だとして国連安全保障理事会の緊急会合を要請。
トランプ大統領は3日午前11時(日本時間4日午前1時)にフロリダ州の私邸マールアラーゴで記者会見する見通し。
CNNテレビは米上院軍事委員会が事前通知されていなかったと報じた。
この問題について鳩山友紀夫元総理は12月3日、Xでベネズエラ空爆に踏み切ったトランプ米大統領を批判した。
鳩山元総理はXで
「ウクライナ戦争が未だ終焉せず、ガザでは雪混じりの雨で子どもたちは凍死と餓死と爆死に晒されている中、トランプ大統領はベネズエラの首都カラカスを軍事攻撃した。麻薬密輸組織対策としても殺人行為が許されるわけはない。船舶への空爆でも80人以上が殺されている。高市首相、トランプを制止すべし」
と投稿した。
ロシアがウクライナで軍事作戦を始動させたとき、米国をはじめとする西側メディアは「ロシアによる侵略」であるとして非難した。
ロシアの行動を「力による現状変更」だと批判して、「力による現状変更」を許してはならないとしてきた。
米国がベネズエラに対して武力攻撃を始動させたことを西側メディアはどう報じるのか。
かつて米国はイラクに軍事侵攻した。
イラクが大量破壊兵器を保持していることを理由に軍事攻撃を行った。
国連安保理決議を踏みにじるかたちで武力行使に突進した。
しかし、イラクから大量破壊兵器は発見されなかった。
100万人ものイラク市民の命が失われたとも言われる。
しかし、西側メディアは米国の侵略、侵攻を非難しなかった。
ロシアの軍事行動を「侵略」、「侵攻」と非難するメディアが米国によるベネズエラに対する武力行使を「侵略」、「侵攻」と非難しないのは明らかなダブルスタンダード。
市民はメディアが発する情報が歪(いびつ)の極致であることを知っておく必要がある。
米国での麻薬問題への対応を適切に行うことは必要だろう。
しかし、これと他国への一方的な武力行使、戦争行為とは別次元の問題。
ロシアによる軍事作戦始動を非難しながら自国のベネズエラでの軍事作戦始動を肯定するロジックは存在しない。
鳩山元総理の指摘が正しい。
ウクライナを正義の国としてロシアを悪の権化としてきた日本のメディアはベネズエラへの侵略、侵攻を行う米国を非難するのか。
米国陸海軍の特殊部隊デルタフォースがベネズエラのマドゥロ大統領夫妻を拘束したと伝えられている。
他国が米国に軍事侵攻してトランプ大統領夫妻を拘束することを米国は容認するのか。
ベネズエラの近隣国は米国を批判。
地域情勢が緊迫化することになる。
トランプ政権は、麻薬カルテルを「武力紛争の敵対勢力」と位置づけ、議会の承認を得ることなく軍事行動の法的根拠を拡張する措置を講じてきた。
トランプ政権の行動に対して大統領権限の不当行使との批判も高まっている。
トランプ大統領の対ベネズエラ強硬姿勢の背景に経済的利害も関わっているとの見方が強い。
ベネズエラは世界有数の石油資源大国であるが、そのベネズエラ・エネルギー部門に米国企業が参入することが目論まれていると見られる。
ウクライナ紛争で「力による現状変更」を批判する国が率先して「力による現状変更」を強行しているとしか見えない。
高市政権は米国による「力による現状変更」への行動を強く非難する声明を発するべきだ。
続きは本日の
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第4297
号
「米国がベネズエラ軍事侵攻」
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植草一秀の『知られざる真実』2026年1月 3日 (土)「米国の侵略は非難しないのか」
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植草一秀
植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050


















