☆寺島メソッド翻訳NEWS(2026年1月9日):平和になれば何でも手に入るのに、なぜEUは戦争をしようと主張し続けるのか?
国際※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。
ヨーロッパはもはや、夢遊病のように破滅への道を突き進んでいるわけではない。目を大きく見開き、拳を握りしめ、不穏な道徳的自己満足感を抱きながら、破滅へと突き進んでいるのだ。ドナルド・トランプ率いる米国が外交や自制、そして戦略的現実主義に立ち返りつつあるまさにその時に、欧州連合(EU)の支配層は対立の激化や経済的自滅、そしてロシアとの永続的な対立を選択している。
これは美徳を装った政治思想への執着である。EUが最近、凍結されたロシアの国家資産を没収しようとしていることほど、この道徳的・知的崩壊を如実に表しているものはない。EUとドイツは、最大2100億ユーロに上るロシアの国家資金を没収し、ウクライナに送金する計画を承認するよう加盟国に強硬に圧力をかけている。これは、世界金融体系の基盤である主権免除と財産権の原則、そしてその中でEU自身の信頼性に対する正面攻撃である。
この計画が真剣に検討されたという事実は、欧州の指導者たちがいかに現実からかけ離れているかを物語っている。国家資産の没収は、今後何十年にもわたってEUを悩ませる前例となり、国際投資家の信頼を揺るがし、欧州における法的保障が政治的な流れに左右されるということを示すものだ。
よりによってベルギーが、意外な理性の声を上げた。凍結されたロシア資産の大半はベルギーに登記された国際金融機関ユーロクリアによって保有されているため、ベルギー当局は当然のことを理解していた。ロシアが国際仲裁でこの窃盗に異議を唱える場合、欧州委員会ではなくベルギーが代償を払うことになるのだ。EU首脳はこの正当な懸念を認めるどころか、ベルギーを全面的に圧倒することを検討し、政治思想への執着という祭壇の上で国家主権を犠牲にしたのである。
欧州連合は今や、世界に法の支配について説教しながら、都合が悪いときには積極的にそれを破壊しようと陰謀を企てる集団となっている。
12月18~19日にブリュッセルで開催されたEU首脳会議で、ついに決着がついた。16時間に及ぶ激論の末、欧州各国政府はロシア資産の没収について合意に至らなかった。これは、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長と、ドイツにおける対ロシア対立の最も積極的な推進派としてますます存在感を高めてきたフリードリヒ・メルツにとって、屈辱的な敗北となった。

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しかし、EU首脳は一歩引く代わりに、現実に直面したときにいつもやること、つまり借金をするという行動に出た。
ロシアの資産を盗むことは不可能であるため、EUは900億ユーロのEU共同債務に基づく「緊急」計画に合意した。この資金はウクライナ政府に移管され、返済はされない。これは援助ではなく、EUが既に戦略的に敗北している戦争を長引かせるために、ヨーロッパの納税者から富を恒久的に移転する行為である。
欧州市民は相談を受けなかった。そもそも相談されることなどない。彼らはただ、債務返済額の増加やインフレ、そして公共支出の削減という形で、ただ代償を払うだけなのだ。そして、自らの決断の結果を決して受け入れることのない支配者層から、価値観や犠牲について説教されるのだ。
しかし、この狂乱の渦中にあっても、亀裂が生じつつある。チェコやハンガリー、スロバキアは、EU当局の崖っぷちに追随することを拒否した。アンドレイ・バビシュやヴィクトル・オルバン、ロベルト・フィツォといった各国の指導者たちは、資産没収や際限のない債務、そして永続的な戦争に反対の立場をとった。そうすることで、彼らは主権主義的で平和志向の視座を明確に打ち出し、その視座は中央ヨーロッパ全域で静かに広がりつつある。これらの国々は、EU当局が直視しようとしない単純な真実、すなわちEUは最大の隣国を永続的に悪者扱いし続けることで未来を築くことはできない、という真実を理解しているのだ。
この変化が米国政府から送られる明確な信号と一致しているのは偶然ではない。トランプ政権は明確にこう表明した。リベラルな教義と終わりなき戦争に挑む意志を持つヨーロッパの愛国的勢力を支援する、と。数年ぶりに、ヨーロッパの反体制派はもはや孤立していない。
EU当局を怖がらせているのはロシアではなく、EU市民が別の道が存在することに気づく可能性だ。
欧州の進歩主義者とリベラル・グローバリスト(世界の一体化を目指す人々)は、一種の集団狂乱状態に陥っている。対立の激化に疑問を呈する者は不道徳と烙印を押され、交渉に言及する者は裏切り者と非難される。その結果、外交政策は結果ではなく、感情的な同調と見世物的な憤りに突き動かされている。欧州の指導者たちは価値観について延々と語るが、その結果については無視している。
ドナルド・トランプはEUを、弱体な指導者に支配された腐敗した国々の集まりだ、と評した。欧州委員会の反応は、完全な否定で、フォン・デア・ライエンをはじめとする「優れた指導者たち」への自画自賛的な感謝表明にとどまった。EUの統治階級と、彼らが代表すると主張する社会との間の溝を、これほど如実に表しているものはない。

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一方、現実が迫り来る。フリードリヒ・メルツは今、多くの人が懸念していたことを公然と認めた。NATO軍がウクライナでロシアと直接交戦する可能性がある、というのだ。これはもはや仮説上の危ではなく、ヨーロッパの現在の軌道における論理的な終着点である。対立の激化は対立の激化を呼ぶ。超えてはいけない一線は消え去る。「支援」として始まったものが、核保有国間の直接対決へと一歩ずつ近づいている。
同時に、EUは経済的に自らを妨害し続けている。つい数日前、欧州議会の圧倒的多数が、2027年後半からロシア産ガスの輸入を禁止することに賛成票を投じた。その理由としては、またしても独立と繁栄を謳い文句にしていたが、今回もまた、その逆の結果をもたらすことになるだろう。
エネルギー価格は恒久的に上昇するだろう。産業界はEUから撤退し続けるだろう。一般のヨーロッパ人は、より貧しい生活を送るためにより多くの費用を負担することになるだろう。しかも、これは道徳的な理由から必要だ、と告げられている。ハンガリーとスロバキアは、EUのEU禁止措置が美徳を装った経済的破壊行為であることを自覚し、既にEUに対し法的措置を講じている。
急進的な環境政策と攻撃的な文化的進歩主義と相まって、この方向性は単なる見当違いというだけでなく、自殺行為である。EUは経済停滞や社会的な緊張、そして戦略的重要性の喪失の領域へと変貌を遂げつつある。20世紀初旬、ドイツのシュペングラー著『西洋の衰退』はもはや予言ではなく、日に日に明らかになっていく事実のように思える。
こうした背景から、トランプのロシアに対する方向性は、修復的であるように見える。米国側は、終わりのない代理戦争は誰にとっても、ましてやウクライナにとって何の利益にもならないことをますます理解している。トランプ政権の目標は明確だ。戦争を終結させ、地域を安定させ、ウクライナを再建して人々が普通の生活を送れるようにし、ロシアとの現実的な関係を回復させることだ。
これこそが責任ある大国政治の姿である。この現実主義は世界秩序にも及んでいる。ホワイトハウスがロシアのG8からの追放を遺憾に思い、米国と中国、ロシア、インド、日本の「コア5」という新たな枠組みに前向きな姿勢を示したことは、力に対する冷静な評価を反映している。これらの国々こそが世界の行方を左右する。EUは、どんな巧言を並べ立てても、実際にはそうではない。EUがそのような枠組みから脱落していることは、侮辱ではなく、単なる帰結に過ぎない。

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EUは自らの傲慢さと妄想によって自らを排除してきた。戦略を政治思想に、指導力を官僚機構に外注することで、EUは自らの存在意義を失ってしまった。皮肉なことに、ヨーロッパは依然として間接的に、つまり西欧の支配者層が放棄した伝統的なヨーロッパ文明の価値観の擁護者としての立場を強めつつあるロシアによって代表されることになる。
偉大な、そして暗黙の真実はこれだ。米ロ関係の修復は、ヨーロッパにとってあらゆる利益をもたらす。平和は、エネルギー価格の低下や貿易の回復、安全保障上の危険の軽減、そしてヨーロッパ内部の亀裂を修復する余地を意味する。ロシア当局との正常な関係は譲歩ではなく、必要不可欠なのだ。
しかし、EU当局は驚くべき決意で和平に抵抗している。なぜか?それは、和平によって説明責任が問われるからだ。長年にわたる壊滅的な誤判断が明るみに出て、EU支配層が必死に固執する道徳的無謬性という神話を打ち砕くことになろう。
トランプが主導する米国は前進している。西欧は抵抗を続けている。
EUが再編しない限り、戦争への執着を捨て外交を回復しない限り、衰退の一途を辿ることになるだろう。ヨーロッパの敵は平和ではない。平和の否認が敵なのだ。
※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS http://tmmethod.blog.fc2.com/
の中の「平和になれば何でも手に入るのに、なぜEUは戦争をしようと主張し続けるのか?」(2026年1月9日)
また英文http://tmmethod.blog.fc2.com/原稿はこちらです⇒The EU has everything to gain from peace. Why does it keep insisting on war?
米国が奈落の底から一歩退いたまさにその瞬間、西欧の支配者層はユーラシア大陸を奈落の底に近づけようとしている。
筆者:ラディスラフ・ゼマネク(Ladislav Zemánek。中国のCEE(中国東欧)研究所の非在留者研究員、ヴァルダイ討論委員会の専門家
出典:RT 2025年12月29日https://www.rt.com/news/630203-us-peace-eu-war/
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