【特集】ウクライナ危機の本質と背景

私たちが見ていないもの、そして、モヤモヤ感:ウクライナ戦争への視座─平和学から考える─

安斎育郎

1.原発問題で国家と対峙した時代—「ガラスの檻に幽閉 17 年」を支えたもの

2.ウクライナ戦争—見せられているもの、隠されているもの

(1)ウクライナ戦争勃発の一つの理由は、アメリカを盟主とするNATO によるウクライナ加盟問題

◆2008年4 月 ブカレストNATO首脳会議:ジョージアとウクライナの将来的加盟

◆プーチン大統領は、NATOの旧ソ連圏への拡大に強い警戒感

◆2008年8月 ロシアがジョージアに侵攻

◆2009年 オバマ政権発足、ジョー・バイデン副大統領、在任中6回ウクライナ訪問。ウクライナにNATO加盟を勧める

◆ユーロ・マイダン・クーデター

2014年、ヤヌコビッチ政権がEUとの政治・貿易協定調印を先延ばし、抗議行動の拡大⇒ネオナチ的極右集団の参加、暴力化

現場で指揮していたのがヴィクトリア・ヌーランド米国務次官補(現・国務次官)

ホワイトハウスで指揮を執っていたのがジョー・バイデン副大統領

反政府集団に日当を出し、50億ドルを投じて傀儡政権づくり

※有名なヌーランドの”Fuck the EU ”発言や介入的政権人事構想

2014年2月22日 ユーロ・マイダン・クーデター

ロシアがクリミア半島を接収し、住民投票のすえにロシア領と宣言

◆クーデター後

ポロシェンコ政権誕生

ウクライナ東部のドンバス地方(ドネツク、ルハンスク2州で親ロ派の武装勢力が蜂起、独立を宣言

(後に、2022年2月21日、国連加盟国では唯一、ロシアが両国を承認)

ウクライナ東部紛争(ドンバス内戦、ウクライナ軍の極右部隊が親ロ系住民を無差別攻撃)

2014年9月5日 「ミンスク合意」(フランス、ドイツが仲介、ウクライナ、ロシアが署名)

⇒親ロ派支配地域に「自治権」を与える(外交権を含むか?) 紛争収まらず

2015年2月11日 「ミンスク2」(フランス、ドイツが仲介、ロシア、ウクライナが署名)

⇒守られず

⇒「ミンスク合意」が守られなかったことがウクライナ戦争勃発のもう一つの理由

2019 年2月7日  クライナ憲法第 116 条に、「ウクライナ首相はNATOとEUに加盟する努力目標を果たす義務がある」旨追加

2021年10月26日 ウクライナ軍が協定違反のドローン兵器使用⇒ロシア軍事関与の口実

2022年2月10日 ノルマンディ・フォーマット、合意に至らず。ロシアはミンスク合意を破棄

2022年2月24日 ロシアが「特別軍事作戦」実施

(2)クマを怒らせ、へとへとになるまで暴れさせて、体力を消耗させる者がいたとすれば

開戦後も「ブチャの悲劇」や「マリウポリ劇場攻撃」や「ロシア兵によるレイプ事件」などについて、一方的な報道の真偽には注意が必要で、鵜呑みにしないことが重要。

(「2022年5月~6 月ウクライナ戦争論集」から転載)

 

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安斎育郎 安斎育郎

1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。

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