【特集】参議院選挙と改憲問題を問う

〝弔い解散〞と改憲の行方、「安倍後」の岸田文雄と自民党

山田厚俊

・〝国葬〞にみる政治の劣化

Chiyoda Tokyo/Japan-Apr13,2019:Liberal Democratic Party head office

 

政府は安倍元首相の国葬を、9月27日に東京・千代田区の日本武道館で執り行なうと閣議決定した。1967年の吉田茂元首相以来、戦後で2例目の国葬である。果たして、国葬を執り行なうことについての議論は十分なのか。

すでに本誌発売時には参院選後初の臨時国会は終わっている。安倍元首相への追悼演説を披露したら、国葬についても冷静な議論の軸がないまま、すんなりと押し切っていくのだろう。これが劣化した現在の国会の姿といえるのではないか。

国葬の前に内閣改造を行ない、10月に臨時国会、11月にはインドネシアでG20サミットが開かれる。年末まで政治日程はぎっしりと詰まっている。来年4月には統一地方選がある。改めて、前出・自民党OBにどのタイミングで解散があり得るのか聞いた。

「来年1月、通常国会の冒頭解散の可能性は否定できない。というか、権力に貪欲な者ならこのタイミングでやるしかない。果たして、岸田首相が腹をくくれるか否かに懸かっている」。

これまで、参院選で自民党が勝った場合、しばらくは国政選挙はないという見方が大勢を占めていた。いわゆる“黄金の3年間”と呼ばれていたものだ。しかし、自民党内での権力闘争が鎮まったわけではないことに加え、衆議院の一票の格差を是正するため10増10減案が進められ新たな区割りが発表された。

ところが、大幅な線引きの変更で自民党内では反発の声が多い。そのため、早期に解散総選挙に打って出るという見方を前号で示した。その考え方は未だに残っている。

さらにこのOBが指摘するのは、“安倍晋三弔い選挙”の効果を期待するのなら、早い時期に解散すべきだというもの。

「2年も3年も経ったら、もう弔い選挙にはならない。そんなに長く時間が経ってから安倍元首相の名前を出しても『あざとい』との批判を受け、かえってマイナスイメージになりかねない。だから、1月の通常国会冒頭に解散する。事件後半年であれば弔い選挙に持って行ける。自民党圧勝の手がかりとなるのは必至だろう」。

2月の投開票となれば、寒波による低投票率も予想される。これもまた自民党にとって好材料だ。一方、7月に入りコロナ第7波が押し寄せた。“見えない敵”との闘いが続くなか、解散に踏み切れるかどうか。

「永田町の一寸先は闇の世界」とはよく言ったものである。果たして、岸田首相の解散総選挙という“奇手”はあるのだろうか。

(月刊「紙の爆弾」2022年9月号より)

 

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山田厚俊 山田厚俊

黒田ジャーナル、大谷昭宏事務所を経てフリー記者に。週刊誌をはじめ、ビジネス誌、月刊誌で執筆活動中。

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