メールマガジン第14号:「ミサイル要塞化」写真展が教える戦争の危機
ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会メルマガ琉球・沖縄通信3月末から4週連続の毎週土日にうるま市内4公民館で「ミサイル要塞化の危機」写真展が開催されている。戦争の危機を回避するには、まず「ミサイル要塞化」の実態を知ることからだ。県内各地、国内各地で写真展を開催し、ミサイル戦場化に反対する県民、国民の声を広げたいと筆者は考えている。
沖縄本島中部のうるま市の陸上自衛隊勝連分屯地は地対艦ミサイル部隊配備が決まり、南西諸島の地対艦ミサイル部隊の連隊本部も置かれる予定だ。米軍ホワイトビーチが隣接し海自基地も隣りにある。市内には米海兵隊の司令部基地もある。
米空軍最大拠点の嘉手納基地、核の貯蔵機能を含めた嘉手納弾薬庫からも近い。対中国の戦争を想定する「台湾有事」が現実となれば、日米の軍備が集中する沖縄本島中部、沖縄市、北谷町、うるま市、海兵隊普天間基地のある宜野湾市はミサイル戦争の危機にさらされる懸念は大きい。
「うるま市がミサイル戦争の戦場となりかねない」という切実な危機感から市民有志が「ミサイル写真展」を開催した。写真展で気運を盛り上げ、ミサイル配備に反対する市民の会を立ち上げる予定だ。写真資料は東アジア共同体研究所 琉球沖縄センターが提供した。
写真展のコンテンツは奄美、沖縄本島、宮古、石垣、与那国の自衛隊ミサイル部隊配備状況や反対運動の写真、アニメ動画など。復帰前の「メースB核ミサイル解体撤去」の写真(国吉和夫カメラマン)も展示している。
うるま市平敷屋には復帰前にメースB核ミサイル基地があった。現地で住民の話を聞くと「かまぼこ型の発射口は北の空、中国を向いていた」という。現地や写真展会場で「ホークミサイルもあった」「ナイキ(ハーキュリーズ)ミサイルもあった」と証言が相次いだ。「芝生の地面が轟音とともに左右に開き、北の空に向けてミサイルが立ち上がった」。
メースBはソ連や中国を照準に定める地対地核ミサイル。ハーキュリーズは敵ミサイル、戦闘機を迎撃する地対空核ミサイル。ホークミサイルは低高度の地対空ミサイル。
迎撃ミサイル・ハーキュリーズはなぜ「核ミサイル」だったのか。核搭載かもしれない敵ミサイル、数十機、数百機の大規模編隊の敵戦闘機を確実に迎撃するには「一網打尽」に破壊する「核ミサイル」でなければならなかったこと。
うるま市勝連地区は復帰前のかつて、ソ連や中国との戦争を想定するメースB核、ハーキュリー核、ホークなどのミサイル要塞地区だった。その歴史を、住民の証言をきっかけに関連図書を読み筆者は学んだ。そして今、日米の軍事当局は敵対国を中国と定めて、再びうるま市や南西諸島の島々の「ミサイル要塞化」を進めている。
ノーモア沖縄戦の会が「ミサイル要塞化」写真展をバックアップし、県内、国内、世界に沖縄のミサイル戦場化の危機を伝え、反対する運動のすそ野を広げていくことを提案したい。
新垣邦雄(運営委員・東アジア共同体研究所 琉球沖縄センター 前事務局長)
〇今週のピックアップ
4月9日、沖縄市平和ガイドネットワーク、ミサイル配備から命を守るうるま市民の会(準備会)の共催で「与勝地域戦跡などのフィールドワークと「ミサイル配備要塞化危機」についてのミニ学習会が開催された。ホ
ワイトビーチから、メースBミサイル跡地、日本軍高射砲陣地跡陸上自衛隊勝連分屯地を回り、写真展会場へ。写真展見学後、意見交換会が行われ、参加者からは復帰前にみたミサイル発射演習のこと、ミサイル配備への不安、学習、情報収集の重要性など、多くの発言が寄せられた。急速な軍事強化をはじめて知った声もあり、勝連だけでなく、全県で実施していく必要性を感じた。
(「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 メールマガジン第14号」より転載)
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