インタビュー:山本太郎(衆議院議員)+渡辺てる子(れいわ新選組)、れいわ新選組の脱原発戦略

林克明

10月31日投開票の第49回衆議院選挙で、原発「即禁止」を掲げる唯一の国政政党れいわ新選組が3人の当選者を出した。支援団体や基盤となる組織もなくボランティアに支えられた市民政党が、得票率2%もしくは議員数6人(衆参両院)という政党要件を2つとも満たし、国会に足掛かりを掴んだといえる。そこで、反原発が活動の原点である山本太郎代表と、その山本代表が「れいわ新選組の最終兵器」と位置づける渡辺てる子氏に原発問題について聞いた。

Tokyo Japan – May 8, 2015: Anti nuclear activist lives in Anti nuclear occupy tent in Nagatacho Tokyo Japan.

 

・原発「即禁止」はリアリティある国の運営(山本太郎)

投票から一夜明けた11月1日早朝、れいわ新選組の3人当選が決まった。同日午後の山本代表記者会見に駆け付け、原発について質問した。

――れいわ新選組は、この間生活困窮者を救う緊急策を全面にアピールしてきた。衆院に進出したことで、もうひとつ重要でかつ代表の原点でもある脱原発をどう進めるのか。

山本:私たちの経済政策は生活困窮者への緊急対策だけではありません。コロナなどの状況を見れば、生活困窮者以外の方にも必要です。26年間、社会にお金がまわっていない状況の中で国自体が弱ってしまい国内企業も弱体化しているわけですから、全体の底上げをしていくのが私たちの政策の基本です。

私自身の原点でもある原発のお話ですね。これは「段階的に」とか言っている場合じゃないんですよ。いつ来るかわからないという首都圏直下地震、南海トラフ地震に備えなければならない。

被害の予測値を見ただけでも、とてもじゃないが原発など維持できない。たとえば首都圏直下地震によって20年に及ぶ経済被害が730兆円を超えてます。それだけの大きな地震が起きて原発だけ安全だなんていうことはありえません。南海トラフ地震による20年にわたるGDPの損失(経済的被害)を見ても、1410兆円(土木学会2018年調査)。

Tsunami damage of the East Japan great earthquake disaster

 

いちばんリアリティをもった国の運営を考えるならば、原発をすぐ止める以外方法がありません。2011年に起きた原発事故はスリーメルトダウンで、いま水をかけるだけでコントロールできてませんね。数百年単位で収束を見ていかなければならないシロモノを抱えたまま次の大地震で複数の原発で事故を起こしてしまえば、これはもう手が付けられない。やるべきは、一刻も早く原発を止める、禁止することだと思います。

そこに対して一番問題となってくるのは、原発立地帯をどうするのかということ。私たちは財政的支援を継続していきながら、産業の転換などをしっかりと国が後押ししていく。原子力産業、石炭火力産業の分野で力を尽くしてきた方々に対しても、新エネルギーの分野でしっかりと活躍していただく。安心して新分野で働いていただく。こういう移行の仕方ですね。

今回、衆議院で議席をとれたものの、この国の方針を決定できる立場にないことは確かです。ですから、絶対的に原発を推進し新規も含めて進めていくという人たちとは無理だと思いますが、国会の中にいる段階的に廃止へという方々にまで幅を広げて連携し、原発廃止を目指していきたいと考えています。
*  *  *
このように山本代表は、緊急課題として原発問題を捉えていくと言う。その実現に向けての道筋は、同党の政策の一丁目一番地である消費税廃止への取り組みと相通じるものがある。消費税も原発も「即禁」を強く主張するが、消費税はまず5%へ減税することを野党共闘の最低条件とした。脱原発に関しても、“段階論者”も含めて議論し連携する考えのようだ。

さらに今回の選挙で比例東京ブロックに単独で出馬したものの落選した「れいわ新選組の最終兵器」(山本太郎代表)の渡辺てる子氏にも原発問題について聞いてみた。落選はしたが、選挙中より支援者が増えるなどその存在感を増している渡辺氏は、元子連れホームレス、元派遣労働者、シングルマザーとして苦難の中を生き抜き、自らを「貧困のデパート」と称する。

したがって彼女は、母子家庭やワーキングプアーの生活改善や、差別解消にポイントをおいて主張し続けている。原発問題に特化した活動はしていないが、話を聞いていくと、虐げられた者、貧しき者を救済するための視点・姿勢・思想が、原発問題を考える思考の枠組みに通じていることがわかる。(林)

・犠牲の上に成り立つ制度はおかしい(渡辺てる子)

――脱原発についての考えを聞かせてください。

渡辺:れいわ新選組は、脱原発ニューディールで強靭な経済を目指しています。今までは、原発による経済発展か反原発による脱成長かという、私から言わせればおかしな対立軸というか、二択を迫られてききた側面が強かったと思います。でも、選択肢の設定そのものが違うと思います。

脱原発で強靭な経済が目指せるんだということを、れいわ新選組はビジョンとして掲げているのです。条件を何も付けずに原発は即時禁止。これが他党だったらば、共産党は2030年までに石炭火力と原発をゼロ。社民党も廃炉を決めると言っているけれど、れいわ新選組は原発を即禁止です。

その分、政府が買い上げて廃炉を進めていくという政策ですから、実行不可能なことを掲げているわけではないし、決して大風呂敷を広げているわけでもありません。
*  *  *
れいわのマニュフェストでは、原発を即時禁止にして政府が買い取って廃炉を進めていくとしている。そして2014年に原発稼働ゼロでエネルギーをまかなった実績を重視している。(林)

・加害者性を認識することが大切

渡辺:廃炉するために新たな雇用を生み出せるし、今までの原発は除染作業者などを犠牲にしたうえで、私たちの快適さや便利さを成り立たせてきました。言い換えれば、原発に関しては東北の人たちの生活を犠牲にして、電力を基盤にした首都圏に住む人間の便利さと快適さを保ってきた。まず私は加害者性を認識することが大切だと思っています。

社会構造は複雑なので、ある切り口では自分は被害者でも別の切り口では自分が加害者かもしれない。このように一人の人間にも二面性があり複雑な属性を一人ひとりが背負っているということですよ。それが現実ですよね。まったくの加害者、まったくの被害者はいないからこそ、クールに社会の中における自分を見る必要があるんじゃないかと思います。

原発に関しては、とくに都市部に住む人間はそれを認識したほうがいいと考えています。東北がまるで日本国内の植民地で大都市圏が宗主国のような残酷でカースト的な構造があると私は思っています。

そのことを反原発の問題はあぶりだしているし、反原発の運動をやっている人たちは、私たちは加害者になりたくないんだという意識が強いのがすごい。社会運動や市民運動というと、被害者になりたくないというのが一般的です。

加害者にも被害者にもなりたくないという視点は、実は新しくもなんでもなく、根源的な問題なのです。そういう意味で、反原発の運動をしている人々に対するリスペクトが私の中にあります。

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林克明 林克明

ジャーナリスト。1960年長野県生れ。業界誌記者を経て89年より週刊誌記者として働く。95年から1年10ヶ月、モスクワに住みチェチェン戦争を取材。環境問題をはじめ、社会問題を主なテーマとする。特定の人物を通して社会や歴史を見ることに興味がある。2001年「ジャーナリストの誕生」で第9回週刊金曜日ルポルタージュ大賞受賞。

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