【特集】沖縄の日本復帰50周年を問い直す
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中城湾港自衛隊使用許可に関する沖縄県との交渉②―中城港湾・与那国空港の自衛隊使用許可反対と日米共同統合演習について(その2)―

宮城恵美子

今回の日米共同統合演習は「台湾有事」の一環で、琉球弧全体で大掛かりな実動訓練として行われており、一段と戦争の危機が身近に迫ってきていることを感じさせるものである。作戦計画から統合演習と急ピッチで「有事」に進めていることは実に恐ろしいことだ。

Battlefield with a soldier and armored vehicle at sunset

 

【市民による沖縄県および全市町村議会への働きかけ】

これまでも県庁や県議会の各議員一人ひとりに資料を付して「日米共同作戦計画」の在り方に関して警鐘を鳴らし、かつ県議会で議論するように訴えてきた。

それは、琉球弧の島々が「台湾有事」に伴う「日米共同作戦計画」で対中包囲網の最前線に位置づけられてきていること、そして、ミサイル配備など基地建設強化が行われてきていること、このままでは再び戦場にされてしまうことの懸念が沖縄を覆っているからである。

県への働きかけ以外にも沖縄平和市民連絡会は2022年2月頃から、沖縄の全市町村議会と県議会に「沖縄を再び“いくさば(戦場)”にさせないための陳情」を行っている。

その際に、日米が去る1月7日の「日米安全保障協議委員会(2プラス2)」で推進を確認してきている「日米共同作戦計画」の根拠資料として、月刊誌『世界』(2022年3月号)に掲載されている共同通信社・石井暁氏の「台湾有事と日米共同作戦―南西諸島を再び戦禍の犠牲にするのか」などを添付した。

唯一反応があったのは北谷町議会で、陳情が採択されている。このように以前から市民側は議会への働きかけを行っている。

【沖縄県の交渉と反応】

私も所属している「沖縄平和市民連絡会」は、10月31日に沖縄県との交渉をもった。県側は土建部統括官、港湾課課長、基地対策課参事などが対応した。市民側は同連絡会と「うるま市島ぐるみの会」のメンバー計11人が参加した。

そこで、今回の「日米共同統合演習(キーン・ソード23)」に中城湾港や与那国空港など県管理施設や民間地域が使用されることから、①今回の共同統合演習の全容を明らかにすること、②中城湾港の使用を許可しないこと、③今後米軍による県管理港湾の使用を絶対に認めないことなどの要請し、それらを基にして県との交渉を行った。

そこでの沖縄県の対応は、自衛隊から「使用許可申請」が具体的には出されていないとして、出されてきたら法令に基づいて検討し、他の一般船舶と同じように対応するという甘い態度であった。

米軍と自衛隊が一体となって島々で戦争する「日米共同統合演習」にもかかわらず、そうした県の危機感の無さに対して、参加者からは住民の命を守る観点と姿勢が全く感じられないとの厳しい声が挙がった。

「日米共同統合演習」についての県政としての立場が示されておらず、改めて、直接玉城デニー知事との直接交渉が必要との声が大きくなっている。

参考に北上田毅氏のブログを引用しておきたい。そもそも北上田氏は今回の交渉を牽引してきた。これまでの交渉過程を連絡会会員の北上田さんが的確にまとめてくださったので共通認識として確認しておきたい。

 

<北上田毅<チョイさんの沖縄日記>10月31日より)

今日(10月31日・月)は、日米共同統合演習問題について沖縄県と交渉を行った。県は、土建部統括監や港湾課長、基地対策課副参事等が対応、我々の側は、平和市民連絡会のメンバーとうるま市でミサイル基地設置計画に反対している人たち、合計11名が参加した。

今回の自衛隊と米軍の合同演習は、今までにない大規模なもので、台湾有事による「武力攻撃事態」を想定した実践訓練である。基地内だけではなく、県管理の公共施設が自衛隊・米軍のために使用される。

中城湾港では自衛隊車両・自衛隊員の搬送(自衛隊のチャーター船が接岸し、往路・復路で車両122台、自衛隊員327名を陸揚げ、積込)。

与那国空港では、自衛隊の16式機動戦闘車(MCV)を輸送し、公道を自走させる訓練が行われる。また、米軍が与那国島で演習するのは初めてのことだ。中城湾港や与那国空港の使用には、事前に知事の許可(空港の場合は届出)を得ることが必要である。

今日の交渉で、県は、「県としてはなるべく使わないでほしいという要望を伝える」、「与那国島でのMCVの公道走行には県民の不安があると伝える」と説明したが、「防衛省への要請については、現在、検討中」というにとどまった。

その一方で、「申請が出れば、法令に基づいて許可を出すかどうか審査する」という態度に終始した。現時点ではまだ、中城湾港や与那国空港の使用申請は出ていないという。

しかし、正式な演習期間は11月10日から19日だが、防衛局が10月7日、県に示した文書では、中城湾港では、「往路:11月1日~9日の間で事前輸送」、「復路:11月17日~25日の間で撤収輸送」とされている。明日(1日)からでも使われるかもしれないのだ。

少なくとも、具体的な使用方法の協議も始まっていないとはとても信じられない。知事は早急に県民に日米共同統合演習について説明し、防衛省に、①「演習の中止」を求めること。②少なくとも、知事の権限で、県の港湾・空港を使用させないこと等、毅然とした対応を講じるべきである。

 

上記の通り、記載して下さった。ここで改めて感謝の意を伝えたい。

文中の自衛隊数とか数字はマスコミによっても統一されておらず、政府の公表を待ちたい。10月31日の県交渉にあたり県に提出した資料は11月11日付の資料である(掲載済)。

交渉では歯がゆいほど煮え切らない県上級官僚の態度であった。港の利用者、自衛隊に手続き上のミスが無ければ、認めるのが当然であるかの態度を崩せなかった。

一般船の使用申請と軍事目的申請を全く区別しないということは今後も軍事行動が無条件に沖縄の土壌で通過することを意味する。それ自体が沖縄県の問題であることを痛感した。

 

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宮城恵美子 宮城恵美子

独立言論フォーラム・理事。那覇市出身、(財)雇用開発推進機構勤務時は『沖縄産業雇用白書』の執筆・監修に携わり、後、琉球大学准教授(雇用環境論・平和論等)に就く。退職後、那覇市議会議員を務め、現在、沖縄市民連絡会共同世話人で、市民運動には金武湾反CTS闘争以来継続参加。著書は『若者の未來をひらく』(なんよう文庫2005年)、『沖縄のエコツーリズムの可能性』(なんよう文庫2006年)等がある。

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