ひとまず鎮静化に向かう「台湾有事」狂想曲/バイデンも立場を修正する中で日本はハシゴを外される?

高野孟

■■CONFAB No.543 22/11/28 ■■■■■■■■■■■

閑中忙話(11月20日~26日)

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11月20日(日)

【山茶花】
今にも雪が舞い始めそうな冬空が続く中、サザンカの赤い花が満開を迎えた。昔から、何もこんな寒い時にわざわざ咲かなくてもいいだろうにと思っていたけれども、数年前にたまたま運転中に聞いたNHKラジオの「子ども科学電話相談」でまさにその質問が出て、先生がこう答えていた。

「ツバキとかウメとかヤツデとか冬に咲く花は実は少なくない。それは寒い中でも活動しているハエやアブやハチなどの虫やメジロなどの鳥を、効率よく引きつけることができるからなんだ。春から夏には一斉に花が咲いて、そうすると虫や鳥の取り合いになる。花が派手だとか、香りがいいとか、蜜がたっぷりある方に行ってしまうので競争が激しくなる。だから冬に咲く方が少し楽だということもあるんです」。

なるほど、裏をかいて生き残ろうという作戦なのだ。

サザンカは10~12月に咲き、ツバキは少し遅れて11月~3月に咲く。見た目で両者を区別することは難しいが、サザンカは満開になったとたんに花びらが1枚ずつヒラヒラと散り始めるのに対して、ツバキは頑張れるだけ頑張った末に花が丸ごとポタッと落ちる。

どちらも日本原産種だが、ツバキは台湾や朝鮮にも自生するのに対しサザンカは日本だけの固有種。雲南・チベットから華南、台湾を経て日本の関東地方にまで繋がる「照葉樹林帯」は、モンスーン気候の温暖湿潤を活かした稲作と納豆など発酵食品の豊かな食文化を育んだ。その照葉樹林帯の東の端の殿(しんがり)となっているのが、純日本的なツバキとサザンカである。

11月21日(月)

今週は23日が休日で「日刊ゲンダイ」は休刊日。私のコラムは木曜日の日付の水曜日発行の号に載るので、今日は締め切りがなくてフリー。心安らかに、読書などで過ごした。

11月22日(火)

【トランプ現象の終わり?】
米国では「もうトランプは終わったのか?」という議論が盛んである。INSIDER No.1181は、まだ各種統計が出ていない11月13日締切の段階で、直観力に従って「トランプはもはやこれまでか」と論じたが、ここへ来ていろいろ興味深い数字が報じられ始めた。

例えば、22日付朝日の「トランプ派、接戦区1勝7敗」と題したワシントン発の記事によると、トランプが上院21人+下院156人=計177人を推薦し、21日時点で上院15人+下院148人=計162人が当確で、その限りでは「トランプ推薦候補の9割超が当選」したことは事実である。しかし、より詳しく分析すると……、

(1) 元々「共和党有利」とされた選挙区にばかり推薦を出して「勝ち馬に乗る」戦術を採っているので、そこでは勝って当たり前。
(2) 逆に「民主党有利」とされた選挙区では上院1人+下院2人=計3人しか推薦しておらず、現在までに0勝2敗1未確定。
(3) さらにどちらが勝つか予断が許されないとされた「接戦区」では、上院4人+下院5人=計9人を推薦し、現在までに1勝7敗1未確定。

ーーであって、「9割超」の勝利というのが作られた数字に過ぎないことが分かる。

11月23日(水)

【ドイツ勝つなんて!】
午後は大学ラグビー早慶戦。早慶戦100周年という記念すべき試合での早稲田の勝利に安堵。

夜はサッカーW杯日独戦で、まさかの逆転勝利に興奮した。前半戦を見る限り、ドイツがチームの組織力においても個々の選手の身体能力においても上回っているのは歴然としていて、1:1の引き分けに持ち込むのが精一杯だと予測した。ところが終わってみればドイツの得点はPGのみであるのに対し、日本は堂々の2ゴールでの勝利で、日本の後半からの速攻シフトへの切り替えが鮮やかだった。

11月24日(木)

【崩れゆく専守防衛】
「東京新聞」が昨日から、政府・自民党の「敵基地攻撃能力」装備論に焦点を当てた5回連載を始めた。第1回は「威嚇による抑止〔という〕『幻想』」、第2回は「憲法歯止め 脅かす抑止論」。野党は閣僚の身辺疑惑を突いてクビを取るのに夢中で、この軍事戦略の大転換に目を向けていない。

11月25日(金)

【チンギス紀第15巻】
北方謙三のいつ終わるのか予想もつかない大河小説『チンギス紀』の第15巻が出た。雑誌に連載が続いていて、半年に1冊が単行本にまとまるのでそれを読むようにしている。チンギスは1215年に「金」の首都=北京を抑え、次に今のトルクメニスタンを中心とする「西遼」を滅し、1218年にはカスピ海の東から南にかけて広がる大国「ホラズム国」包囲戦に進む。前巻から今巻にかけてはそこでチンギスが難渋している様が延々と描かれている。

11月26日(土)

【ついにガラケーにお別れ】
2008年から使ってきてたガラケーに別れを告げ、最新のiPhone SEに切り替えた。メールをはじめネット関連はすべてMacのパソコンで扱い、ガラケーは電話として使うだけなので、このままで何も困ることはないのだが、3G回線は2024年までで使えなくなるからと急き立てられるので、まあそのうちにと思っていた。

そこへ先日、JALのマイレージバンクから「マイルを使ってiPhoneを手に入れよう」というキャンペーンが舞い込んできたので、即断即決、申し込んだ。それを昨日、ドコモ鴨川支店に持ち込んで、機種変更と5G回線契約の手続きを済ませた迄はよかったのだが、Macで使用中のApple ID & パスワードをメモして行くのをうっかり忘れたので、その登録は私が家に帰ってから自分でやることになり、これが思わぬ躓きを招いた。

一言でいうと、私の指が太くてiPhoneの画面の中の小さなキーボードを上手く押すことができず、パスワードの入力を何度かやり直すことになり、そうするとApple側は「高野は昨日までiPhoneなど持っていなかったはずだから、これはもしかしたら別人がiPhoneを使って高野のアカウントに侵入しようとしているのかもしれない」と警戒したのだろう、そのようなニュアンスの警告と共にApple IDをロックしたとの通知がMacの方に届いた。

さあて、これを解除してもらうのはなかなか大変で、昨夜から今日の午前中まで試行錯誤の末、ようやく開通に成功し、iPhoneの動作が正常に戻った。

指で入力するのは事故の元であることを学んだので、早速「タッチペン」という先の尖った道具を取り寄せた。

(「高野孟のTHE JOURNAL Vol.574」より転載)

 

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