【対談】 小坂浩彰(NGOレインボーブリッヂ事務局長)×木村三浩(一水会代表) 政府とエセ保守勢力による「拉致問題」利用の大罪

紙の爆弾編集部

・拉致問題をめぐる「同調圧力」の正体

木村:この同調圧力というのは、具体的にはどういうものなのでしょうか。

小坂:ひとつの発生源は、日本で保守派といわれるグループです。櫻井よしこ氏あたりが、韓国のネオコン・反北勢力と組んでいるという情報もあります。だから、韓国からの情報というのは、たとえばすぐに「誰々を粛清」とかおどろおどろしい言葉で、恐怖政治を強調するでしょう。実際には、粛清などそうそう起こりうるものではありません。

木村:日本の保守勢力といえば、8月に韓国のテレビ局が、韓国国情院と櫻井氏のつながりをスクープしました。櫻井氏側は「意見交換とか情報交換のために会った。金を受け取ってはいない」と言っていますが。そうだとしても、こと北朝鮮に関する情報は、ファクトチェックがないまま彼らによって垂れ流されている。韓国側にも南北統一に反対する勢力がいるのでしょうか。

小坂:というよりも、与党に反対するだけで、南北統一反対というほどの立派な意見ではありません。ただの権力闘争です。それが、日本の自称保守たちに、都合がいいわけです。たとえば文在寅大統領が「朝鮮戦争終結」と言うと、それを足止めするために日本の勢力に情報を流すといった具合です。

木村:それに、尾ひれをつけて、エセ保守たちが日本で言っているんでしょうね。

小坂:また、脱北者の情報というのは、本来疑ってかかるべきものです。私は安明進(元北朝鮮工作員)とは親しかったので、テレビに出演させたりしましたが、彼は、佐藤勝巳(現代コリア研究所所長)グループから金をもらっているということは、はっきり言っていましたよ。

木村:そうであれば、われわれはそうした有象無象にまどわされない、まっとうな視点を持たなければならない。そこで朝鮮戦争を大きく世界的にみると、戦争を終わらせない勢力とは、第一にやっぱりアメリカのネオコン・軍事産業。続いてアジアでは中国やロシアが西側との緩衝地帯みたいなものを求めているのかもしれません。

小坂:ただし、中国やロシアについては、戦争終結の結果、朝鮮半島がどちらの色になるのか、それが心配なだけです。

木村:だから、91年、国連に南北同時加盟をした。

小坂:あのときは、北が嫌がったんですが、なんとか同時加盟にこぎつけました。その後、韓国が中国と国交正常化したことにも、北朝鮮は中国に対して怒りを見せましたが、13カ国の朝鮮戦争の当事国がすべて国交を回復している。すでに、国境を「休戦ライン」にしている意味はないんです。

木村:おっしゃる通りです。国連加盟しているのだから、早く平和協定をすればいい。自明の理です。

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株式会社鹿砦社が発行する月刊誌で2005年4月創刊。「死滅したジャーナリズムを越えて、の旗を掲げ愚直に巨悪とタブーに挑む」を標榜する。

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