総選挙〝反共キャンペーン〞の裏を読む 「共産党アレルギー」とは何か?
政治・選挙で展開された反共キャンペーン
自民党が単独過半数を獲るための方策として、ネット上を中心に、さまざまな形で反共キャンペーンがさかんに行なわれた。
たとえば、維新・鈴木宗男参院議員からの破防法についての質問に、政府が「共産党は破防法の調査監視対象団体」と答弁したこと(21年6月11日)が、繰り返しコピペされ、拡散された。前述のとおり、これはまったく無意味な政府・公安調査庁の方便なのだが、人々に過去の日本共産党について思い出させる効果をもたらした。
連合・芳野会長は、「連合と共産党の考えが違う」と述べたが、これにしても、何がどう異なっているのかを明らかにはしていない。彼女は、そのことをきちんと説明し、違うのであれば両者ですり合わせる努力をするべきである。しかし芳野会長は、反共キャンペーンを繰り返すのみ、無責任な態度に終始した。彼女は根っからの反共主義者なのだろうか。
芳野会長に対し、ネットの一部では、「有権者と党員に支えられた公党を連合の私物と勘違いしているのではないか」「立憲を内部崩壊させるために与党が仕掛けたトロイの木馬」「野党共闘ネガキャンに加担」「自民党の別動隊では」などという声が出ていた。「とにかく、嫌なものは嫌なの」と駄々っ子のように、個人的な反共発言を繰り返すことが、果たして労働者全体のためになるのだろうか。 こんなことでは、連合の未来も暗い。
自民党や日本維新の会からも、ひどい発言が飛び出した。自民党の麻生太郎副総裁は、10月22日の都内での演説で、「立憲共産党」と立民を揶揄した。また、維新の松井一郎代表は同月25日、日米同盟をめぐる立民・共産の基本的立場が異なることなどを念頭に、街頭演説で「公明と自民は長年連立を組み、政策が一致している。『立憲共産党』の皆さんは背骨の政策を横に置き、野合、談合している」と自公政権を持ち上げながら、立民・共産にヤジを飛ばした。
これらは、共産党を利用した立民批判といえるが、公党に対する侮辱であり、絶対に許されるべきことではない。厳重な抗議ですむ問題でもない。
選挙の自由そのものを侵害すると同時に、有権者を惑わすことを狙ったものだ。これに対しては、本来、選挙管理委員会がしっかりとした対応をとるべきであったと思われる。
「ブッ飛ばせ!共謀罪」百人委員会代表。救援連絡センター代表。法学者。関東学院大学名誉教授。専攻は近代刑法成立史。