【連載】ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 メールマガジン
ノーモア沖縄戦

メールマガジン第25号:「日米首脳会談」戦争に突き進む日米軍備強化への抗議声明と中止要求

ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会

「台湾有事に軍事的関与」(沖縄タイムス)、「台湾防衛 我々の約束」「核含め『拡大抑止』」(琉球新報)。岸田ーバイデン・日米首脳会談を伝える沖縄2紙(2022年5月24日付)の見出しである。

2021年12月24日の共同通信配信記事は、「南西諸島に攻撃拠点」「米軍、台湾有事で展開」と報じ、「住民巻き添えの可能性」の見出しもあった。沖縄を「台湾防衛」の軍事拠点と位置付け、沖縄の戦場化を当然視する日米政府への激しい憤りを禁じ得ない。

沖縄県民は再び沖縄が戦場となることを拒否する。「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」は同年5月27日、県庁記者クラブで、岸田・バイデン日米首脳共同声明に対する「抗議・中止要求」の声明を発表する。声明文を以下にお示しし、日本が再び戦争をすることの是非を国民に問いたい。

新垣邦雄(「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」発起人) 。

 

「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」

5月24日に行われた日米首脳会談でバイデン米大統領は「台湾有事への軍事関与」を明言し、岸田首相は「反撃能力(敵基地攻撃)を含めあらゆる選択肢を排除しない」と宣明しました。両首脳は「抑止力、対処力の強化」も宣言しました。

「対処力」とは、軍事力行使にほかなりません。中国と台湾の統一問題が武力衝突の「台湾有事」に至った場合、日米が「台湾防衛」を名目に軍事関与することを国際社会に宣言したのです。

「台湾有事」に米軍が関与すれば、「在沖米軍基地が(中国軍の)最初の標的になる」、「自衛隊が関与すれば日本(本土)も標的になる」と多くの軍事専門家が指摘しています。

沖縄県民は、「台湾有事」で沖縄が日米中の戦場となることを拒否します。沖縄の戦場化を想定する日米首脳声明に強く抗議し、南西諸島の日米軍備強化、台湾有事に「対処」する日米軍事計画の中止を要求します。

第二次安倍政権以降、中国軍の封じ込めを目的に自衛隊は南西諸島のミサイル基地化を進め、同時に射程200キロの地対艦ミサイルの中国本土にも届く900キロ~1500キロへの射程延長、防御不能な高速滑空弾の開発・南西諸島配備の計画を進めています。

米軍の核搭載可能な中距離ミサイルの配備計画とともに、「米陸軍の極超音速ミサイルの2023年末までの列島線への配備計画」も報じられました(4月2日共同配信)。中国との戦争を想定する日米の南西諸島ミサイル要塞化が歯止めなく進行しています。

日米の際限のない南西諸島の軍備強化が進む中で、日米首脳が「台湾有事」への軍事対処を宣言したことで、対抗する中国が南西諸島の自衛隊、米軍基地にミサイルの照準を定める軍備を強化することは確実です。日米・中国双方の軍拡競争が、「台湾有事」で沖縄・南西諸島のミサイル戦争の戦場化をもたらすことは、火を見るより明らかです。

日米首脳会談でバイデン大統領は「核を含む日本防衛へのコミット」を表明。両首脳は米国の核兵器で日本を防衛する「拡大抑止の確保への協議」に踏み込みました。国民的議論もないまま非核三原則の国是を踏み越える首脳声明に強く抗議を表明します。

国内では安倍元首相らが米軍の核兵器を日本に配備し運用する「核共有論」を主張しています。安倍氏は名指しはしないものの、沖縄本土復帰時の「核密約」で日米が確認した沖縄への核再配備が念頭にあることは間違いありません。

復帰前の沖縄は最大1287発(1967年)の米核兵器が貯蔵され、米軍は復帰前の台湾海峡有事の際に、沖縄から中国本土への核攻撃を検討していたことが昨年の新聞報道で明らかになりました。

米軍は核搭載可能な中距離ミサイルの沖縄を含む列島線への配備を計画しています。首脳声明の「米国の核による日本防衛」、「拡大抑止の確保」は、「台湾有事」を念頭に、沖縄への核再配備を目論む疑いを拭えません。

沖縄県民は、米軍の中距離ミサイルほかあらゆる核兵器の沖縄再配備を断固、拒否します。日米政府に対しては、沖縄への緊急時の核再持ち込みと核貯蔵機能の維持を約束した佐藤・ニクソン「核密約」が無効であることの確認を要求します。

安倍元首相らの無責任な発言により、国民世論、メディアに「台湾有事は日本有事」の誤った論調、自衛隊・米軍による「台湾防衛論」が高まりました。「台湾有事」は「日本有事」ではありません。

台湾と中国の「国内・内政」問題に過ぎない「台湾統一問題」に、在沖米軍、自衛隊が関与することにより中国の反撃を呼び込み、「日本有事」に至らせるのです。国民的な議論をないがしろに「台湾有事は日本有事」と際限のない軍備強化にひた走る岸田政権に冷静な自制を求め、米中の覇権争いと軍事対決を回避する対話外交の橋渡しを日本政府が担うよう要求します。

「台湾有事への軍事関与」を宣言した日米首脳声明に抗議し、両政府に以下の撤回・中止を要求する。

一、バイデン米大統領は「台湾有事への軍事関与」の発言を撤回すること。

一、日米政府は台湾有事に対処する南西諸島の軍備強化、南西諸島を拠点とする攻撃作戦計画を中止すること。

一、米国政府は沖縄を含む南西諸島、日本本土への中距離ミサイルほかあらゆる米核兵器の配備、貯蔵を行わないこと。

一、日本政府は専守防衛に反する「敵基地攻撃能力」の保有を断念し、南西諸島のミサイル部隊配備を中止、自衛隊ミサイルの射程延長を中止すること。

一、米国政府は中国・台湾の緊張を高める台湾への武器輸出を中止、日本政府は防衛予算の増額を中止すること。

(「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 メールマガジン第25号」より転載)

 

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