【連載】ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 メールマガジン
ノーモア沖縄戦

メールマガジン第29号:那覇軍港移設の賛否を問おうー台湾有事へ沖縄全土基地化を危惧するー

ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会

那覇軍港にまたも米軍オスプレイが飛来した。琉球新報の取材に「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」山城博治共同代表は、軍港訓練の恒常化を懸念、「海兵隊が離島などを占拠し臨時拠点とする『遠征前方基地作戦(EABO)』に関連する可能性」を指摘し、「沖縄を戦場にする訓練を許してはいけない」と警鐘を鳴らした。

海兵隊の「遠征前方基地作戦」は、2021年12月に共同通信がスクープした「台湾有事で南西諸島を米海兵隊が攻撃拠点」とする「日米作戦計画原案」の柱となる軍事作戦だ。

玉城デニー知事は那覇軍港での立て続けの訓練に対し「日本復帰後50年間行われなかった運用は容認できない」と日米政府に抗議した。台湾有事に向けた「日米作戦計画」が浮上する中での突然の軍港訓練は、「台湾有事対処訓練」の一環とみなさざるを得ない。

2021年11月に「輸送」を名目にオスプレイ3機とCH53ヘリが飛来したのが始まりだ。2021年2月にもオスプレイ、CH53が飛来した。港湾内の建物をアメリカ大使館に見立てた「非戦闘員避難」訓練は、ベトナム戦時や昨年のアフガン撤退時のヘリによる大使館員救出劇をほうふつとさせた。台湾有事で沖縄が戦火に巻き込まれることを想定し、米大使館員や米民間人の優先避難を図る訓練を疑わせた。

2月の訓練では「デモ」を米兵が制圧する場面もあった。デモを装う私服の米兵が掲げるプラカードには「GO BACK TO AMERICA」「US EMBASSY DISTURBS THE PEACE(米大使館は平和を乱す)」と書かれていた(琉球新報)。沖縄にも米総領事館がある

台湾有事を念頭に、沖縄で起こりうる民衆デモを制圧する訓練ではないのか。3月の軍港警備訓練では、取材カメラマンに米兵が銃口を向けた、との報道もあった。

那覇軍港は県都那覇市の正面玄関に位置し、目の前に那覇空港がある。オスプレイやヘリが飛び交い米兵が銃を構えるものものしい訓練は観光立県にそぐわない。民間航空機を巻き込む事故の懸念すらある。那覇軍港の訓練基地化を受け入れることはできない。

・「5.15メモ」の闇

軍港訓練を玉城知事は「5.15メモの使用目的に反する」と指摘する。これに対し米軍は「5.15メモに準拠」、岸信夫防衛相も「港湾の使用主目的に合致する」と見解が完全に食い違っている。提供基地の使用に関する日米政府と地元沖縄県との真逆の見解対立は看過できない大問題だ。

そもそも「5.15メモ」は、沖縄復帰時に在沖米軍施設の使用条件を定めた日米合同委員会の「秘密合意文書」だ。長年、秘匿され公開されたのは復帰後から25年もたった1997年である。公表されたメモの裏側に別の「密約」が隠されているのではないか。

沖縄タイムス社説は、「5.15メモ」に記されない嘉手納基地などでの「パラシュート降下訓練」や、住民が生活利用する県道が実は「米軍への提供施設」だった事例を挙げ、「5.15メモを総点検する必要がある」と指摘した。

実態は復帰時に各米軍施設の使用目的を限定的に確認したはずの「5.15」メモがなし崩しに形骸化されている。いわば、「米軍が使いたい場所でやりたい放題」の訓練がまかり通っているのである。

昨年来、那覇軍港だけでなく県内各地で米軍のしたい放題の訓練強化が続いている。嘉手納基地、普天間基地への外来機の飛来も激化している。

こうした動きは「台湾有事」に向けた日米作戦計画と訓練が緊密に進む中で、さらに加速することが予想される。米軍、自衛隊基地の共同使用も恒常化していくだろう。日米2プラス2(外務・防衛閣僚協議)で共同使用はとうに約束され、2022年の年初の2プラス2で再確認されているからだ。

このことはつまり、「台湾有事」に向けて、沖縄の全ての米軍基地、自衛隊基地のみならず、沖縄全体が「台湾有事」対処の前線基地化するということだろう。すでに沖縄の空も海も日米地位協定により「米軍基地間の移動を無制限に認めている」(琉球新報)。

だからこそ、普天間基地のオスプレイ、CH53、嘉手納基地のF15ほか外来戦闘機がわが物顔で民間地上空を低空飛行している。平時において基地被害は周辺にとどまっているが「台湾有事」の準戦時体制へ急速に移行するなかで「沖縄の全土基地化・訓練場化」が危惧されてならない。

・「基地の自由使用」進む

1960年の日米安保条約改定、72年の沖縄施政権返還の日米交渉の焦点は「基地権=基地の自由使用」と「核持ち込み」であったとされる。基地の自由使用とは文字通り、勝手放題の米軍基地使用と、日本(沖縄)から外国への米軍の出撃の自由とされる。

「核抜き、本土並み」の沖縄返還協議の裏側で、「基地の自由使用」と「核持ち込み」の密約が交わされたのではなかったか。復帰50年の間の研究者による米国極秘文書の解読からあまたの密約の存在が明らかになっている。

普天間基地も那覇軍港も、復帰からこの間、沖縄県の「返還要求」の最重要案件だったが、普天間基地は辺野古にリニューアル新基地の建設が進み、那覇軍港も浦添地先へ新基地としてプレゼントされようとしている。沖縄戦で奪われた米軍基地が何故、無条件返還でなく「移設条件付き」なのか。「5.15メモ」の密約の闇は取り払わねばならない。

玉城知事は前県政を継承する立場から那覇軍港の浦添移設を容認してきたが、「5.15メモ」に反する訓練基地化が明らかになった以上、軍港移設に反対すべきではないか。

浦添、サンエーパルコ前の美しい海が巨大なリニューアル軍港と化すことに諸手を挙げて賛成する市民、県民はいないはずだ。県民投票を行えば辺野古新基地以上に反対意見が多数を占めるのではないだろうか。

行政が動かなければ、琉球新報、沖縄タイムスが世論調査を行ってほしい、という声が筆者の周りには多い。戦争につながる新たな訓練、基地建設に反対する立場から県民に軍港移設の賛否を問うことを提起したい。

(新垣邦雄 「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」発起人)

(「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 メールマガジン第29号」より転載)

 

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