【連載】岩田昌征が読み解く国際情勢

第7回 ウクライナ議会決議「北方領土は日本の領土」の解釈

岩田昌征

「ちきゅう座」「評論・紹介・意見」欄(2022年9月26日)に小論「露烏戦争の一面――自民党政権は北方領土を放棄したのか――」http://chikyuza.net/archives/122174を発表し、以下のように一言した。

――露国の国境外交態勢に乱れが生じた。チャンスだ!日本国が落ち着いて喧嘩腰でなく地下でこの北方領土問題解決交渉を再開するのに。――――自由民主党政権は、かつて何のために北方領土の日を創設したのか。――

露西亜が西方国境を強引に変形させ、侵略国家の汚名を振り払えない今日の国際状況は、日本外交が北方領土問題を、すなわち露国の東方国境問題を平和的に解決するチャンスである。

露国が北方領土を日本へ平和的に返還すれば、それは露国が領土問題を軍事力一辺倒で処理する暴力主義国家ではない事を実践で全世界に(所謂国際社会にだけではなく)明示する事になろう。日本外交は、この事が露国の威信にとってプラスである事を心ある露国外交官や政治家に強く説得できるはずだ。

それなのに、そんな動きが自民党政権に感じられない。

ところが、もしかしたら自民党政権は「落ち着いて喧嘩腰でなく地下で」動いていたかも知れない、動いているかも知れないと推測させる報道があった。朝日新聞(2022年10月8日夕刊)の記事「『北方領土は日本の領土』ウクライナ議会が決議採択」がそれである。

――ウクライナ議会も北方領土を「過去に占領された日本の領土」とし、ロシアに返還を求める日本の立場を支持する決議を採択した。――ゼレンスキー大統領は7日夜、ビデオ演説で、……「ロシアには何の権利もない。世界の人々はよく知っている。我々は行動しなければならない、すべての占領地を解放しなければならないのだ」と語った。――

私的憶測によるならば、烏克蘭が今置かれて状況からすれば、日本が喧嘩腰である方が、すなわち露国が東西二正面作戦を強いられる方が、日本の北方領土問題=露国の東方国境問題の平和的解決よりもはるかに好ましいはずである。

それ故、日露地下交渉の存在を察知した烏克蘭政権の対日揺さ振りとして、2022年10月7日のウクライナ議会決議とゼレンスキー大統領演説を解釈する事も出来よう。あるいは、日露交渉を発進・前進させる為に、この問題を世界にインプレスすべく日本外交が打った対烏工作の結果なのか。

令和4年10月23日(日)

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/

〔opinion12484:221024〕

 

※この記事は、サイトちきゅう座(2022年10月24日)からの転載です。

原文はコチラ→ウクライナ議会決議「北方領土は日本の領土」の解釈 

 

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岩田昌征 岩田昌征

千葉大学名誉教授、専門:経済体制論

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