【連載】週刊 鳥越俊太郎のイチオシ速報!!

第18回 新年に考える「残り10年」日本の最大の問題はズバリ☆「少子化」「婚姻数戦後最少」☆/どうする「家康」じゃなかった「あなた」は??どうする??

鳥越俊太郎

新年度最初の問題はこれです!

日本で進む少子化

昨年22年度は前年比5%減で、年間出生数は77万人前後、初の80万人割れの見通し。

厚労省の発表によると、21年度の出生数は81万1604人で、前年の84万835人より2万9231人減少している。

日本人として生まれる数が減っているのだから当然日本人の人口は減少している。しかし、これだけではない。

21年度の調査だが、死亡数が増えていて、人口減少に拍車をかけているのだ。

21年度の年間死亡者数は143万9809人で、前年より66万7054人増加している。

生まれる日本人の出生数が年々減少し、死亡者が増えている。これでは日本人の人口減少に歯止めはかからない訳だ。

人口問題を新年第1号の記事に取り上げるのは、実は切り抜いた記事を漁っていたら次のような記事を見つけたからだ。

朝日新聞12月6日(火)の24面「生活」面。

「進む少子化 若者にあきらめ?」

「出生数過去最少 背景は──日本総研上席主任研究員 藤波匠さん」の見出しが目についた。

前文をチェックしてみよう。

「少子化が止まりません。2021年に生まれた日本人の子供(出生数)は81万1622人(まま)人と、1899年以降で過去最少となりました。婚姻数も戦後最少を記録。なぜ少子化にブレーキをかけられないのでしょうか。日本総研の藤浪匠・上席主任研究員に背景や必要な対策について聞きました」

聞き手は石川友恵さん、朝日新聞記者だろう。最初に年間出生数が22年は80万割れし77万人前後になる見通しを挙げ、「コロナ禍の影響が大きいのでしょうか」と問いかけている。

これは時期的にはコロナの感染状況真っ只中で、人々の出会いもかなり厳しく制限された。恐らく男女の出会いにも制限がかかり、その結果として出生数にブレーキがかかったとのか?これは至極当然の疑問点だったろう。

しかし、藤浪さんの答えはコロナ禍の影響は認めながらもっと本質的なものがあるとしてこう答えている。

「出生数はコロナ前の2016年から急速に減少しています。そもそも構造的な問題が背景にあると考えます」。

以下のやり取りは専門的になり、正確を記すため、一部引用となる。

──構造的な問題とは何ですか。

「経済や雇用環境の問題です。例えば若い人ほど物価変動の影響を除いた実質賃金は下がっています。大卒の男性社員の実質賃金(21年基凖)について40歳時点の平均年収を比較したところ、バブル景気時に就職時期を迎えた人が多い1963年~67年生まれの世代に比べて、73年~77年生まれの人たちは約150万円低くなっていました」。

私の解釈:この世代間のギャップはこのままだと読者にあまりピンとこないだろう。これには少し補正の手助けが必要のようだ。

ここで挙げられ比較されている年代って誰なのよ?

ここで1963年~67年バブル期に生まれたのは今22年には何歳になっている人なのか?

63年~67年生まれの人は2022年現在59歳~55歳。

73年~77年生まれの人は2022年現在49歳~45歳。

では出生数が減少し始めた2016年ではこの世代の方は何歳だったのか?

63年~67年生まれは53歳~49歳

73年~77年生まれは43歳~39歳

この二つのグループに150万円の年収の違いがあることになる。

藤浪さんはさらに続けてこう言う。

「世代間での賃金の差を解消しなければ、教育などにかかるお金への心配から子供を持ちたいという意欲の低下につながります」。

ここで年収150万円と言う数字を考えてみよう。150万くらいと思うかもしれないが月収にすると12万5000円だ。

月に12万円は大きいな。確かに教育費など考えて子供の出産を手控える家庭があっても仕方がないのだろう。

藤浪さんはだからそこを解消しなければ少子化を食い止めることはできないよ!

こう言っているのだろう。

これには私も納得。しかしじゃあ具体的には誰がどこに手を付けるのか?

そこで、年頭の岸田総理大臣記者会見を思い出した。

4日のことだ。

岸田総理:「私は、本年を昨年の様々な出来事に思いをはせながらも、新たな挑戦をする1年したいと思っています」「異次元の少子化対策に挑戦し、若い世代から『ようやく政府が本気になった』と思って頂ける構造を実現すべく、大胆に検討を進めてもらいます」

ああ、またか!

「検討使」と評される岸田総理の奥の手か。

今回は検討に加えて「挑戦」という言葉を使っている。

「挑戦」ほど虚しい言葉はない。

勇ましく、やる気満々に聞こえるが、実際の所何をどうやるか、大事な具体策には触れていないのだから。

もう少し岸田総理の言葉をじっくりとみてみよう。

岸田総理は「少子化対策」のための三つの「具体的な方向性」を示した。

1つ目は、「児童手当など経済的な支援の強化」

2つ目は、学童保育や病児保育など「子育てサービスの強化」

3つ目は、育児休業制度をはじめとする「働き方改革の推進など

最後にこう言う言葉で締めくくっている。

「本年4月に発足する、こども家庭庁のもとで、今の社会において必要とされる子ども政策を体系的に取りまとめたうえで、6月の骨太方針までに将来的な子ども予算倍増に向けた大枠を提示していきます」

「子ども予算倍増」
何とも虚しい言葉だ。

防衛費は5年間で43兆円にすると言い切った岸田君が少子化対策になると、「挑戦」と言う勇ましい言葉とは裏腹に財源の話は一切なし。予算倍増っていくらだよ?

岸田総理はここで見たように少子化の問題にそれほど真剣に考えているようには見えないな。「敵基地攻撃能力」ではあんなにはしゃいでいた岸田君は人口が減っている、この目の前の「敵」より中国の方が怖いのか?

ここで来たぞ。

あの平気で嘘をつく小池知事が、岸田君の足元を見るように5000円をばら撒いた。

小池知事は4日、職員に対する新年のあいさつの中で、0歳から18歳のこどもに月5000円程度を給付する費用を来年度予算に盛り込む考えを示した。

関係者によると、所得制限は設けず、給付方法は今後検討するという。

月に5000円もらって、あなた、子どもつくる気になる???

「挑戦」対「5000円」

月に5000円と言うことは年間にすると6万円だ。10年で60万円か?!

何かを買うとか行動起こすとかきっかけにはなりそうだが、子供を産むきっかけになるのかどうか。疑問は残る????

これで日本の少子化に歯止めがかかるとは誰にもいえない。

さてここまで見て一つ政府や都庁役人でも忘れていることがある。

それは子供の出産につながっていくのはやはり男と女の出会いがあってからだ。

その昔「日高パーティー」なる言葉を聞いた人は少ないだろう。私も小学生かパーティー頃この「日高パーティー」なる言葉を聞いたのだろう。80歳を超えた今でも忘れられない単語だ。

しかし、それが何なのか?実態は知らなかった。思春期に入りかけていた年頃だ。男と女の話らしい。興味をそそられた。

今回スマホで調べたらこんな説明が出ている。

─────
1942年(昭和17年)に東京帝国大学理学部地球物理学科の第一講座教授になった。 終戦直後、青年達が米兵がもたらした自由を無批判に受け入れることを恐れ、国際的に通用するマナーを青年に身につけさせるための社交場を発足させた。 この社交場は日高パーティーと呼称された。
─────
別の欄に東大教授日高孝次の説明に「ことばんく」はこう書いている。

若い海洋学者の育成にあたる一方、若い男女の健全な交際を目的とし、1946年ごろより妻の艶子(つやこ)とともにいわゆる「日高パーティー」を主宰し、1978年の解散まで多くの良縁を結実させたのはよく知られている。
─────

実はは日本には世話好きなおじさんやおばさんが沢山いて、若者の男と女の子をくっつけるのを生き甲斐とする人たちがいっぱいいたのだ。

そう言やぁ、私も世話好きなおじさんがひと汗かいて作り上げたお見合いで一発結婚して、もう金婚式も終え今年秋には54年の月日が経つことになる。妻の父の教え子のおじさんが私の父の商売上の知り合いということが私と妻の人生を決めたのだ。広告代理店に勤めていたその方も既に鬼籍。

こんな世話焼きのおじさんがいなくなった訳ではないだろうが、何故か消えたのだ。その代わりに今はネット社会だ。

出会い系アプリがスマホを開けばバンバン出てくる。それに結婚相談所や婚活パーティーも繁盛しているようだ。

現代風世話好きおじさんはいない訳ではないようだ。しかし、日本の社会では結婚カップルも減少、子どもの数も凄いはやさでダウンしているのだ。

何故か?

ふと考えた。

そうか、オレも時間はあるし、人間に対する興味も絶えていないなぁ。

日高パーティー鳥越版でもやってみるかな?若者がやって来るかな?

有り余るほどの正月の時間の中で。

ボンヤリそんなことを頭の中でゆらゆらと。

(2023年1月9日)

 

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鳥越俊太郎 鳥越俊太郎

1940年3月13日生まれ。福岡県出身。京都大学卒業後、毎日新聞社に入社。大阪本社社会部、東京本社社会部、テヘラン特派員、『サンデー毎日』編集長を経て、同社を退職。1989年より活動の場をテレビに移し、「ザ・スクープ」キャスターやコメンテーターとして活躍。山あり谷ありの取材生活を経て辿りついた肩書は“ニュースの職人”。2005年、大腸がん4期発覚。その後も肺や肝臓への転移が見つかり、4度の手術を受ける。以来、がん患者やその家族を対象とした講演活動を積極的に行っている。2010年よりスポーツジムにも通うなど、新境地を開拓中。

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