【連載】モハンティ三智江の第3の眼

インド、第2波新規8万人台、イベルメクチンが効果も使用中止に

モハンティ三智江

☆コロナ余話/パンデミック下のサバイバル術は?

インドのパンデミックは、昨年3月から始まり、かれこれ1年3カ月になる。常々不思議に思っていることだが、一般庶民は経済的にこの危機をどのように乗り切っているのだろうか。

その答の一端が英字紙の記事から窺われたので、ここに記してみる。曰く、金の装飾品を担保に入れて、現金化し、何とか凌いでいる家庭が多いらしい。

インドでは、ゴールドの需要が高く(世界一)、金は財産、嫁入り支度としても金製品は必須、中流以上の既婚婦人は、ネックレス、ピアス、リング、腕輪(現地語でバングル)、足輪(グングル)に至るまで、一式揃えて、嫁ぐのである。

なぁるほどと、思わず膝を打っていた。ちなみに、私事で恐縮だが、うちは貯金を切り崩し、ホテル収入ゼロの窮状を凌いでいるが、パンデミックが長引く、ほんとそれこそ半永続的となったら、どう切り抜ければいいのかわからない。

楽観主義の私はまあ、なんとかなるだろうと、思っているが(思いたい?)。パンデミック下、ただでさえストレスが大きいのだから、起こってもいない先のことを考えてもしかたないと、今は目の前のことを淡々とこなすのみだ。

〇トピックス/インド政府のSNS規制

インドの通信IT省が2月に発布した新ITルールに則って、TwitterやFacebookに対して、メッセージの始源者を開示するよう指示、個人のプライバシー侵害にあたり、守秘義務に反するとして、争いになっていたが、Twitterは要求に応じる構えだ。

第2波大爆発を招いた政府の失策に批判の声が高まる昨今、首相退陣を求める声もソーシャルネットワークで広がっていたことが、規制強化に繋がったようだ。初期にも批判コメントの削除や、反対派のアカウントをブロックするようにとの要請があったが、言論の自由に反するとして、ソーシャルメディア側ははねつけていた。

インド首相、ナレンドラ・モディ(2014年から在任、70歳)には、グジャラート州首相時代の2002年のグジャラート動乱でヒンドゥ教徒がイスラム教徒を虐殺するのを看過した黒い過去が。所属のインド人民党がヒンドゥ至上主義の理念を掲げるせいか、狂信的で、言論の自由に対する締めつけが前政権より厳しく、反対派への弾圧が水面下で続く

 

が、Twitter現地法人オフィスに警察が踏み込むなどの威嚇行為もあり、屈した形での500アカウントがブロックされた。Twitterは、インドにユーザー1億7500万人(世界2位)を有する。Facebook傘下のWhatsAppは5億3000万人のユーザーを抱えるだけに、現在首都デリーの法廷で係争中だ。

これまでも、反対派の意見を封じるなどの統制疑惑が持ち上がっていたが、インドのヒトラーとの異名をとる、強権モディ首相(Narendra Damodardas Modi、1950年生まれ)の締めつけはいよいよ厳しくなったようだ。

編集注:ウイキペディアによると、アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler、1889年4月20日-1945年4月30日)は、国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)の指導者で、ドイツ国の首相(1933年1月30日に就任)、および国家元首(総統=Fuhrer)だった。

1939年のポーランド侵攻に始まる第2次世界大戦を引き起こし、戦争の最中でユダヤ人に対する虐殺(1942年から1945年4月までにナチス政権下でアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所などでおよそ600万人のユダヤ人が虐殺されたとみられている)、障害者に対するT4作戦などの虐殺政策を推し進め、最終的に連合国の反撃を受け、すべての占領地と本土領土を失い、ヒトラー率いるドイツ国政府は崩壊した。ヒトラー本人は包囲されたベルリン市の総統地下壕内で自殺した。

(「インド発コロナ観戦記」は「観戦(感染)記」という意味で、インドに在住する作家で「ホテル・ラブ&ライフ」を経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いており、随時、掲載します。

モハンティ三智江さんは福井県福井市生まれ、1987年にインドに移住し、翌1988年に現地男性(2019年秋に病死)と結婚、その後ホテルをオープン、文筆業との二足のわらじで、著書に「お気をつけてよい旅を!」(双葉社)、「インド人には、ご用心!」(三五館)などを刊行しており、コロナウイルスには感染していません。

また、息子はラッパーとしては、インドを代表するスターです。13億人超と中国に次ぐ世界第2位の人口大国、インド政府は2020年3月24日に全28州と直轄領などを対象に、完全封鎖命令を発令し、25日0時から21日間、完全封鎖し、4月14日に5月3日まで延長し、5月1日に17日まで再延長、17日に5月31日まで延長し、31日をもって解除しました。これにより延べ67日間となりました。ただし、5月4日から段階的に制限を緩和しています。

2021年7月1日現在、世界の感染者数は1億8215万3508人、死者は394万6015人、回復者数は1億1951万7978人です。インドは感染者数が3036万2848人、死亡者数が60万8454人、回復者が2936万6601人、アメリカに次いで2位になっています。

ちなみにアメリカの感染者数は3366万4894人、死亡者数が60万4714人(回復者は未公表)、日本は感染者数が79万8693人、死亡者数が1万4756人、回復者が76万5572人(ダイヤモンド・プリンセス号を含む)。インドの州別の最新の数字の把握が難しく、著者の原稿のままを載せています。

また、インドでは2020年3月25日から4月14日までを「ロックダウン1.0」とし、4月14日から5月3日までを「ロックダウン2.0」、5月1日から17日までを「ロックダウン3.0」、18日から31日を「ロックダウン4.0」、6月1日から6月末まで「アンロックダウン(Unlockdown)1.0」、7月1日から「アンロックダウン2.0」と分類していますが、原稿では日本向けなので、すべてを「ロックダウン/アンロックダウン」と総称しています。

ただし、インド政府は2020年5月30日に感染状況が深刻な封じ込めゾーンについては、6月30日までのロックダウンの延長を決め、著者が住むオディシャ州は独自に6月末までの延長を決め、その後も期限を決めずに延長しています。この政府の延長を「ロックダウン5.0」と分類しています。

2021年3月から第2波に突入するも、中央政府は全土的なロックタウンはいまだ発令せず、各州の判断に任せています。マハラシュトラ州や首都圏デリーはじめ、レッドゾーン州はほとんどが州単位の、期間はまちまちながら、ローカル・ロックダウンを敷いています。編集注は筆者と関係ありません)。

 

※この記事は「モハンティ三智江のインド発コロナ観戦記」(2021年7月6日)からの転載です。

原文はコチラ→インド、第2波新規8万人台、イベルメクチンが効果も使用中止に(74) 

 

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モハンティ三智江 モハンティ三智江

作家・エッセイスト、俳人。1987年インド移住、現地男性と結婚後ホテルオープン、文筆業の傍ら宿経営。著書には「お気をつけてよい旅を!」、「車の荒木鬼」、「インド人にはご用心!」、「涅槃ホテル」等。

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