【特集】ウクライナ危機の本質と背景

ジョー・バイデンは米国が本当にロシアのレジームチェンジを望んでいると伝えた(後)

ジョナサン・クック(Jonathan Cook)

・カラー革命

ネオコンが意図したのは、米国の覇権主義に最も抵抗する中東の権威主義体制の解体だった。イラクやシリア、リビア等の中東の権威主義体制の国々は、かつて勢いのあった英仏の植民地主義勢力が、彼らの利益を実現するためにわずか1世紀前に創設された国々である。

ワシントンでは、カラー革命や、中東に民主主義をもたらすといった新たなレトリックが持ち出された。これは、コソボでのNATOの違法行為を正当化するために発動された人道主義の創作された名目である。しかし、本当の目標は全く異なり、その最終目標は、ロシアや中国などの潜在的なライバルとなる超大国だった。

その目的は、ブッシュの「我々と彼ら」というドクトリンを具体化することだった。世界の国々は、米国という新たな世界帝国の属国となるか、「悪の枢軸」に属するとされる国々と同じ運命に直面するか、選択しなければならなかったのである。

中東での意図はバルカン化だった。米国は、その意思に反する国家に侵攻し、その国の権力機構を壊滅させ、その国の諸派閥(sects)や諸部族が互いに敵対しやすい内部分裂した社会だけを残すだろう。

「テロとの戦い」というスローガンの下、古い植民地体制を破壊し、米国が地球の重要な資源である石油を支配する新しい時代の到来を告げるはずであった。その過程で、ロシアや中国のようなライバルは、米国の属国や破綻国家に囲まれ、孤立し弱体化することになるのである。

しかし、この計画は、実際に実現するのは、ワシントン当局の誰もが想像していたよりもはるかに困難なことだった。アフガニスタンとイラクはいわゆる「泥沼化」した。米軍は瞬く間に過剰なまでに兵力を展開した。リビア、シリア、イラン、ベネズエラ、イエメンなど、様々な地域で米国は、主に代理人を中心に戦うことを余儀なくされた。

プーチンが最も重要な教訓を得たのは、間違いなくシリアでの出来事だろう。2011年、民衆の抗議運動が勃発し、やがて内戦へと発展したシリアのアサド大統領は、ロシア軍に支援を要請した。あっという間にアルカイダやIS(イスラム国)系のイスラム過激派がシリアに押し寄せ、現地の戦闘員とともにシリア軍に対抗するようになった。

アルカイダとISは米国の宿敵だったはずだが、ワシントンはすぐにその態度を変えた。米国は、湾岸諸国、イスラエル、欧州の同盟国を通じて、シリアを様々な支配地域に分割する際に、イスラム過激派を支援し、資金を提供し、武装させるために水面下で動いたのである。

シリアがかろうじて国家として存続できたのは、ロシアが長期に渡って介入してくれたからに他ならない。

・ロシアの防波堤

近年、プーチンが自問自答していたのは、こんなことだったのではないだろうか。ロシアの地理的な防波堤とされてきたウクライナに、米国とNATOが接近してきた真意はどこにあるのだろうか。その際、プーチンは以下のような背景を考慮したはずである。

① NATOは、東欧を横断してロシアの国境近くまで、約束にもかかわらず容赦なく拡大している。
②ワシントンの外交政策エリートの優先課題は、依然として、世界的な軍事的支配や、ロシアと中国がライバル超大国になるのを防ぐための包囲と孤立というネオコン的なものである。
③ワシントンは、人道主義がある現在でも国際法を破り、ロシアに近く米国が影響力を持たない国家を弱体化させるためには敵とさえ同盟する用意があることを示している。
④そして、ドナルド・トランプがクレムリンと共謀したという証拠のない主張を頂点とする西側諸国の長期にわたるキャンペーンは、プーチンを西側民主主義をひそかに破壊する悪の黒幕として描こうとしてきた。

国際法の問題は別として、プーチンがウクライナに侵攻したのは戦略的な失敗であったという議論はある。

上記の諸要因を前提とすれば、ロシアが侵攻した後のワシントンの目標は、ウクライナにとって最善の解決策を見つけることではないことをモスクワは認識していたはずである。そのためには、ロシアにとって最低限受け入れ可能な条件として、ウクライナの中立を約束する和平交渉が必要なのは明らかである。

それどころか、ワシントンはロシアの侵攻を利用して、プーチンを交渉の余地のない比類なき悪、新たなヒトラーとしてより明確に提示したのである。同時に、プーチンの犯罪は西側諸国の犯罪と類似しており、さらに重要なことに、西側諸国の犯罪に由来しているという結論から西側諸国民の目をそらすためにあらゆる努力が払われてきた。

 

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ジョナサン・クック(Jonathan Cook) ジョナサン・クック(Jonathan Cook)

マーサ・ゲルホーン特別賞(ジャーナリズム部門)を受賞している。近著には、以下のものがある。 ・”The Clash of Civilizations: Iraq, Iran, and the Plan to Remake the Middle East”, Pluto Press. ・"Israel's Experiments in Human Despair, Zed Books 彼のウェブサイトはwww.jonathan-cook.net。 ※この記事はMiddle East Eyeに掲載されたものです。 https://original.antiwar.com/cook/2022/04/01/joe-biden-has-confirmed-to-russia-that-the-us-really-wants-regime-change/

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