排除される国民主権、日本の国防政策 米国に従属
安保・基地問題沖縄県名護市の辺野古新基地建設や米軍基地の負担が沖縄を圧迫し続けて久しい。さらに今、琉球列島軍事要塞化が凄まじい勢いで進んでいる。自衛隊ミサイル部隊配備、安保関連三文書も閣議だけで決定された。住民の不安はものすごく高まっている。
しかし国防への住民の声は封殺されている。「有事=戦争」によって被害を受けるのは住民だが、本稿では国防は国の専管事項だとして住民の声がなぜ排除されるのかを考えたい。
今「台湾有事」と言うが、それは中国の国内問題だ。それを「日本有事」に結びつけたい人々がいることが分かってきた。その根底には、自衛隊を重武装化して中国に届く長射程ミサイルからトマホークに至るまで、兵器を買わせて利益を得たい人々がいる。国は5年間で約43兆円の軍事費を生み出して、うち1兆円は税金で賄うそうだ。すべて国民負担である。
これでは「子供の貧困」に一層拍車がかかるし、命の存続さえ危うい。しかし、国は「国防は国の専権事項」と言って、生存権が国民には無いとの言い分を繰り返す。誰一人譲ることのできない権利が人権であるのに、国側は国家行為によっては人権が制限される場合があるという。
国はなぜこれ程までに有事を煽動するのか。まず、2021年3月に米議会下院の公聴会で米インド太平洋軍のデービッドソン司令官が「6年以内」に中国が台湾に侵攻する危険性があると根拠無しに発言した。
また、2000年にアーミテージ国務副長官が日本へ有事法制の整備を提言した。アーミテージ氏は、2016年の米大統領選でヒラリー陣営を押してトランプ氏と対立して一時的に「アミテージ提言」は中断していたが、安倍政権時にアミテージ提言が復活し今に至っている。
2018年の「第4次アミテージ・ナイレポート」では、中国脅威論や北朝鮮脅威論を唱え、自衛隊と在日米軍の基地の共同使用など同盟の深化を提案し、日本にGDP比1%超の軍事費支出を求めた。
この提言通りに、安倍政権では安保法制改悪、集団的自衛権行使の容認、米国(軍)脚色、日本主役の「戦争シナリオ」ができ、岸田政権はその上を爆走している。日本の国防政策を米国が作っている証だ。
「国防は国の専権事項」の「国」とは米国というのがその正体である。米国に民意を伝えることができない独立性無しに対米従属に群れた権力者たちは、民意黙殺話法を連呼するしか手がない。私たちは見抜いている。しっかりと民意を発しよう。
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独立言論フォーラム・理事。那覇市出身、(財)雇用開発推進機構勤務時は『沖縄産業雇用白書』の執筆・監修に携わり、後、琉球大学准教授(雇用環境論・平和論等)に就く。退職後、那覇市議会議員を務め、現在、沖縄市民連絡会共同世話人で、市民運動には金武湾反CTS闘争以来継続参加。著書は『若者の未來をひらく』(なんよう文庫2005年)、『沖縄のエコツーリズムの可能性』(なんよう文庫2006年)等がある。