【連載】ウクライナ問題の正体(寺島隆吉)

第2回 きょう世界は変わった!! ロシアによるウクライナ「ドンバス2カ国」の承認

寺島隆吉

今までのブログで、「コロナ『感染者激増!』はこうしてつくられる」を書いたので、今日はその延長上で、「コロナ『ワクチン死なし!』はこうしてつくられる」を書こうか、それとも最近しばらく「研究所・花だより」を書いていないので、それにしようか迷ってい
ました。

ところがRTニュースを見ていたら「プーチン大統領がウクライナ東部のドネツク共和国とルガンスク共和国を承認するサインをした!」というBreaking Newsが飛び込んできました。

ドンバス「独立国」承認のサインをするプーチン大統領。https://www.rt.com/russia/550170-putin-donbass-ukraine-speech/

 

「これで世界は変わった!」「これでロシアとウクライナ=アメリカとの戦争はなくなった!」という思いが頭をよぎったので、急遽それについて書こうと決めました。

アメリカ軍がアフガニスタンから撤退するというニュースが入ってきたときも、「これで歴史は変わった」「帝国アメリカの終わりが始まった‼」と思いましたが、プーチン大統領の先のサインは、それに匹敵する事件だという思いが頭を駆けめぐったのです。

この間ずっと、いつロシアとウクライナ=アメリカとの戦争が始まるか、という不安・心配が私の頭を占領していましたが、これで戦争は遠のいた!という安堵感が一気に私の胸に広がりました。これでウクライナ「ドンバス地方」の住民の命が救われる‼という安堵感です。

ウクライナでは、8年前(2014年2月22日)にオバマ大統領がネオナチ勢力を利用して仕組んだクーデターが成功しました。それに反発し抵抗するドンバス地方の人たちは、急遽、ドネツク共和国やルガンスク共和国を設立し、ロシアへの編入を希望しましたが、残念ながら、プーチン大統領はそれを拒否しました。

クリミヤ地方の人たちはロシア編入を希望して、国民投票の結果それが認められたのに、ドンバス地方の2カ国はそれが認められなかったのですから、住民の悲しみ・絶望感はどれだけ深かったことでしょう。ドンバスもクリミヤと同じようにロシア語圏であり、ウクライナのクーデター政権による弾圧がひどかったのですから、これは明らかな二重基準でした。

プーチン大統領にしてみれば、クリミアの独立を認め、それをロシアに編入しただけでも、「プーチンによるウクライナ侵略だ!」とする世論が、アメリカを初めとする欧米で、大手メディアを利用して掻かき立てられていたのですから、そのうえドンバスまで併合したら、
どんな経済制裁を受けるかという思いがあったのかも知れません。

しかし、その結果、ドンバス地方の住民はウクライナのクーデター政権によってロシア語を話す権利を奪われただけでなく、ネオナチ勢力による民間軍事組織がたびたびドンバス地方に侵略し、住民を殺さつ戮りくする攻撃を繰りかえしてきました。

たとえば、2014年5月2日には、オデッサで反クーデター派の住民が虐殺されました。「サッカー・ファン」を装った「右派セクター」の集団が広場でテントを張っていた反クーデター派の市民を襲撃、殺害しているのです。

オデッサの反クーデター派の市民が労働組合会館の中へ誘導され、そこで虐殺されて建物が放火された映像を、当時、見ることができました。そのとき50名弱が殺されたと伝えられましたが、これは地上階で発見された死体の数にすぎず、地下ではさらに多くの人が殺され、運び去られたと証言する人もいました。

さらには、ロシアの戦勝記念日である2014年5月9日に、クーデター軍は戦車をドネツク州マリウポリ市へ突入させて市内を破壊、非武装の住民を殺害しています。これにたいして住民は激しく抵抗し、その様子は住民自身が携帯電話で撮影し、世界へ発信されました。他方、クリミアはロシア政府に守られ、全く無事でした。

最近でも、北京で開かれている冬季オリンピックの閉幕(2022年2月20日)を前にウクライナ軍はウクライナ東部にあるドンバス(ドネツクやルガンスク)にたいする砲撃を開始していました。ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は軍や親衛隊の動きを掌握できていなかっ
たのかも知れません。

そのウクライナ軍による攻撃が2022年2月17日頃から激しくなっていました。この連日、砲撃で住居が破壊され、ドンバスの住民の多くがロシアへ避難しているようす、テント生活をする住民のようすを、RTニュースの映像で見ることができました。

ですから私の胸は痛くなるばかりでした。そこに、プーチン大統領がドネツク共和国、ルガンスク共和国の独立を承認する映像が飛び込んできたのですから、やっと安堵の胸をなでおろすことができました。

ところが日本の大手メディアは相変わらず「ロシアによるウクライナ侵略の危険」というニュースばかりを報道し、赤旗ですら「ロシアはウクライナから手を引け」と言わんばかりの論調を書きたてるのですから、一般民衆は永遠に真実を知ることができません。

嘘のコロナ騒ぎが掻き立てられていたのと同じ構図が、ここにあります。

そこには、ウクライナの隣国ベラルーシの首都ミンスクで実施され、2015年2月、ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスの4カ国による首脳会談で合意された、いわゆる「ミンスク合意」を、誰が破っているのかについて、ほとんど言及がありません。

つまり「ドンバス地方の2カ国に高度の自治権を与える」とする合意事項が全く守られていず、停戦合意を破った攻撃がドンバス地方におこなわれていました。ドンバス地方の住民にたいする命の危険を、このまま放置するわけにはいかず、プーチン大統領が2カ国承認のサインに踏み切ったのは、だから当然とも言える行為でした。

さもなければプーチン大統領は、「いつまでドンバスの住民を危険にさらしたまま放置しておくのだ」「ドンバスの住民は8年間も待ち続けているのだぞ」という、ロシア国内の世論にさらされて、自分の地位すら危うくなったかも知れません。

 

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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