【連載】横田一の直撃取材レポート
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第24回 東京大地塾②:佐藤優氏と鈴木宗男参議院議員が米国追従の岸田文雄首相を批判―台湾有事有事想定に疑問提示―(2023年1月25日)

横田一

佐藤優氏:

最近、嫌になっているのが狭い分野の専門家たちが自分が分からないことに関して、ポピュリズムにおもねって、戦争を食い物にする連中が出てきた。例えば、ロシア軍事の専門家と言っている人が今月の文藝春秋で沖縄について書いている。

近く中国は沖縄の南西諸島沖で核を爆発させるかも知れないと。その時に台湾での中国の武力侵攻があった時にアメリカの側に立たないように牽制するかも知れない。その時にひるまずに政府と一体となって戦えるのかどうかが問われているとこの人は言っているわけ。これはとんでもないだよね。

そもそもウクライナ戦争によって、中国が台湾に侵攻するのかどうかは分からない。侵攻するというシナリオもあるよ。しかし、これだけ全世界を敵に回すような状況、これだけ経済制裁をかけられて孤立するという状況になるのだったら、そんなことをするよりも経済力をつけて、20年後にアメリカと同じ経済力をつければ、中国だって、国民党の中には大陸と一緒にやりたいと思っている人もいるわけだから柿が熟するように落ちてくると考える人もいると思う。

<私との質疑応答>

――(横田)アングロサクソン派の少数派に日本がついてしまっているということの一つが今回の安保三文書、防衛費倍増・敵基地攻撃能力保有ではないかと思うのですが、そのへんのお考えをお聞きしたいのと、「沖縄は防人であるべき」と櫻井よし子さんが12月15日の軍拡大集会に出て「もっと軍拡を進めるべきだ」と言った集会に、自民党はもちろん公明党も維新も加わっているのですが、こういう中でその状況をどう変えていけばいいのでしょうか。2点、お願いします。

佐藤優氏:

安保三文書の評価は、私と横田さんで違う可能性があると思うのですが、同時にもう一つ注目しないといけないのは、フランスのフィガロ(日刊紙)に数日前かなエマニエル・トッドさんの論考が出て、スペインとかロシアでも報道されて大きな話題になった。要するにフィガロに「トッドというのはフランスでは変わり者と見られている。

一種の破壊者と見られているのだけれども、日本ではトッドというのが受け入れられている。しかも『第三次世界大戦はすでに始まっている』という衝撃的なタイトルの本が10万部以上、売れているというふうに出ていた。これが横田さんに対する一つの回答になっていると思います。

政治エリートが表面上でやっているところは、日米同盟を重視してアングロサクソンと一緒にやっていこうと言っているのだけれども、“体”が政治エリートの通りに動いていない。

なぜあんな文書(安保三文書)を作っているのに、殺傷能力のある兵器を一つも弾の一発もウクライナに送らないのか。なぜ海産物の輸入を日本んは止めないのか。だからカニの値段が少し下がっているでしょう。アメリカがカニを禁輸しているから。なぜ空は開けているのか。

このちぐはぐな状態が出ているということがこの国の私は底流である。民意である。我々の集合的無意識ではないかと思っている。その集合的無意識から大きく乖離したところでは政治は動けない。

だから勇ましいスローガンのいろいろな講演会とかに、いろいろな人達が義理から参加するのだけれども、それと同じ考え方を持っているのかと言ったら、そうではない。そこの構図が面白いところだと思います。

そうすると、メデイアの課題は何かと言うと、特に横田さんがウクライナ戦争の中でも初動の時期から、日本全体がウクライナの戦争を支持しようと言った時に、いや、「私は違うのです」と言うのではなくて、それと違う見解を例えば、鈴木宗男が言っていました、佐藤優が言っていますということを丁寧に紹介してくれたでしょう。そこで、横田さんの発信のところから多様性が出てきたわけだよね。

横田さんの書いたもの、私も読みましたよ。そういう多様性を担保したメデイアが個人のところであって、そのネットワークがかつてないくらいの影響力を持つようになった。いまユーチューブを撮っていただいていることもその一つだよね。そうすると、先ほど私はインターネットについてネガテイブな側面があって重視していないと言ったけれども、ポジテイブな側面、これはインターネットがなければできなかったことだよね。

そういったことを総合的に考えてみると、横田さん、まだまだ、この日本の民意と、その民意に拘束されている政治エリートというのも捨てたものではない要素がある。だから、その中の殺傷兵器をウクライナに提供しないという部分もきちんと伸ばしていくと。でも今、率直に言うと、不安があるよね。勢いに流されて行って線を踏み越えて行って。それは非常に心配と感じています。

 

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横田一 横田一

1957年山口県生まれ。選挙取材に定評をもつ。著書に『亡国の首相安倍晋三』(七つ森書館)他。最新刊『岸田政権の正体』(緑風出版)。

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