【連載】ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 メールマガジン
ノーモア沖縄戦

メールマガジン第46号:鈍感の壁

ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会

今週の南西諸島軍事強化トピックス(8月1日~7日)

8月3日 http://nomore-okinawasen.org/2216/
◇ペロシ氏「訪台」 知事「冷静に対処を」政府、米中動き 慎重見極め’(琉球新報、2022.8.3)
◇米中、台湾周辺に艦船 米下院議長が到着(琉球新報、2022.8.3)
◇台湾警戒か 米機続々離陸 嘉手納 ペロシ氏訪台控え(琉球新報、2022.8.3)

8月5日 http://nomore-okinawasen.org/2227/
◇波照間「演習やめて」 演習海域から60キロ 住民不安募る(沖縄タイムス、2022.8.5)
◇識者談話 偶発的衝突の危険増す 星野英一氏(琉球新報、2022.8.5)

8月6日 http://nomore-okinawasen.org/2279/
◇中国軍演習「許されず」 玉城知事、強く非難 訓練中止 政府要請へ (沖縄タイムス、2022.8.6)

ペロシ米下院議長が中国の強い反対を押し切って訪台し、米中の軍事緊張が一気に高まった。中国空母2隻が出港、米空母も周辺海域に派遣。軍事緊張は沖縄に波及し、嘉手納基地で戦闘機が離発着、外来の空中給油機20機、電子偵察機が待機し、有事即応の臨戦態勢をもうかがわせた。

中国は対抗措置として台湾周辺で軍事演習を開始し、発射されたミサイルのうち5発が沖縄の波照間島南西海域に落下した。

波照間島で農業を営む男性は「不安や怖さを感じる。戦争が始まったらと思うといたたまれねい」。子育て中の40代の母親は「このまま島にいたらまずい気がする。何かあったときに逃げるところがない。どうにもならない」と戦争の恐怖を口にした(5日、沖縄タイムス)。

今週のトピックスを書いている私(沖縄市)を含め多くの県民が「戦争が始まるのでは」と恐怖を感じていると思う。このところの嘉手納基地周辺の戦闘機の飛行と爆音、米軍機の市街上空の低空飛行は尋常ではない。

ペロシ下院議長の訪台に対し、野添文彬沖国大准教授は「米中関係は危険水域まで悪化」したとし、米中双方が対抗措置を繰り返せば「偶発的な衝突の危険性」が高まる。有事に至れば「沖縄が真っ先に狙われる」と指摘した(3日、琉球新報)。

ペロシ氏の無責任な言動は米中の軍事対決の危険レベルを一段と高めた。有事が現実となれば日本が巻き込まれ、米軍の出撃基地である沖縄は必然的に戦場となる。にも関わらずペロシ氏訪台について日本政府は「コメントする立場にない」(松野官房長官)と傍観した。無責任と言うしかない。いたずらに軍事緊張を高める米側の対応を政府は批判し抑制すべきではないのか。

政府はペロシ氏訪台に口をつぐみながら、中国のミサイル発射を岸防衛相は「強く非難」、日米外相は「地域の平和と安定のため緊密に連携」を確認した。中国に対抗し、日米の軍備強化をさらに進めるということだろう。

星野英一琉大名誉教授は「対米協調一辺倒の日本の安全保障政策は、偶発的な衝突、緊張を高めるリスクにしかならない」と指摘した(5日、琉球新報)。

政府は米国に言われるがまま軍備強化の「対米協調一辺倒」に終始し、危機を回避する外交政策は見えない。岸田首相は就任以来、中国習近平国家主席との会談は昨年10月の一度きり(電話)。肝心の中国トップとの友和対話もないまま米中の覇権争いに巻き込まれるばかりだ。

玉城デニー知事は「日本が必要以上に米国寄りで関与すれば有事の危険性は高まるばかりだ」、「米国一辺倒でなく、日本の正しい外交姿勢を中国や周辺諸国へ明確に示すべきだ」と述べ、日本の独自外交を強めるべきだとした、という(6日、沖縄タイムス)。知事はウクライナ大使との会談でも、台湾有事を巡る情勢や在日米軍基地の沖縄集中に触れ「世界は覇権主義に陥ってはいけない」と述べた(同)。米国に物言わぬ政府に対し、これまでになく踏み込んだ。

アジアの国々は事態をどう見ているか。8月6日付読売新聞に詳しい。ASEAN外相会議の報告である。「対立から距離を置こうとする国の一方で、中国寄りの立場を明確にする国も目立った」とする。シンガポール外務省「地域の平和と繁栄には、安定した米中関係が不可欠」。マレーシア外相「米中両国を重要視し、双方の友人でいたい」。カンボジア外務次官「台湾や新疆ウイグル自治区、香港などはすべて中国の内政問題」、ラオス外務省「『二つの中国』を作り出そうとするあらゆる意図に反対する」。

どの国も米中の覇権争い、対決、分断を望まず、「安定した関係」を求めている。カンボジア、ラオスは「台湾は中国の内政問題」などはっきりと米国の関与を批判し反対している。ことさらに中国脅威論を煽り、中国包囲・排除への参加を促す米国、日本に対する周辺国の冷ややかな視線は明らかだ。

岡田充共同通信客員論説委員はノーモア沖縄戦が招いた講演会で「台湾有事は米国のプロパガンダであり、作られた有事」と指摘した。作られた有事に巻き込まれるのは日本であり沖縄だ。

同月7日、那覇市で開かれた「沖縄を平和のハブに」国際シンポで羽場久美子氏(国際政治学者)は、ウクライナ情勢と台湾情勢が類似し、「東アジア版NATOが形勢され、台湾、沖縄が防波堤になろうとしている」、「沖縄列島、日本列島3,000キロが中国封じ込めの要塞となり、ミサイルが米国に飛ぶのを抑える。私たちが米国を守る図式」と指摘した。伊波洋一参院議員は「日本の国益が何かを考えるべきだ」と提起した。

政府、自民党政治家は「台湾有事は日本有事」と言い募り、台湾を守るため「沖縄が標的になる」ことを当然視するかのようだ。県民の犠牲だけでなく日米中の戦争になれば被災は本土にも及び、最大の貿易相手国である中国との経済の破局が日本、周辺国に及ぼす影響は甚大だ。「日本の国益が何か」を政府は冷静に見据え、米国にものを言うべきだ。

8月1日 http://nomore-okinawasen.org/2187/
論壇 「ビッグレスキュー」沖縄開催 県民分断 知事は再考を(琉球新報、2022.8.1)
社説 戦争回避の役割果たせ 平和世論調査 (沖縄タイムス、2022.8.1)

8月2日 http://nomore-okinawasen.org/2196/
社説 平和外交こそ国民の声 戦争可能性ある48%(琉球新報、2022.8.2)

8月3日 http://nomore-okinawasen.org/2216/
ペロシ氏「訪台」 知事「冷静に対処を」政府、米中動き 慎重見極め’(琉球新報、2022.8.3)
米中、台湾周辺に艦船 米下院議長が到着(琉球新報、2022.8.3)
台湾警戒か 米機続々離陸 嘉手納 ペロシ氏訪台控え(琉球新報、2022.8.3)
英議員団が訪台計画か (沖縄タイムス、2022.8.3)
沖縄を東アジアの平和のハブに 7日、自治会館で国際シンポ(琉球新報、2022.8.3)

8月4日 http://nomore-okinawasen.org/2227/
知事、平和外交求める 中国軍事演習に懸念 米下院議長訪台 政府に現状説明要望(沖縄タイムス、2022.8.4)
米下院議長「台湾と団結」蔡総統と会談 統一圧力けん制(沖縄タイムス、2022.8.4)
過度な刺激 沖縄の負担 防衛ジャーナリスト 半田滋氏(沖縄タイムス、2022.8.4)
中国軍機22機が中間線越え飛行 台湾側へ 米議長に反発(沖縄タイムス、2022.8.4)
米インドネシア演習本格化 陸自初参加、降下訓練(琉球新報、2022.8.4)
嘉手納に外来機多数飛来 當山町長「冷静な対応を」 米下院議長 台湾訪問(沖縄タイムス、2022.8.4)
基地騒音被害、軍事演習実施・・・ペロシ氏訪台 生活に影響(琉球新報、2022.8.4)
与那国緊迫 不安募る 中国軍事演習「迷惑な話」(沖縄タイムス、2022.8.4)
賛否表明を避ける 日本政府、中国動向警戒(沖縄タイムス、2022.8.4)
強気の裏 南シナ海大迂回 中国軍「封鎖」で威嚇 米下院議長訪台(沖縄タイムス、2022.8.4)
民主重鎮 対中強硬で一貫 人権擁護の行動派 ペロシ氏(沖縄タイムス、2022.8.4)
社説 米下院議長の訪台 これ以上波風を立てるな(琉球新報、2022.8.4)
社説 米下院議長の訪台 緊張緩和の努力 今こそ(沖縄タイムス、2022.8.4)
無人機 宇宙サイバー強化 23年度防衛予算方針 過去最大 5.5兆円台(琉球新報、2022.8.4)

8月5日 http://nomore-okinawasen.org/2249/
レーザー・妨害電波が対象 土地規制法の基本方針(沖縄タイムス、2022.8.5)
レーザー照射 勧告対象 土地規制法 私有地デモ規制せず(琉球新報、2022.8.5)
知事、覇権争いに危機感(沖縄タイムス、2022.8.5)
知事「冷静な外交を」 軍用機の発着激化 嘉手納 ミサイル観測機も(琉球新報、2022.8.5)
国境の島 懸念増大 重なる96年台湾危機 EEZに中国ミサイル 演習区域 与那国漁場から50キロ(沖縄タイムス、2022.8.5)
竹富町長「住民保護、対策を」 EEZに中国ミサイル 被害は確認なし(沖縄タイムス、2022.8.5)
波照間沖 ミサイル落下 日本のEEZに5発 中国軍演習 台湾へ圧力(沖縄タイムス、2022.8.5)
台湾周辺 沖縄も念頭 中国軍幹部が言及(沖縄タイムス、2022.8.5)
台湾「封鎖」漂う暗雲 緊迫過去上回る規模 中国が大規模演習(沖縄タイムス、2022.8.5)
中国演習監視か 米偵察機が離陸 嘉手納基地(沖縄タイムス、2022.8.5)
日中外相会談 直前に中止 中国「G7が避難」ペロシ氏訪台 緊張高まる(沖縄タイムス、2022.8.5)
「力対力」の時代に 国交正常化50年 募る相互不信 (沖縄タイムス、2022.8.5)
波照間「演習やめて」 演習海域から60キロ 住民不安募る(沖縄タイムス、2022.8.5)
識者談話 偶発的衝突の危険増す 星野英一氏(琉球新報、2022.8.5)
与那国沖 80キロ落下 中国ミサイル 防衛相が批判(沖縄タイムス、2022.8.5)
竹富町長「住民保護、対策を」 EEZに中国ミサイル 被害は確認なし(琉球新報、2022.8.5)
北大東で防衛省測量 レーダー配備巡り きょう開始(沖縄タイムス、2022.8.5)

8月6日 http://nomore-okinawasen.org/2279/
中国軍演習「許されず」 玉城知事、強く非難 訓練中止 政府要請へ (沖縄タイムス、2022.8.6)
偶発的衝突の恐れ (沖縄タイムス、2022.8.6)
与那国 漁自粛よびかけ 中国ミサイル落下 漁、町に安全要請(琉球新報、2022.8.6)

8月7日 http://nomore-okinawasen.org/2290/
県漁連「中国演習中止を」週明けにも国に要請(琉球新報、2022.8.7)

文責:新垣邦雄(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 発起人)

(「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 メールマガジン第46号」より転載)

 

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