第7回 現在の紛争のそもそもの発端は 2014年にアメリカが仕掛けたクーデター
国際もっと驚くべきことには、ナチスドイツの敗北が決定的になると、アメリカは多くのナチス将校を北米や南米に脱出させる手助けさえしました。アメリカにとっては大いに利用価値のある将校でしたから。
これは、満州のハルビンで有名な生体実験をした「731部隊」の幹部が、アメリカとの取引で、細菌兵器の実験データを渡すのと引き換えに「戦犯裁判」を逃れたのと同じ構図です。戦犯として拘置所に入れられていた岸信介(満州国の実質的支配者だった)が、その後、釈放されたのも同じ理由だったのでしょう。
つまり今から考えると、英米の支配層が、裏口が全く手薄になっていたにも関わらずヒトラーのドイツを攻撃しなかったのは、ヒトラーを使ってソ連を崩壊させたかったからではないかと疑われるのです。
ナチス軍がソ連軍に敗北した後、英米が慌てて有名なノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)を企画したのも、南下するソ連軍をくい止めるためではなかったのか、という疑いが出てくる所以です。
この間の事情を櫻井ジャーナルは次のように述べています。
当初、イギリスのウィンストン・チャーチル政権やウォール街のアレン・ダレスたちはドイツが圧勝すると予測、静観していた。
ドイツ軍は1041年7月にレニングラードを包囲、9月にはモスクワまで80キロメートルの地点に到達。ドイツだけでなく、イギリスもモスクワの陥落は近いと考えていたという。
しかし、年明け直後にドイツ軍はモスクワで敗北してしまう1942年8月にドイツ軍はスターリングラード市内へ突入するものの、ここでもソ連軍に敗北、1943年1月に降伏した。
この段階でドイツの敗北は決定的で、日本の負けは決まった。
この敗北に慌てたイギリスは1943年5月にアメリカと協議、両国軍はその年の7月にシチリア島へ上陸している。
シチリア島でもコミュニスト(社会主義者・共産主義者)が住民に支持されていたため、アメリカ軍はコミュニスト対策として犯罪組織マフィアと手を組んだ。
ハリウッド映画の宣伝で有名なノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)は1944年6月のことだ。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202108310000/(櫻井ジャーナル2021.08.31)
つまり、裏でナチスを支援していただけでなく、ナチス亡き後の選挙で社会主義政権ができるのを防ぐために、マフィアとも手をにぎったのでした。
そして、さらにアメリカとイギリスの情報機関はレジスタンス対策のため、1943年の後半に特殊部隊「ジェドバラ」なるものを組織しています(同上「櫻井ジャーナル」)。
これはナチス対策ではなく民衆対策の部隊でした。やはりアメリカの支配者が一番怖かったのは、ナチスではなく社会主義を支持する勢力だったのです。
このことを考えると、プーチン大統領がウクライナでネオナチが跋扈する状態を放置できないと考えたのも、私には十分に納得できます。これを放置しておくと、この地が第2の「バルバロッサ作戦」の基地になる可能性があるからです。
アメリカが「1インチたりとも東に拡大しない」という約束を踏みにじり、NATOを強化拡大してロシア包囲網を着実に強化しているのですから、このプーチンの懸念を妄想と片付けるわけには決していかないでしょう。
なぜなら、ヒトラー軍は「バルバロッサ作戦」を遂行するにあたって、まずウクライナに乗り込んで、ウクライナの狂信的ナチス支持者を糾合して大部隊を組織させ、その部隊を引き連れて、ソ連に乗り込んでいるからです。
そして当時のウクライナ民族主義者たちも、ヒトラーを「ロシアからの解放者」と大歓迎し、その要求に喜んで応じたのでした(このこともドキュメンタリー『ウクライナ・オン・ファイヤー』で生々しく描かれています)。
オンライン署名を呼びかけたSさんは、「ウクライナの人々は、自国の独立と子どもたちの未来のために勇敢に戦っています」と書いていますが、これがいかに事実に反するかは、以上の説明から、少しは分かっていただけたのではないでしょうか。
この演説から、ドンバス戦争はロシア軍の進攻(2022年2月)に始まったものではなく、ドンバスの子どもたちは爆撃から逃れるため、すでに2014年から地下生活を強いられてきたことが分かります。
☆動画:https://www.youtube.com/watch?v=sNgZAu4QFOY
この動画は25 秒程度ですから是非すべてを見てください。なお、この動画を投稿された方は次のようにコメントされていました。「こ
の演説はドンバス地方の親露派グループに対するジェノサイド(民族浄化)そのものです」。
(寺島隆吉著『ウクライナ問題の正体1—アメリカとの情報戦に打ち克つために—』の第6章から転載)
〇ISF主催トーク茶話会:元山仁士郎さんを囲んでのトーク茶話会のご案内
〇ISF主催公開シンポジウム:新型コロナ対策の転換と ワクチン問題の本質を問う
※ウクライナ問題関連の注目サイトのご紹介です。
https://isfweb.org/recommended/page-4879/
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国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授