【連載】コロナ騒ぎ謎解き物語(寺島隆吉)

第9回 なぜWHOはイベルメクチンの使用を妨害するのか

寺島隆吉

冒頭の序章は、この本の出版経過を「まえがき」として簡単に報告するつもりで書き始めました。ところが、書いているうちにどんどん長くなり、とても「まえがき」といった体裁にならなくなったので、やむをえず「序章」としました。

それだけ長くいろいろ自分の思いを書いたので「あとがき」は必要ないと考えていました。しかし初校を印刷会社に渡した後になって、まだどうしても書いておかねばならないことがあることに気づきました。

というのは、ノーベル賞受賞者・大村智博士が開発した「イベルメクチン」という薬を、コロナ禍で苦しんでいるインドや他の国が採用しようとしても、それをWHOやアメリカが阻止しようとしていたからです。

その動きが、今回のコロナ騒ぎの本質を極めて明瞭に浮かび上がらせていると思うようになりました。そこでやむを得ず「あとがき」を書くことにしました。せっかく「序章」というわけで、77歳を目前にした老体にむち打って書き始めたのですが(7月12日が誕生日) 、これも「あとがき」どころか「終章」になるほどの長さになるのか、書き終わってみないと分かりません。

が、とにかく頑張ってみます。

私は、この本を出版するためにかなり勉強し外国の文献もできるかぎり調べたつもりでした。ところが次の記事を読むまで「イベルメクチン」という薬を、コロナ禍で苦しんでいるインドが採用しようとしても、それをWHOやアメリカが阻止しようとしていることを、恥ずかしながら私は知らなかったのです。

*日本発「イベルメクチン」 、インドがコロナ治療で感染者数減も、WHO「反対」のナゼ(朝日新聞AERA、5月26日号)。

*イベルメクチンはコロナ治療に有効か無効か、世界的論争の決着に日本は率先して取り組め(読売新聞4月28日)。

 

これらの記事を読むと、大村博士が開発した「イベルメクチン」がインドだけでなく世界中でコロナによる死者数・感染者数を激減させてきたことが分かってきました。ところがNHKを初めとする日本の大手メディアは、このことにほとんど言及してこなかったのです。

そして連日、大声で繰りかえされるのは「国民全員が政府のすすめるワクチン接種を受けなければ元の生活に戻れない」という論調ばかりでした。

朝日新聞も政府が進めようとしている、遺伝子組み換えのmRNAワクチンがどのような危険性をもつものかを検証せず、mRNAワクチンが危険だと警鐘を鳴らすひとを「陰謀論者」のように扱う記事「かすむリアル」を1面トップで載せる(4月30日)という対応でした。

確かに福井県議会議員の斉藤新緑氏が県内で大量に配布したビラは、その冒頭に「今度の新型コロナウイルスは、中国がアメリカと共謀して世界を共産化する計画の一環だ」といった趣旨の、実に荒唐無稽なことが書いてありました。

これでは、せっかくビラの後半で遺伝子組み換えワクチンの危険性を述べていても、その重要性を自ら帳消しにするビラの内容でした。

ところが世間的には右派であり自民党寄りだと思われていた読売新聞が、ワクチン接種で死者が出ていることを次のように報じていたので驚きました。

*持病ない46歳男性、ワクチン接種翌日に大動脈解離で死亡(読売新聞5月1日)。
*ワクチン接種後、新たに20~90代の男女20人死亡…累計39人に(読売新聞5月13日) 。

他方、一般的には左派・リベラルだと考えられていた朝日新聞が、ワクチンによる死者についてほとんど報じてこなかったのです。しかし先述のように、ここに来て朝日新聞のAERA(5月26日号)が「イベルメクチン」について報じ始めたことは喜ばしいことです。

とはいえ、先述の読売新聞(4月28日)が取りあげた「イベルメクチン」の記事と比べれば、やは副作用がほとんどないイベルメクチンを使用するべきとの声は強く、その採否は世界的なり見劣りのするものでした。というのは、読売新聞は「調査研究」というページで馬場錬成氏の論考を載せ、氏は次のように結論づけているからです。

■治療薬開発とワクチン接種にはまだ時間がかかる。医療経済学の観点からも薬価が安く副作用がほとんどないイベルメクチンを使用するべきとの声は強く、その採否は世界的な議論になっている。

■日本は、イベルメクチンのCOVID-19治療への使用を医師・患者の合意を条件に認めているが、積極的に承認する意向は見えない。率先して薬の効果を確認する取り組みを進めるべきだ。

イベルメクチンが世界でどのような劇的成果をあげているかは、先述の記事を読んでいただきたいのですが、馬場氏は右の論考でイベルメクチンをめぐる巨大製薬会社の意向を次のように詳しく説明しています。

 

イベルメクチンとは、北里大学特別栄誉教授の大村智博士が1974年、静岡県・川奈のゴルフ場近くで発見した微生物が生み出す「アベルメクチン」をもとにした化合物(誘導体)である。アメリカの製薬会社のメルク社との共同研究で、もともとは家畜やペットの寄生虫、回虫などの治療薬として1981年に開発された。 (中略)

最初に開発したメルク社は、イベルメクチンをCOVID-19の治療薬として適応するための臨床試験をやる気はなく、イベルメクチンとは別のCOVID-19の新薬開発に取り組んでいる。開発中の薬剤は、4月下旬には最終的な臨床試験に取り組み、9月ごろには承認申請を行う予定と報道されている。

わざわざ新薬を開発するのは、特許権のなくなったイベルメクチンをいまさらCOVID-19の治療薬として適応を取り付けても、経済的なうまみは何もないという側面もあるのではないか。体重70キロの患者の治療に必要なイベルメクチン(日本では「ストロメクトール」 )の薬価は、日本では約3,500円だが、世界的な相場は数百円といわれる。メルク社にとって、イベルメクチンは、もはや利益のない薬剤なのだ。

アメリカでメルク社が、イベルメクチンによるCOVID-19治療に否定的なのも、こうした事情と無関係ではないだろう。新たな特効薬が世に出るまで、イベルメクチンは「効果なし」であってほしいとの思惑があるのでは、と疑う声すらある。

これまで述べてきたような話は、多くの研究者や医療関係者の間で語られており、決して筆者の勘ぐりではない。人道とはかけ離れた医療算術でイベルメクチンの効果が過小評価されているとすれば、パンデミックと闘う有効な武器を不当に封じられていることになるのではないか。世界の多くの医師・研究者も同じ思いではないかと推測している。

ところが日本政府は、我が日本人が開発して薬価が安く副作用もほとんどなく、 「インド、アフリカ、中南米で圧倒的成果が確認されているイベルメクチン」を使う気がなく、アメリカその他から輸入した危険極まりない遺伝子組み換えのワクチンを、強力に推進しようとしているのです。

しかも、これら遺伝子組み換えワクチンはどれもEUA「緊急使用許可(Emergency Use Authorization) 」として特別に許可されているに過ぎず、FDA(アメリカ食品医薬品局)ですらワクチンとして正式に認めていないものです。

だとすれば日本政府も、単に「医師個人の判断による適応外使用を認める」といったごまかしで対応するのではなく、皆が安心して、かつ正式に保険で治療を受けることができるよう、イベルメクチンを特別認可すべきでしょう。

日本政府がそうしないのは、WHOや巨大製薬会社、あるいはアメリカの意向を忖度しているとしか考えられません。

それを絵に描いたような対応をWHOや各国政府もしています。私がそのことを知ったのは次のような英文記事を読んだからです。その翻訳は次のとおりです。

*WHOの主任研究員にインド弁護士会が告訴状。イベルメクチンの虚偽情報を流し、その効果(エビデンス)の圧殺を図ったとして
https://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-589.html( 『翻訳NEWS』2021-06-03)。

これはカナダのオタワ大学名誉教授ミシェル・チョスドフスキー博士が主宰するオンライン誌Global Researchに載った記事(2021-06-03)の翻訳です。

これを読むと、インド弁護士会(IBA)から、WHOの主任科学者であるソウミア・スワミナサン・ヤダブ(Soumya Swaminathan Yadav)にたいして、次のような告訴状が送られていることが分かりました。

「世界中で尊敬され、高度な資格を持ち、経験豊富な医師や科学者によって提示された大量の臨床データが存在するにもかかわらず、COVID-19の予防および治療としての薬品イベルメクチンの有効性を意図的に貶めるために、彼女はイベルメクチンに対する嘘の情報を流してきた」。

インド出身で、かつてはWHOの副事務局長をつとめたスワミナサン博士(女性)が、今度はWHOの主任科学者として、これまで積み重ねられてきた研究と報告を無視し、インドの人々へのイベルメクチン使用を思いとどまらせる目的で、イベルメクチンの有効性を意図的に貶めてきた、とインド弁護士会は告訴しているのです。

インドの二つの主要な医療機関であるインド医学研究評議会(ICMR)と全インド医科大学(AIIMS)も、スワミナサン博士の主張を拒否し、イベルメクチン推奨の立場を崩していません。

にもかかわらず、ワクチン製造業者と世界中の多くの政府は、WHOによってあらかじめ設定された計画を保持しようとし、イベルメクチンの有効性に関する情報を検閲しようとしているのです。

というのは、告訴状が通知される前に表示されていたスワミナサン博士に関する記事やレポートの多くがネットから削除されているからです。このことも、インドの民衆や科学者から怒りを買う要因になったようです。

では、イベルメクチンはインドだけでなく世界中でどのような成果を上げてきたのでしょうか。それを教えてくれるのが次の記事です。

*  “I Don’t Know of a Bigger Story in the World” Right Now Than Ivermectin: NY Times Best-Selling Author

これも、Global Research(2021-05-27)からの記事ですが、その副題は「では、なぜジャーナリストはそれを報道しないのか」 (So why are journalists not covering it ?)となっていました。この記事も、すでに次の『翻訳NEWS』に載せられています。

*ニューヨークタイムズのベストセラー作家の嘆き。 「今の世界でイベルメクチンほどの大ニュースを知らない。なぜそれが記事にならないのか?」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-586.html( 『翻訳NEWS』2021-06-13)

これを読んでみると、この記事は標題でも分かるように、ニューヨークタイムズのベストセラー作家だったマイケル・カプッツォが書いた記事「新型コロナウイルスを打ち破っ た薬品」が、なぜ大手メディアの記事にならないのかを考察したものでした。

というのは、カプッツォが書いた記事をどこの大手メディアも発表させてくれないので、結局、カプッツォの奥さんが編集者になっている地方の小さな月刊誌Mountain Home(2021-05-01)で発表せざるを得なくなった、というのです。

それはともかく、この記事ではその顛末を次のように紹介しています。引用が長くなりますがお許しください。これくらい詳しく紹介しないとイベルメクチンのすごさが分かっていただけないと思うからです。

イベルメクチンの劇的効果は歴然!60歳以上の住民にイベルメクチンを大量配布したペルーの8州(灰色表示)と、その数か月後になってやっとイベルメクチン治療を採用したリマ州(黒色表示)の、全死亡数およびCOVID-19による死亡数・発生数の比較。太い縦線は投与開始

 

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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