米国マスコミが自主検閲で隠してきた2022年の重大ニュース25連発~プロジェクト・センサード(検閲報道発掘プロジェクト)の最新発表~

佐藤雅彦

《プロジェクト・センサード》(https://www.projectcensored.org)は、カリフォルニア大学ソノマ校の社会学教授だった故カール・ジェンセン氏が「自主独立の民主主義社会を実現するためには真に自由な言論・出版・報道が不可欠であることを、学生と一般市民に学んでもらう」ことを目的に、1976年に開始した“メディアとジャーナリズムを監視するプロジェクト”である。

マスコミは黙殺しているが、ミニコミやジャーナリストが個人的に発表した時宜に即した重要な報道を、ジャーナリズムを専攻する学生と教員が(現在では一般市民も参加して)“発掘”して25件を厳選し、その重要性に応じてランキングをつけて発表する。

こうして“マスコミ黙殺報道”を発掘し、厳選し、その後にマスコミの報道が登場していないかを確認し、最終的にランキング付けして一般発表するまでに、少なくとも半年以上かけて5段階の選考過程を踏んでいる。

Broadcasting with journalist or newscaster reading newsletter, reporting news. People watching news on TV, reading press. Vector illustration for digital television, media, communication concept

 

76年の第1回“マスコミ黙殺報道”ランキングの第1位は、この年の選挙でそれまで全国的には全く無名だった南部ジョージア州知事のジミー・カーターがいきなり大統領になった背景に、当時は秘密結社も同然だった《外交問題評議会(CFR)》の後押しがあったことを暴(あば)いた極右団体のミニコミ記事だった。

このことから判(わか)るように、この“自主独立(インデペンデント)ジャーナリズム”の奮闘ぶりを讃(たた)える教育研究活動(プロジェクト)は、政治党派を右顧左眄(うこ・さべん)するちんけな党派主義や政治主義とは無縁なのだ。

日本では今や、新聞もテレビも、マスコミは政府や広告スポンサー企業の“プロパガンダ装置”としての正体を臆面(おくめん)もなく露(あら)わし、国民を騙(だま)すこと日常業務としている(特にコロナワクチン宣伝攻勢と対露対中報道の“御用提灯報道”は国民洗脳そのものだ!)。

ハッキリ言って、マスコミは今や“公害源”だ。(サンケイ新聞やNHKなんぞは言うまでもないが、朝日新聞・毎日新聞やTBSとかテレビ朝日も、ボンヤリと接していたら馬鹿になってしまう“公害源”でしかない……。)

日本の国民は、つまり我々は、そろそろマスコミに見切りをつけて自分の“羅針盤”を駆使し、“小さなメディア”の“大きな報道”に自主的に接して自己啓発に努めるべきである。さもなきゃ我々は「ゾンビ」と成り果て、政府の意のままに“従順に死ぬ”ほかない。(批判的思考を放棄した連中が“新型コロナ”ワクチンで早死を選んでいる嘆かわしい現状は、その典型だ。) 我々も日本で、こうした報道見直しの教育啓蒙イベントを開始すべき時が来ている。

2022年の春先に選考作業が始まり、12月中旬に公表された“マスコミ黙殺報道”トップ25をここに紹介する。(なお今年度は相互に関連するテーマが多いので、参照すべき報道を矢印()で示した。)

 


2022年の米国“マスコミ黙殺報道(センサード・ニューズ)”トップ25

https://www.projectcensored.org/category/top-25-censored-news-stories-2022

 

【第1位】IMF(国際通貨基金)の調査で、全世界の化石燃料業界は1分間に1100万ドル、年間では5兆9000億ドルの政府補助金を受けて保護されていることが判明。2025年には年間補助金総額が6兆4000億ドルに達する見込み。(→第4位、第11位、第23位)

【第2位】米国ではハリバートン社やサークルKストアを筆頭に少なくとも数万社がサービス残業、休憩抜き、最低賃金未満の雇用などでいわば「労賃ドロボー」を日常業務として行なっており、サービス業従業員、低賃金労働者や移民労働者を違法に搾取し続ける“疑似奴隷性の産業社会”が繁盛している。

【第3位】米国EPA(環境保護庁)は、「永久残留有毒化合物(フォーエヴァー・ケミカルズ)」として重大な社会問題になっているPFA(各種の有機フッ素化合物)やその他の有害化合物の危険性を警告した膨大な量の研究報告書を、市民の情報公開請求を無視して公表せぬまま庁内に隠匿し続けている。(→第23位)

【第4位】米国連邦議会・上下両院の民主・共和両党の少なくとも一二八人の議員が、化石燃料企業に投資していることが発覚。(→第1位、第11位、第23位)

【第5位】保守勢力が創設運営している《司法危機ネットワーク(JCN)》《連邦主義者協会(FS)》《85基金(ファンド)》など数多の政治工作組織が、2021年1月6日の「議事堂襲撃暴動(キャピトル・ライオット)」だけでなく、バイデン政権が推薦したタケンジ・ジャクソン判事の最高裁判事就任を妨害するための工作など、米国の民主主義を掘り崩す“陰謀工作”のために、それを実行する“ならず者集団”に数百万ドルの「闇の工作資金(ダーク・マネー)」を投入している。(→第9位、第16位)

【第6位】未曾有(みぞう)の食品値上げラッシュの元凶は、企業合併ブームがもたらした市場寡占化(かせんか)である。食品価格が記録的な上昇を続けている。その主要な元凶は、実は食品の生産・製造と流通・販売に携(たずさ)わる業界で、企業の吸収合併が繰り返されて来たことなのだが、マスコミに登場する「専門家」と称する連中や、政財界ヒモ付きの「御意見番(コメンテイター)」たちは、この事実と正反対の“見解”を吹聴(ふいちょう)して実態隠しに血道を上げている。

昨今では、経済界は新型コロナ感染症の流行をきっかけに始まった経済社会封鎖(ロックダウン)の桎梏(しっこく)を振り切ろうと必死だし、米国自体も凋落(ちょうらく)しつつある“米国通貨(ダラー)”の威力を全世界規模(グローバル)に維持拡大しようと必死である。

そうした情勢下で〔新型コロナ禍の「経済社会封鎖」政策や、ロシア・ウクライナ紛争による〕商品供給物流連鎖網(サプライ・チェーン)の破綻(はたん)や、バイデン政権の「経済活性化」政策が“物価高騰(こうとう)の元凶(げんきょう)”であると盛(さか)んに喧伝(けんでん)されている。

けれども2021年10月に進歩系の非営利ニュースサイト《コモン・ドリームズ(Common Dreams)》が発表した「業界の貪欲(どんよく)な金儲(もう)け主義こそが“物価高騰の真犯人”である、と研究者たちは指摘する」と題する記事で、ケニー・スタンシル記者が具体的な証拠を挙(あ)げて立証したのは、食品の生産・製造業者もその流通配給業者も小売り販売店網(チェーン)も“新型コロナの汎流行(パンデミック)”騒ぎに便乗して暴利を貪(むさぼ)っており、“数十年にわたって続いていた企業合併ブーム”がもたらした“甘い汁”を吸っている、という事実なのであった。

「この“企業合併ブーム”の結果、ごく少数の巨大企業が、未曾有(みぞう)の極端な市場支配を成(な)し遂(と)げて、その市場寡占(しじょう・かせん)のおかげで価格を意のままに決める権力を振(ふ)るうようになった」のである。

スタンシル氏の記事は《経世済民のための協同作業(グラウンドワーク・コラボラティヴ)(Groundwork Collaborative)》の最新の調査結果を報じているが、その調査で判明したのは、米国の食品業界は少数企業の独占状態になっており、この市場独占が消費者から“金を強請(ゆす)り盗(と)る”という暴走を生み出している、という現状なのであった。

その典型は牛肉業界で、この業界は企業合併が最も進行している業種であり、なおかつ物価全般の高騰に最も大きな“貢献”をしている業種でもある。同調査によれば、米国の牛肉産業は、巨大な複合企業体(コングロマリット)の4社だけで全市場の80%を支配しているが、牛肉の価格は2020年以来、12%も上昇するという驚異的な値上げが続いている。鶏卵(けいらん)業界もやはり劇的な価格高騰を成し遂げたが、これは捜査の対象となり、米国各地で訴訟も起きている。

“新型コロナ汎流行(パンデミック)”の騒動下で食品生産・製造業界と小売業界が前代未聞の収益を上げたが、これは次のような疑問を呼び起こした――すなわち「企業は大儲(おおもう)けしているのに、なぜ商品の値段をさらに上げ、しかも従業員の賃金を下げているのか?」という“謎”である。

米国最大のスーパーマーケット店舗網(チェーン)である《クローガー》社は、店内商品の値上げの理由を「物価全般の上昇基調(インフレーション)の所為(せい)」であると釈明してきたが、商品は“便乗値上げ”してきたくせに、従業員の賃金は8%も削減(カット)してきたのである。

ところが《クローガー社》のCEO(最高経営責任者)が「ちょっとぐらいインフレが亢進(こうしん)しているほうが、いつの世さって金儲け(ビジネス)には追い風なのだ」と得意げに公言していた事実を、スタンシル氏は暴(あば)き立てた。新型コロナの汎流行が始まって以来、「インフレは金儲けの追い風」という“金言(モットー)”を多くの巨大企業が実践して、大儲けをやり遂げたくせに、世間に対してはそれを誤魔化(ごまか)そうとしているようである。

“食品と水の安全”を中心にエネルギーや環境などの分野で、政府の失策と企業の暴走を監視し追及し続けている米国の非営利組織《食と水を見守る運動(フード・アンド・ウォーター・ウォッチ)(Food and Water Watch)》と、英国の進歩系日刊紙《見張り番(ガーディアン)(Guardian)》は、米国最大級の食品生産・製造業者の“市場支配”の現状について共同調査を行ない、これまで見逃(みのが)されてきた実態を公表した。

すなわち2021年7月14日に《ガーディアン》紙が「これが真相だ!:米国の食品市場独占の実態と、その尻ぬぐいを強(し)いられる消費者たち」(ニーラ・ラクハーニ、アリヤ・ウテウオヴァ、アルヴィン・チャンの三記者による協同取材執筆)と題する記事を発表し、ほんの一握りの「食品業界の巨大企業」――クラフト社、ハインツ社、ゼネラル・ミルズ社、コナグラ社、ユニリーバ社、デルモンテ社など――が食品雑貨の代表的な61品目の各々(おのおの)について、平均して、総販売額の64%を売り上げていることを暴(あば)き出した。

《食と水を見守る運動》の政策分析家(ポリシー・アナリスト)であるアマンダ・スターブック氏は、こう喝破(かっぱ)している――「これは、農民や労働者を搾取(さくしゅ)し、《何を選ぶべきか》や《豊かさとは何か》や《本当にお得で優れた商品とは何か》といった認識関心に向かう消費者の心を欺(あざむ)きながら、少数の巨大企業の株主や経営幹部だけに巨額の大金が流れ込むように“設計(デザイン)”された、一種の仕掛け(システム)なのです」。

企業合併がもたらした“市場の寡占化”と、消費者が安直(あんちょく)に思い込んでいる“選択の自由”なるものが単なる幻想にすぎないことを明快に示している一つの典型として、《ガーディアン》紙は、炭酸飲料市場の実態を引き合いに出した。炭酸飲料は実に夥(おびただ)しい種類の“商標”や“商品名”で売られているけれども、それらの93%が、僅(わづ)か3社の商品なのである。

さらに玉蜀黍(とうもろこし)の缶詰(缶入りコーン)は僅か4社が市場の55%を占めている市場寡占状態だし、〔元々はペプシコーラの製造販売元だったが合併と企業買収を繰り返して今や《ネスレ》社に次ぐ世界第二位の多国籍食品飲料企業となった〕《ペプシコ》社は、〔クラッカーや生(なま)野菜などに塗布するクリーム状の味付けソースである〕“ディップ”の市場の88%を市場を占有し、“ディップ”の代表的な銘柄(ブランド)である「トスティートス」「レイズ」「フリートス」などは、いずれもペプシコ社が数多(あまた)所有している看板の一部にすぎない。

朝食用の加工穀物食(シリアル)も事情は同じで、スーパーマーケットの“シリアル食品”コーナーに行けば夥(おびただ)しい種類の商品名のシリアル食品が商品棚(しょうひんだな)を賑(にぎ)わしているが、これら“多種多様な商品”の実に73%が《ゼネラル・ミルズ》と《ケロッグ》と《ポスト》という僅(わづ)か3社の商品なのである。

食品生産・製造業界だけでなく「食料品店」すなわち食品小売業界も、企業合併による市場の寡占化は深刻化していて、《食と水を見守る運動》のスターブック氏が《ガーディアン》紙に語ったところによれば、スーパーマーケット業界で企業合併が過度に進んだ結果、経営規模が小さい食料品商や地域限定的(ローカル)な小売店舗系列網(チェーン)は一掃(いっそう)されてしまい、米国では「今や食料品店の数は、25年前の3分の2ほどまでに、減った」という。

自由主義と進歩主義を旗印(はたじるし)に掲(かか)げる《アメリカの展望(アメリカン・プロスペクト)》誌は2022年1月31日付けの「我々はいかにして“物流供給連鎖網(サプライ・チェーン)”を断ち切ったか」と題する記事で、物価高騰(インフレーション)の“元凶”として、今や「物流供給連鎖網(サプライ・チェーン)の機能不全」が最も安直(あんちょく)に“罪”を擦(なす)り付けられる標的(贖罪の山羊(スケイプ・ゴウト))にされているけれども、実は、企業合併がもたらした市場の寡占化こそが、物流にこうした障害をもたらしている元凶なのだと、実情を暴(あば)き立てた。

《経世済民のための協同作業(グラウンドワーク・コラボラティヴ)》の主席経済学者(エコノミスト)ラキーム・マブード氏とディヴィド・デイエン氏が共同執筆したこの記事は、巨大企業に寡占支配された市場は「庶民(しょみん)に商品を安全確実に供給するよりも、むしろ企業利益を最大化させて行く」ものへと変質してしまうことを論証し、「〔物流供給連鎖網(サプライ・チェーン)の機能不全という〕問題は新型コロナ汎流行のさなかに顕在化(けんざいか)したけれども、本来、起こるべくして起きたものだった」と断定した。

なにしろ、あらゆる海上輸送貨物のうちの80%までが、世界中のコンテナ定期船会社が事業者間および荷主(にぬし)とのあいだで結んでいる国際カルテルである“地球規模の海運同盟(グローバル・アライアンス)”のうちの、上位三大同盟の手に委(ゆだ)ねられているのだから、海運におけるこの市場寡占のせいで、新型コロナ汎流行による〔全世界的な経済社会封鎖(ロックダウン)措置によって海運労働力に重大な欠員が生じて〕輸送日数に極端な遅れが生じているのに、便乗的な「割増料金(プレミアム)」を吹っかけるという暴挙がまかり通ることになった。

その結果、これらの寡占的な海運業者は、輸送料金を10倍にも値上げしたことで「2021年には第1~第3“四半期”に800億ドル近い大儲けを成し遂げたが、この金額は2010年から20年までの丸10年間の収益の2倍にも達する」という途方(とほう)もないボロ儲けとなった。

体制べったりの御用(エスタブリッシュメント)メディアは、近年の津波のような物価上昇(インフレーション)の襲来を、執拗(しつよう)かつ網羅(もうら)的に書き立て、騒ぎ立ててはいるけれども、巨大企業の市場寡占が価格競争を阻害(そがい)して消費者を無視した“値上げの猛襲(もうしゅう)”を生み出している現実を、指摘する報道は滅多(めった)に現われず、むしろこの問題から目を背(そむ)けたり否認するのが常態(じょうたい)となっている。

2021年9月にバイデン政権は、食肉業界で企業合併が過度に進行して市場寡占状態になっていることが食肉価格高騰の元凶である、と公式に認めたものであるが、その後もマスコミ各社はこの事実を徹底的に黙殺し、むしろ政府が「物価高騰(インフレーション)」と「企業合併による市場寡占化」の関連を追及しようとしている試みを、“バイデン政権の経済刺激策に対する保守派からの批判を、あらぬ方向に逸(そ)らすために食肉業者に責任を転嫁する情報操作である”と、揶揄(やゆ)した。

2022年1月に『ニューヨーク・タイムズ』が載せた或(あ)る記事などは、「企業合併は長年にわたって盛んに行なわれてきたけれども、物価はこの数十年間さほど上がっていなかった」という“理由づけ”をして、企業合併による市場寡占化が物価高騰(インフレーション)の要因になっていることを、あたかも“言いがかり”であるかのように印象づけて否認していたのである。

同紙は、別の記事で、企業合併の行き過ぎが物価高騰に多少なりとも関与していることに軽く触れたけれども、むしろその記事は「物流供給連鎖網(サプライ・チェーン)が破綻(はたん)を来(きた)したと、政府から支給された現金でまだ潤(うるお)っている消費者の止(と)め処(ど)なき物欲」のせいであると、“責任”をあらぬ方向に転嫁(てんか)して見せたのだ。

これはまさに米国を代表する“大新聞”が、業界団体の《北米食肉協会(ミート・インスティチュート)》や、《全米商工会議所(USチャンバー・オヴ・コマース)》のような“実業(ビジネス)”利益院外工作団体(ロビーイング・グループ)の“物の見かた考え方(パースペクティヴ】)”を前面に押し出して、紙面で代弁するという所業(しょぎょう)である。

これらのマスコミ報道は、《アメリカの展望(アメリカン・プロスペクト)》誌や英国《ガーディアン》紙が行なったような企業合併ブームがもたらした市場寡占状態と超巨大企業の出現が食肉価格の高騰の元凶になっている可能性の検証に、匹敵するような“調査報道”を全く行なっていないのだ。

これらの巨大マスコミとて“まったく救いがない”というわけではなく、たとえば『ニューヨーク・タイムズ』は2022年5月に、《経世済民のための協同作業(グラウンドワーク・コラボラティヴ)》のリンゼイ・オウエンズ事務局長による辛辣(しんらつ)な“解説記事(コメンタリー)”を載せている。

この“解説”でオウエンズ氏は、巨大企業が「“物価高騰の世情(インフレーション)”を隠れ蓑(みの)に用いて“値上げ”を行なって暴利を貪(むさぼ)っている」と批判し、その具体例として〔畜殺・精肉加工・包装・冷凍輸送を取り扱う精肉加工・卸売(おろしう)り事業である〕“食品加工卸売(ミート・パッキング)”の業界と、海運(シッピング)業界では「市場に寡占状態をもたらした少数の大企業の“市場支配力”こそが“価格を決める権力(プライシング・パワー)”になっている」と指摘したのである。

これと同月には、米国を代表する実業雑誌《フォーブズ》も、“持続可能な食品の生産流通(サステイナブル・フード)”を提唱し、ビジネスとして成功させてきたエロル・シュワイツァー氏が長文の論説記事を寄稿(きこう)して、食品市場の寡占を成し遂(と)げた極(ご)く少数の巨大企業が“新型コロナ汎流行(パンデミック)”を隠れ蓑(みの)に用いて“棚(たな)からボタ餅(もち)”式の暴利を貪(むさぼ)っている現状に対する批判を、世に出した。

しかしこうした“論説”記事は、ほとんど皆無(かいむ)に近いし、報道機関が全社を挙(あ)げて調査報道に取り組んだ成果ではなく、たいていは社外の“有識者”に“私見(オピニオン)”を書かせて掲載したにすぎないわけで、報道機関としては無責任な“発表もの”であるし、そもそもこうした批判的記事は掲載数が少なすぎて、“少数の巨大企業による市場寡占がもたらした恣意的(しいてき)な値上げ”という現状から目を背(そむ)けて、それ以外のあらゆる事柄(ことがら)を“食品価格の値上げの元凶”であると決めつけ、責め立てて止(や)まない何百何千のマスコミ報道に完全に埋もれてしまっている。(→第2位、第24位)

 

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佐藤雅彦 佐藤雅彦

筑波大学で喧嘩を学び、新聞記者や雑誌編集者を経て翻訳・ジャーナリズムに携わる。著書『もうひとつの憲法読本―新たな自由民権のために』等多数。

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