【連載】コロナ騒ぎ謎解き物語(寺島隆吉)

第15回 『長周新聞』批判─「反ワクチン」は陰謀論 !?⑤:かつての「北斗七星のような存在」に復帰せよ

寺島隆吉

今から考えてみると、 「北斗七星」が急速に輝きを失い始めたのは、香港やベネズエラの記事からです。

香港で若者たちが、いわゆる「雨傘革命」なるものを始め、それが大手メディアの話題にもなりました。

しかし、この「雨傘革命」にCIAなどから資金が出され指導者とされる若者は何度もアメリカに招待されて指導を受けていたことは、ずっと以前から明らかにされていたことでした。

すでに『翻訳NEWS』でも次のように翻訳がいくつも掲載されています。したがって香港問題の真相・実像は、知る気があれば情報はいくらでも手に入れることは可能でした。

(1)香港問題とアメリカの大胆さ――それは中国への「不安定化工作」の一部だ
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-135.html( 『翻訳NEWS』2019-09-08)
(2)「香港暴動」の真相
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-164.html( 『翻訳NEWS』2020-01-07)
(3)投石機を使った香港の民主化?――主流メディア「香港報道」の歪み
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-163.html ( 『翻訳NEWS』2020-01-07)
(4)「香港デモ」と「インドデモ」の相違――「香港デモ」にはアメリカのてこ入れがある( 『翻訳NEWS』2020-02-04)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-331.html
(5)コロナウイルスが香港の偽「民主派」暴徒をあぶり出している(『翻訳NEWS』2020-03-31)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-218.html
(6)香港はもはやイギリスではない。そんな事実もなかった。イギリスが抱えていた無意味で偽善的な植民地主義的懐古趣味はそろそろ全部手放した方がいい( 『翻訳NEWS』2020-07-05)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-331.html

アメリカからの指導を受けた「雨傘革命」――投石機を使った香港の民主化?

 

ところが赤旗は特派員をせっかく香港に派遣しながら、その取材をもとに「中国政府は香港における人権弾圧を止めろ」という論陣を張っているのです。とはいえ、これは赤旗だけを責めるわけにもいかないでしょう。

というのは、労働運動を積極的に推進し、民衆の利益を守ることを目的にしてきたはずのレイバーネットTVが、香港からわざわざ大金をかけて「雨傘太郎」なる匿名人物を呼び寄せ、このTVに登場させていたからです。

私は、これに対して「せっかく大金をかけて東京に呼び寄せるのであれば、なぜ辺野古で基地移転反対のために体をかけて闘っている人物を呼ばないのか」と電話をしたのですが、レイバーネットTVの責任者は聞く耳をもちませんでした。

この間の事情は、私の下記ブログに詳しく書いてあります。自分でも驚いたのですが、何とこの記事はすでに2014年に書かれていたのです。
(6)香港「オキュパイ・セントラル」 、別名「雨傘革命」を考える(上)(ブログ『百々峰だより』2014-10-21)
http://tacktaka.blog.fc2.com/blog-entry-200.html
(7)香港「オキュパイ・セントラル」 、別名「雨傘革命」を考える(下)(ブログ『百々峰だより』2014-11-17)
http://tacktaka.blog.fc2.com/blog-entry-201.html

それはともかく、この香港をめぐる報道は赤旗がレイバーネットTVと同じレベルの報道機関に成り下がっていることを示しています。つまり「日本の前衛」と自称していたはずの政党の機関紙ではなくなっているのです。

これはベネズエラに関する報道についても同じです。アメリカはベネズエラの政権転覆を企て、それに失敗するとグアイドなる人物を勝手に「暫定大統領」に任命して、世界各国にも、この政権を認めるよう要請しました。

アメリカによって「ベネズエラ暫定大統領」に任命されたグアイド

 

こんなことが許されるのであれば、中国やロシアも、自分の好きな国に自分の好きな人物を傀儡として擁立し、いつでも傀儡政権・傀儡国家を作ることができます(かつて日本も同じ方法で、中国の地で「満州国」を作りあげました )。

ところが驚いたことに「日本の前衛」と自称する政党は、わざわざベネズエラ大使館にまで出かけて「マドゥーロ大統領は民衆弾圧をやめろ」と抗議したのでした。

これでは、共産党は「北斗七星のような存在」であることを投げ捨て、普通の政党になりさがってしまったことを意味しています。

だとしたら、政党助成金を拒否して党費と赤旗の売り上げ、そしてカンパ・寄付金だけで党運営をしてきた、従来の姿勢を撤回したらいかがでしょうか。

なぜなら、現在の共産党は党員の人数も減り、赤旗の売り上げ部数も減りつつあると聞いています。とすると党運営の財政も非常に苦しくなっているのではないでしょうか。だとすれば、このさい従来の姿勢を捨てて政党助成金をもらったらいかがでしょうか。

議席を維持するために大衆迎合的な政策をとるのであれば、普通の政党と変わらなくなっているのですから、政党助成金を拒否する理由もありません。普通の政党と同じように行動すればよいだけですから。

ちなみに、ベネズエラ情勢についても、『翻訳NEWS』には、次のように多くの情報が溢れています。

(8)緊迫するベネズエラ情勢――アメリカはどう動くか? (『翻訳NEWS』2019-02-10)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-92.html
(9)Otpol(オトポール)の台本どおり、ベネズエラ反政府勢力が「兵士にバラを!」作戦(『翻訳NEWS』2019-03-01)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-97.html
(10)ベネズエラ危機をねつ造し、不安定化工作から介入の機会を窺うアメリカ (『翻訳NEWS』2019-05-23)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-117.html
(11)フアン・グアイドはアメリカの「でっち上げ」――アメリカはどのようにベネズエラのクーデター指導者をつくり出したのか(『翻訳NEWS』2019-06-14)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-120.html
(12)「人間としての品性を著しく欠く行為」 。オリバー・ストーンは、COVID-19危機の最中での、イラン、ベネズエラに対するアメリカ政府の制裁行為を厳しく糾弾する(『翻訳NEWS』2020-05-04)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-260.html
(13)単なる窃盗事件ではなくロンドンの信用に対する殺害事件だ。英国はベネズエラの正式な大統領マドゥーロ氏に金塊の返還を拒否(『翻訳NEWS』2020-08-21)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-365.html
(14)キューバとベネズエラに対するソフト・クーデターは失敗に終わる( 『翻訳NEWS』2021-08-08)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-626.html

私財と会費でなりたっている小さな翻訳サイトにできることを、赤旗のように特派員を持ち取材力もあるはずの機関紙ができないとは、不思議でなりません。

いずれにしても私は、自称「前衛政党」が従来の輝きを取りもどし、かつての「北斗七星のような存在」に復帰することを願ってやみません。

(寺島隆吉著『コロナ騒ぎ謎解き物語2—[メディア批判]赤旗から朝日まで 私たちはガリレオ時代に戻ってしまうのだろうか』の第1章5節から転載)

 

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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