アメリカ理解の歩き方――大統領選挙にみるアメリカ民主主義の腐敗・堕落
国際百々峰だより(寺島隆吉)2020/11/22
http://tacktaka.blog.fc2.com/blog-entry-390.html からの転載記事
カテゴリー:アメリカ理解(2020/11/22)
タグ:ウクライナの政権転覆、バイデン氏の息子ハンター・バイデン、ウクライナの天然ガス会社ブリスマ・ホールディングス、アメリカの選挙制度とりわけ投票システムの問題、ツイッターとフェースブックによる情報検閲・ブロック
私が主宰する国際教育総合文化研究所は、その活動の一環として『寺島メソッド翻訳NEWS』というサイトを運営していますが、その「翻訳グループ」の皆さんに送ったメッセージを以下に紹介します。
というのは、「これは単に研究所内部だけでなく外部にも紹介する価値があるのではないか、とくに冒頭の情勢分析が啓発的なので」という有難い声が聞こえてくるからです。どうか御理解いただければ幸いです。
以下が、そのメッセージです。
「翻訳グループ」の皆さん
Cc: 研究所の皆さん
アメリカ大統領選挙をめぐる混沌が未だに続いています。
大手メディアは相変わらずトランプ叩きに集中していますが、相手候補のバイデンにつては、次のような疑惑が出ているにもかかわらず、これに言及している大手メディはありません。
1)バイデンがオバマ政権で副大統領だったとき、ウクライナの政権転覆に関わっていたこと
2)政権転覆後はバイデン氏の息子がウクライナの天然ガス会社ブリスマ・ホールディングス(本社はキプロス)で、ジョン・ケリーの義理の息子と一緒に重役として迎え入れられていること
3)そしてその会社が不正経営の疑惑で、ウクライナの新政権によって捜査対象になってて検事総長みずからが捜査にのりだしていること
4)他方、副大統領時代のバイデンは、2018年1月23日にCFR(外交問題評議会)で行った発言で、「ウクライナのクーデター政権に対し、10億ドル欲しければ検事総長を解任しろと恫喝、実際に解任されたことを自慢している」こと
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201909250000/
このような事実が明らかになれば、バイデンは即座に大統領候補としてふさわしくない人物として選挙戦から撤退せざるをえなくなるはずですが、前述のとおり、大手メディアはこれにたいして沈黙を守っています。
それどころか、このような事実をワシントン・ポスト紙が伝えようとしたところ、その内容をツイッターとフェースブックが検閲でブロックしているのです。驚いたことに、大手メディアどころか代替メディアですら、バイデン擁護にまわっているわけです。
その事情を櫻井ジャーナルは次のように伝えています。
ジョー・バイデン前副大統領の息子であるハンター・バイデンの電子メールの内容をワシントン・ポスト紙が伝え、その内容をツイッターとフェースブックが検閲でブロックしていることが話題になっている。ウクライナの天然ガス会社ブリスマ・ホールディングス(本社はキプロス)や中国のエネルギー会社CEFCを相手に、バイデン家がいかに稼いでいるかを電子メールは明らかにしているのだ。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202010230000/
同じような問題に東京都知事選があります。都知事選では、現職の小池百合子都知事がカイロ大学を卒業していないにもかかわらず、学歴詐称のまま立候補しました。
小池知事がカイロ大学にいたころ一緒に暮らしていた女性にインタビューした石井妙子氏が、著書『女帝小池百合子』でその詳細を暴露しているのですから、大手メディアがこれをきちんと追求すれば、小池知事も選挙戦から撤退せざるを得なかったはずです。
バイデン元副大統領のウクライナ疑惑は学歴詐称などといった小さな問題ではなく、国家を越えるスキャンダルです。にもかかわらず、それを不問にしたまま大統領選挙が闘われていることは、アメリカ民主主義がいかに腐敗堕落しているかを示すものです。
アメリカ民主主義がいかに腐敗堕落しているかを示すものとして、ここでもうひとつ取りあげておきたいのは、アメリカの選挙制度とりわけ投票システムの問題です。
アメリカ大統領選挙の投票日は平日であって土日ではありません。ですから一般の労働者は投票のためにわざわざ仕事を休まなければならないのです。
しかも、せっかく仕事を休んで投票所に行くとしても、投票所が遠すぎて自家用車のないひとには投票そのものが大仕事だったり、投票所にたどり着いても投票箱の数が少ないので、長い行列をつくって延々と待たなければいけないのが普通になっています。
つまり一般国民にとっていかに投票しにくいものにするかがアメリカの選挙制度だと言えるわけです。このことは黒人が多い地区では特に顕著です。
そのうえ今回の大統領選挙で大きな話題になったのが「郵送による投票」です。アメリカでは投票マシーンによる電子投票制度をとっているところも多くなっていますが、この電子投票ではしばしば不正操作が問題になってきました。
前回の大統領選挙でも大きな話題になったのは、共和党のトランプに投票したつもりなのに、それがいつのまにか民主党のヒラリー・クリントン票になっていたことが少なくなかった、という事実です。
しかし今回の大統領選挙では、同じことをトランプ側がおこなうかもしれないと思ったのでしょうか。民主党が知事を占める州では「電子投票」ではなく「郵送による投票」をおこなうとしたところが少なくありませんでした。
少し考えてもれば分かることですが、「電子投票」ではなく「郵送による投票」のほうが票の水増しや票の入れ替えなどが容易ですから、不正がおこなわれる可能性は後者の方が圧倒的に高くなります。
ですから今回の大統領選挙で、トランプが票の数え直しを要求したり裁判に訴えたりして、選挙の最終確定が遅れているのも、それなりの根拠があるわけです。
しかし、そもそも日本のように、選挙権をもつ市民・国民が休日に投票所へ赴き、手書きで投票し、それを監視人のもと手作業で開票したほうが、はるかに簡便で、かつ不正が少ないものになります。
投票所・投票箱も充分に確保してありますから、アメリカのように朝早くから列について投票できたのは夕方だったというバカなこともおこりません。前回の大統領選挙では、黒人が多い地区では、このようなことは珍しくありませんでした。
ところがアメリカの事情をよく知らない日本人は、いまだに「アメリカは民主主義のモデル国だ」と信じているひとが少なくないのです。
前回の大統領選挙で、もう一つ特徴的だったのは、公開の討論会でヒラリー・クリントンがトランプに「選挙で負けたら、従来の慣行どおり、その結果、素直にしたがう」ことを要求したにもかかわらず、自分が負けたことを知ったとき従来の慣行に従わなかったことでした。
というのは、自分が負けたことを知った直後から、ヒラリー・クリントンは「今回の選挙ではロシアが裏から選挙工作した。トランプはプーチンの傀儡(かいらい)だ」と言い出したからです。
当時オバマ政権下で、国務長官だったヒラリー・クリントンはバイデン副大統領と組んで、ウクライナの政権転覆(クーデター)を企てて成功したので、同じことをロシアも企てたのだと思い込んだのかも知れません。
そしてヒラリーは、この4年間、あらゆる手段を尽くしてトランプを大統領の座から引きずり降ろそうと努力したのですが、何一つ証拠になるものが出てこずに今回の選挙を迎えたのでした。
正直言って、トランプが勝とうがバイデンが勝とうが、アメリカの内政も外交も大きな変化を期待することはできません。
なぜなら、トランプが前回の大統領選挙で公約したことは、たぶんDeepStateの圧力によるものでしょうが、ほとんど全て投げ捨てられてしまっているからです。
しかし前回の大統領選挙でトランプが勝利したことは、ある意味で、世界にとって大きなプラスでした。
というのは、トランプはバカ正直なのでしょうか、今までオバマ政権が世界中で密かにおこなって蛮行や残虐行為を、表舞台で演じて見せてくれたからです。
たとえば、オバマは無人爆撃機(ドローン)を使ってアフガニスタンやシリアで数多くの民間人を殺害してきました。その民間人はどのような罪を犯したから殺されなければなかったのか、なにひとつ明らかにされないままの殺害=暗殺でした。
またオバマは、裏ではイスラム原理主義勢力を使ってシリア政権の転覆を企てていても、それは「アサド独裁政権が自国民にたいしておこなっている残虐行為から救うためであり、援助しているのはアサド政権に対する反体制穏健派だ」と、まことしやかに演説し、大手メディアも、そのとおり報道してきました。
他方、トランプ氏は国内政策だけでなく国際政策でも「アメリカ・ファースト」を貫き、さまざまな国際条約を一方的に破棄したり、国際団体から一方的に脱退することを宣言し、実行してきました。イランの高官(ソレイマーニ司令官)も、イラクのバグダード国際空港で、無人機爆撃によって白昼堂々と暗殺しました。
トランプ氏が実質的におこなっていることはオバマ氏と何も変わらないのですが、それを眼に見えるかたちであからさまに皆の前に見せてくれるので、「今までアメリカがやってきたことはこんなことだったのか!」と、世界の人たちはアメリカ認識を新たにしたのではないでしょうか。
オバマ氏のスマートな言動によって隠されていた帝国主義国家アメリカの本質が、トランプ氏のおかげで、全世界の眼前にさらけ出されたからです。
トランプ大統領、本当に有難うございました。
☆百々峰だより(寺島隆吉)2020/11/22 http://tacktaka.blog.fc2.com/blog-entry-390.htmlからの転載記事
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国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授