【特集】ウクライナ危機の本質と背景

ケイトリン・ジョンストンから4つの報告:1)フェイスブックの検閲行為 2)兵器産業が出資するシンクタンクが煽る台湾武装 3)NYT「報道」でのロバート・F・ケネディJr への露骨な中傷 4)ツイッターが「国営メディア」「政府系メディア」ラベル削除

乗松聡子

ケイトリン・ジョンストンから4つの報告:1)フェイスブックの検閲行為 2)兵器産業が出資するシンクタンクが煽る台湾武装 3)NYT「報道」でのロバート・F・ケネディJr への露骨な中傷 4)ツイッターが「国営メディア」「政府系メディア」ラベル削除 

Caitlin Johnstone:Today In Empire: War Machine-Funded War Games, Facebook Censors Hersh, And More (Japanese Translation)  

ツイッターで23万人以上のフォロアーがいる、オーストラリアのジャーナリスト、ケイトリン・ジョンストン氏の最新の投稿に、最近の「帝国」(軍産複合体をバックとした米国および西側エスタブリッシュメント)による、民主主義や報道の公正などかなぐり捨てた行動がまとまっているので翻訳をお届けします。ジョンストン氏は独特の皮肉を混ぜながら書く人で、それが彼女の記事を読む醍醐味でもあります。「軍産複合体がスポンサーしているシンクタンクが戦争シミュレーションをやってみたら、驚くことにもっと武器が必要だという結果が出た!」とか。この暗い時代、笑いはひとときの救いをもたらしてくれます。彼女が強調しているのは、メディアが、軍需産業から資金を得ているシンクタンクを公平な評論家であるかのごとく引用し続けるジャーナリズムの大罪です。米国のメインストリームメディアのオウム返ししかしていない日本のメディアも同様ですね。きょうの4つのポイントのうち最後の1つは少しいいニュースです。イーロン・マスク氏が買収する前のツイッターは露骨に、米国・西側連合が敵視する国の国営メディアのみを「政府系メディア」とラベルをはって信憑性を薄めるような工作を大っぴらにやっていました。マスク氏はそれを変更して西側メディアにも「国営メディア」というラベルを貼りましたがそれが議論を呼び公平を期すためにすべてのラベルを削除したということでしょう。これは正しい判断です。それに比べフェイスブックの露骨な検閲行為は「恥を知れ!」と言いたくなりますね。(注:翻訳はアップ後修正することがあります。また埋め込みツイートの翻訳はつけませんのでツイッターの自動翻訳機能で読んでください。ジョンストン氏は自分の著作は誰にでも無許可で転載を許可すると言っているのでこの翻訳も転載可能です。)

Today In Empire: War Machine-Funded War Games, Facebook Censors Hersh, And More
きょうの帝国ニュース:軍需産業から資金を得た戦争ごっこ/フェースブックがシーモア・ハーシュを検閲 など

ケイトリン・ジョンストン

元記事リンクは
https://caitlinjohnstone.com/2023/04/21/today-in-empire-war-machine-funded-war-games-facebook-censors-hersh-and-more/

帝国の日常ではいろいろなことが起きているので、それをまとめるために、また複数のストーリーをまとめて記事を書いている。今日は4つのストーリーを取り上げる:

フェイスブックがシーモア・ハーシュの複数の記事を検閲している。
兵器産業が出資するシンクタンクが、台湾にはもっと多くの兵器が必要だと議会が発見するのを手助けしている。
ニューヨーク・タイムズはロバート・F・ケネディ Jr.のことを本当に、本当に嫌っている。
ツイッターが「国営メディア」「政府系メディア」のラベルを削除した。

1. Facebookはシーモア・ハーシュの複数の記事を検閲している。

Facebookは、昨年9月のノルド・ストリーム・パイプライン爆破事件の背後に、ノルウェーと連携した米国政府の存在があったとするジャーナリスト、シーモア・ハーシュによるSubstack記事の検閲を開始した。

この検閲は、著述家のマイケル・シェレンバーガーがTwitterで最初に指摘したもので、この記事を書いている36時間後の時点でも行われている。ハーシュの記事をFacebookで共有しようとすると、URLを貼り付けた途端、このように警告する通知が届く。「このコンテンツを共有する前に、Faktiskからの追加レポートがあることを知っておいたほうがいいかもしれません。偽ニュースを繰り返し公開・共有するページやウェブサイトは、全体的な配信数が減少し、他の方法で制限されることになります。」また、ノルウェーのマスメディアやノルウェーの国営放送NRKと協力して制作されたノルウェーの「ファクトチェック」サイトFaktisk.noによる1ヶ月前の記事へのリンクも掲載されている。

その後、Facebookは「キャンセル」または「とにかく共有」を選択するよう指示する。後者を選ぶと、Facebookは、過激なグロ画像やハードコアポルノの画像と同じように共有部分をピクセル化して記事を検閲し、その上に「偽の情報です。独立したファクトチェッカーによってチェックされています。」という巨大な警告ラベルを貼り付けてくる。Facebookは、ノルウェー政府の極めて悪質な犯罪の疑惑を明らかにする記事について、ノルウェー国営メディアと連携して運営する「ファクトチェック」会社が、何をもって「独立」しているとみなされるのか、説明していない。

2つ目の警告をクリックすると、ようやくハーシュ氏の記事にたどり着くことができる。記事が見えないようにされている「理由を見る」というオプションをクリックすると、Faktisk.noの記事「Flere feil om norsk innblanding i Nord Stream-sabotasjen」(「ノルドストリーム破壊工作におけるノルウェーの干渉に関するさらなる間違い」、副題「受賞歴のあるジャーナリスト、シーモア・ハーシュはノルドストリーム爆発の背後にいるのはノルウェーだと非難しています。しかし、彼の記事にはいくつかの誤りがある。」自動翻訳)。

この記事は、2月以降に議論が広がっているハーシュの主張について異議を唱えているが、その異議の多くも議論を呼んでいる。しかし、ハーシュの主張が妥当かどうかは別として、彼の報道は紛れもなくノルドストリーム破壊工作に関する議論の一部であり、それ自体ニュース価値がある。世界最大のソーシャルメディアプラットフォームであるフェイスブックが、直接にニュース配信に干渉しているのだ。

フェイスブックは、今月初めに発表されたハーシュの別の記事も検閲している。ウクライナ政府が、ロシアからディーゼル燃料を違法購入するために、米国の納税者から少なくとも4億ドルを奪っており、CIAはこのことを知っているとの疑惑について書いた記事だ。この記事のURLをFacebookの共有ボックスに貼り付けると、ノルドストリームの記事と同じような警告が表示されるが、この記事には帝国が出資するウクライナの情報提供サイト「ストップフェイクStopFake」による記事へのリンクが含まれている。

ミントプレス・ニュースのアラン・マクロードが昨年報告したように、「ストップフェイク」はCIAから派生した「全米民主基金National Endowment for Democracy」と、帝国に資金提供を受けるNATOシンクタンク「アトランティック・カウンシルThe Atlantic Council」、さらに英国政府とチェコ共和国から資金提供を受けている。この極めて明白な利益相反にもかかわらず、フェイスブックはハーシュのウクライナ記事を検閲する際の警告で、「ストップフェイク」を「独立したファクトチェッカー」と呼ぶ厚かましさを持っている。その中では、「独立したファクトチェッカーは、この情報に根拠はないと言っている 」とまで書いている。

ハーシュのウクライナについての記事も、ノルドストリーム記事と同じようにピクセル化されている:

 

ストップフェイク」の記事は、赤い大文字で「FAKE」と書かれた典型的なウクライナの不器用な情報戦のスタイルで書かれ、政府の主張と独特の強引な口調以外に何も引用しておらず、「独立したファクトチェック機関」とは到底思えない。

「ストップフェイク」は、著名なジャーナリストであるシーモア・ハーシュの記事を「個人ブログ」と切り捨て、「米国アメリカの監査役とホワイトハウスは、ロシアによるウクライナへの全面戦争が1年以上続いた後、欧米の武器や物資支援の使用においてウクライナの違反が認められなかったと繰り返し強調している 」と伝えている。

そうか、そうか。

 

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乗松聡子 乗松聡子

東京出身、1997年以来カナダ・バンクーバー在住。戦争記憶・歴史的正義・脱植 民地化・反レイシズム等の分野で執筆・講演・教育活動をする「ピース・フィロ ソフィーセンター」(peacephilosophy.com)主宰。「アジア太平洋ジャーナル :ジャパンフォーカス」(apjjf.com)エディター、「平和のための博物館国際ネッ トワーク」(museumsforpeace.org)共同代表。編著書は『沖縄は孤立していない  世界から沖縄への声、声、声』(金曜日、2018年)、Resistant Islands: Okinawa Confronts Japan and the United States (Rowman & Littlefield, 2012/2018)など。

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