【特集】ウクライナ危機の本質と背景

ケイトリン・ジョンストンから4つの報告:1)フェイスブックの検閲行為 2)兵器産業が出資するシンクタンクが煽る台湾武装 3)NYT「報道」でのロバート・F・ケネディJr への露骨な中傷 4)ツイッターが「国営メディア」「政府系メディア」ラベル削除

乗松聡子

2.兵器産業が出資するシンクタンクが、「台湾がもっと多くの兵器を必要としている」ことを議会に発見させる。

米国下院の中国共産党特別委員会は、中国による台湾への攻撃をシミュレートした戦争ゲームで将軍たちの役割を演じてみることにした。この戦争ゲームは、シンクタンク「新アメリカ安全保障センター(CNAS)」が推進したもので、そのトップ出資者には、戦争産業大手のノースロップグラマン、ロッキードマーチン、レイセオン、ボーイング、米国防総省、事実上の台湾大使館が含まれている。

しかし、兵器産業が出資するシンクタンクが行った戦争ゲームによると、驚くことに、台湾にはもっと多くの兵器が必要であることが明らかになった!

「中国共産党が台湾に侵攻する危険性が最大となる時期に差し掛かっている。昨日の戦争ゲームでは、中国共産党の侵略を抑止するための行動を起こし、危機が始まる前に台湾を徹底的に武装する必要性が強調された」と、特別委員会の極限のタカ派マイク・ギャラガー委員長は声明で述べている

もうひとつ、あまりのショックと驚きをもたらすであろうから座って聞いたほうがいいことがある。新米国安全保障センターがこの戦争ゲームを行うことについての巨大な利益相反について報道も政治も全く問題視していないことだ!ロイター通信、「ザ・ヒル」、「ナショナル・レビュー」の記事は、この戦争ゲームの重大な発見を不吉な形で読者に知らせているが、シンクタンクの資金提供者についてはまったく触れておらず、あたかもこのシンクタンクが公平な外交政策の専門家であり、戦争利益産業の間接的雇われ者ではないかのような印象を与えている。

私が読者に繰り返し言っているように、これはジャーナリズムの不正行為である。この問題における彼らの明らかな利益相反を読者に知らせることなく、さらなる戦争と軍国主義を推進する戦争マシンの資金源であるシンクタンクに言及することは、決して正当なことではない。

Center for a New American Securityは、今日の情報エコシステムで糸を引く最も厄介なシンクタンクの一つである。昨年、CNASがMSNBCで奇妙な「戦争ゲーム」を開催したときに述べたように、この団体はバイデン政権と広範囲に渡って重なり合い、アメリカのリベラル派に中国との戦争を売り込む上で重要な役割を担ってきた。

今世界で起きている最も非常識なことの1つは、政治家やメディアクラス全体が、重要な外交政策の決定を推進したり策定したりする際に、この極端な利益相反を国民に開示することなく、戦争マシンから資金を得たシンクタンクを日常的に引用していることだ。未来の世代が(もし未来の世代があるのだとしたら)今を振り返ったら、戦争や軍備についての国の政策に、戦争や軍備から儲けている人間たちが直接影響を与えることを許しだ時代だったということを信じられないのではないだろうか。これはあらゆる邪悪な行為の中でも突出している。

3.ニューヨークタイムズは、本当に、本当に、RFK Jr.を嫌っている。

ニューヨーク・タイムズ紙の「ニュース」欄に、「オピニオン」でも何でもなく、ロバート・F・ケネディ・ジュニアの民主党大統領予備選挙への出馬について、顎が外れるほど激しく中傷する記事が掲載された。

この記事の著者であるトリップ・ガブリエルは、ケネディが「アメリカ人の科学への信頼を揺るがす」ことに基づいて大統領選挙を行うことを発表したと、いきなり言い放った。繰り返しになるが、これはニューヨーク・タイムズ紙が掲載したハード・ニュース(訳者注:意見記事ではなく報道記事)であることを強調しておきたい。

ガブリエルは、ケネディの選挙演説を「とりとめのない」ものと表現し、彼を「フリンジ(泡沫)」大統領候補と呼び、ケネディが自分への注目を集めるために立候補しているにすぎないかの如くの書き方をしている。彼は、ケネディの選挙運動が、この有名な民主党一族(注:ケネディー家のこと)のメンバーを「驚愕」させているとわざわざ言い、テッド・ケネディの元側近に取材し、RFK Jrの大統領選出馬は「彼の叔父テッド・ケネディがこれまでやってきたことに反している」と語っているのを引用しています。

私はアメリカの大統領候補の誰も支持するつもりはないし、2025年1月に宣誓する人が誰であれ、他の人たちと同じように腐敗した殺人的な沼の怪物になることは火を見るよりも明らかだ。しかしケネディのような候補が、プロパガンダマシンを過剰に拡張させ、その極悪さを国民に知らしめるに役立つことがあるだろうと予想している。明らかなスピン記事をハードニュースとして扱うことは、図々しいジャーナリズムの不正行為であり、ニューヨークタイムズがマスゴミであることを示す証拠の山に、もう1つの項目を追加することになる。

 

4.Twitterが「国営メディア」「政府系メディア」のラベルを取りやめる。

少し明るいなニュースもある。ツイッター社が、あらゆる国籍のアカウントから「政府系メディア」と「国営メディア」のラベルをすべて取り除くという、予告なしの措置を取った。「国営メディア」のラベルは、RTやPress TVなどのアカウントや、それらの国営メディアとの関係からこのラベルを貼られていた個人から削除され、同時に「政府系」のラベルはNPR、PBS、CBCなどの媒体から削除されました。

これが永続的な措置であるなら、客観的に見ても良いことです。これらのラベルの使用は、常に米国とその同盟国に有利になる露骨なプロパガンダと猥雑な偏向だったのであり、そもそも起こってはならないことだったのです。人々が西側の宣伝機関を信頼し、ロシアや中国の宣伝機関を不信に思うようにするのはツイッター社の役割ではない。そういう役割を演じるとしたらそれは宣伝者の役割であって、自由なコミュニケーションのための公平なプラットフォームではない。

私はイーロン・マスクのツイッター買収に批判的で、彼の所有下にあるツイッターが以前の所有者に比べて著しく改善されたという主張には概して否定的だ。しかし、これが本当なら、私は恥ずかしい誤りを認めないといけない!もし、彼の言論の自由がヘイトスピーチ規制の緩和だけにとどまらず、国際的に重要な問題に関してより平等な情報エコシステムを構築するのであれば、私は確実に間違っていたことになり、プラットフォームは彼の管理下でより良い方向に向かうということになる。

(翻訳以上)

投稿者 時刻: 1:39 pm No comments:
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※この記事はカナダ・バンクーバー在住のジャーナリスト・乗松聡子さんが運営するPeacePhilosophy Centreの記事(ケイトリン・ジョンストンから4つの報告:1)フェイスブックの検閲行為 2)兵器産業が出資するシンクタンクが煽る台湾武装 3)NYT「報道」でのロバート・F・ケネディJr への露骨な中傷 4)ツイッターが「国営メディア」「政府系メディア」ラベル削除 Caitlin Johnstone:Today In Empire: War Machine-Funded War Games, Facebook Censors Hersh, And More (Japanese Translation)  )からの転載です。

 

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乗松聡子 乗松聡子

東京出身、1997年以来カナダ・バンクーバー在住。戦争記憶・歴史的正義・脱植 民地化・反レイシズム等の分野で執筆・講演・教育活動をする「ピース・フィロ ソフィーセンター」(peacephilosophy.com)主宰。「アジア太平洋ジャーナル :ジャパンフォーカス」(apjjf.com)エディター、「平和のための博物館国際ネッ トワーク」(museumsforpeace.org)共同代表。編著書は『沖縄は孤立していない  世界から沖縄への声、声、声』(金曜日、2018年)、Resistant Islands: Okinawa Confronts Japan and the United States (Rowman & Littlefield, 2012/2018)など。

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