「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」に未来はあるか、その6
国際☆百々峰だより(寺島隆吉)2019/03/31 http://tacktaka.blog.fc2.com/blog-date-20190331.htmlからの転載記事
カテゴリー:アメリカ理解(2019/03/26)
タグ:クリミアとゴラン高原、アメリカのユネスコ脱退、国連人権理事会からの脱退、地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」からの脱退、イスラエルの民族浄化作戦
エルサレムをイスラエルの首都と公式に認めたトランプ
(右写真)国連人権理事会からの脱退を表明する国連大使ヘイリー女史
トランプ大統領は2019年2月25日、ホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相と会談し、イスラエルが1967年の第3次中東戦争で占領したゴラン高原について、イスラエルの主権を認める宣言に署名しました。
ゴラン高原はシリアに帰属していましたが、1967年の第3次中東戦争中にイスラエルが占領し、併合したものです。
国連安全保障理事会はこの併合を違法だと認めイスラエル軍の撤退を求めていますが、いまだに居座っています。
このように、国際社会ではゴラン高原のイスラエル主権は認められていません。
にもかかわらずイスラエルは、シリアを侵略しているイスラム原理主義集団ISISの訓練基地、出撃基地、そして負傷者の治療基地としても、これを使ってきました。
このようなゴラン高原を、トランプ大統領はイスラエルの領土だと正式に宣言したのですから、国際社会に衝撃と動揺が走ったのも無理はありません。
「神に選ばれた国」と「神に選ばれた民」は、何をしても許されるというわけですから。
他方、クリミヤは住民投票によってウクライナから独立し、これも住民投票によってロシア連邦の一員になることを認められたのですが、これをアメリカ政府は、ロシアによる軍事侵略・併合だと非難しています。
戦争で獲得したゴラン高原は、明らかに国際法違法であり国連決議違反ですが、トランプ大統領はイスラエルのゴラン高原併合は合法だと主張しています。
他方で、住民の大多数がロシア語を話し、「独立およびロシアへの帰属を圧倒的多数の住民投票で勝ちとったクリミア」に対して、これを認めないというのは、あからさまな二重基準です。
一方のゴラン高原は明らかな軍事的領有であるのにたいして、クリミアは「ウクライナの政変=ネオナチによるクーデター」に危機感をもったクリミヤ自治共和国議会とセヴァストポリ市議会が2014年3月11日、クリミア独立宣言を採択し、それを下におこなわれた住民投票によるロシアへの帰属でした。
ところが、このクリミアのロシア編入にたいして沖縄国際大学の前泊博盛教授が、2019年3月12日、参議院予算委員会の「辺野古問題公聴会」で次のような発言をしていることを知り、驚愕しました。(下線は寺島)
北方領土問題の日ロ交渉で「二島返還」が棚上げにされた経緯には、実は、北方領土を返した場合に米軍基地が置かれるかどうかという可能性についてロシアが問うたところ、日本側が「置かないという約束はできない」と発言したことに要因がある。(中略)
これに対してプーチン大統領は、「日本が決められるのか、日本がどの程度の主権を有しているか、辺野古をみればその程度がわかる。知事が基地拡大に反対しているが、日本政府は何もできない。人人が撤去を求めているのに基地は強化される。みんなが反対しているのに計画が進んでいる」と指摘している。
ロシアのクリミア半島併合の話を抜きにして、プーチン大統領にこのような話をされるのもいささか癪ではあるが、このような発言があることを踏まえると、辺野古問題はまさにこの国の民主主義、そして主権を問う焦点であるといえる。安全保障上も非常に大きな問題を抱えている。(
この下線部を読んでいただければお分かりのように、前泊教授もアメリカ政府と同じようにクリミアはロシアが力尽くで併合したと考えていることが分かります。
この公聴会で前泊教授は実に鋭い政府批判をしているにもかかわらず、これでは、「いざとなったら独立してでも沖縄は米軍基地撤去を勝ちとる」という意志・決意か、生まれるはずもありません。
私が前回のブログを次のように結んだ所以(ゆえん)です。
日本が国家として真の「主権」を取りもどす日は、いったい何時(いつ)になるのでしょうか。ひょっとして(クリミアがウクライナでやったのと同じように)沖縄が全県民の投票で「独立を宣言する」ほうが先になるのかも知れません。
以下は長周新聞連載(6)です。
文字が小さくて読めないという方は、下記のサイトを御覧いただけると有り難いと思います。
☆百々峰だより(寺島隆吉)2019/03/31 http://tacktaka.blog.fc2.com/blog-date-20190331.htmlからの転載記事
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国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授