インターネットで発信するZ世代の若者たち ―21世紀を変える彼らの政治・経済・社会認識

羽場久美子

はじめに
Z世代の若者たちの行動が、いま世界中で注目されている。日本でも18歳選挙権が導入され、その多くは選挙に高い関心を持ち投票に出かけているからでもある。欧州では次々に30代の首相や大統領が生まれている。日本でも先の地方選挙で灘高・東大・ハーバード大卒でTicTokを駆使する歴代最年少高島崚輔芦屋市長が生まれた[1]。Z世代は21世紀社会を変える原動力になる世代なのである。

Z世代とは、戦後世代が、X世代、ミレニアル世代、Y世代、Z世代、α世代と分けられる中、主として1990年代後半から2010年頃に生まれた世代、2023年時点で、20代前半から10歳前後の世代を指す(29歳までを含むこともある)。

生まれたときからスマホやインターネットがありそれを活用してきた、世界の知を何でも手軽に知ることができる世代であり、また子供の頃からデジタル機器を使いこなすことにより、自己発信する力も持つ。「語らない若者」から「語り行動する若者」に大きく変化しているという点で、それ以前の世代とは大きく異なる。

そして彼らが世界人口の25%(4分の1)を占めつつあるという点で、世界は大きく変わろうとしている。

即ち日本のそれ以前の世代では、普通であった「皆と同じであること」「沈黙は金、能ある鷹は爪を隠す」が美徳とみなされていたのに対し、世界知を知り、自分と自分のライフスタイルを大切にし、自分の意見が人と違うこと、また多様な意見を尊重し、発信することに違和感を持たない世代が急速に増えてきているということである。それをSNSで発信することができることにより「出る杭は打たれる」からもまぬかれることができる。これまでのいわゆる日本人意識とは大きく異なる世代が育ってきていると言えよう。

その前のミレニアム世代(今の30代)が、日本ではバブル後期の「ゆとり世代」で、理想を追い求めてそれを実現しようとする理想主義世代であったのに対し、Z世代は、デジタルに取り巻かれつつも、現実世界では、長期の不況、リーマンショック、ユーロ危機、福島原発事故や熊本地震など多くの経済破綻や災害、さらにパンデミックを体験してきた若者たちであり、また世界が変わりつつあるのに、女性、移民・難民、人権などの点で、差別や過労死、世代間の抑圧を強いられる中、地球環境、人権、いじめや自殺に高い関心を持ち、これまでの「無関心な若者」から、政治意識や環境意識も高く、故に選挙参加意識も高い、旧来の若者たちと比べても異質な、新しいいわばIT,AI時代の若者が育ってきていることに注目すべきであろう。

「就職氷河期」や「引きこもり」を直近の世代に見、自分たちが老人になる頃は年金も破綻するかもしれないと言われて久しい中、Z世代は、一方では内に向かい、自殺を考え、様々な精神的病を抱える若者が出ていることも事実であろう。

他方で、温かい優しい心を持ち、災害があれば、ボランティアで被災地に駆けつけ、困っている人たちのために手を指しのべ、尽くすことをいとわない若者たちも現れている。

ここでは、日本ではあまり知られていないZ世代の若者たち、既に世界の4分の1を占めつつある、21世紀を担うデジタル世代の若者たちが、どのような存在であり、それをどのように、21世紀後半の政治・経済・社会に生かしていったらよいのかを考えてみたい。

1. Z世代とは?―データから見る―
Z世代とは、1995年以降~21世紀の10年までに生まれた世代、10代後半から25歳(時に29歳)頃までの若者たちで、いわゆるデジタル世代、生まれたときから、スマホ、SNS, デジタル機器が身近にあり、それらをおもちゃとして育ってきた世代、かつ「引きこもり」のように、デジタル付けになるのではなく、そこから自分の期待するものを取り出し、かつ重要なこととして、「自己発信」することが簡単にできるようになった世代である。

いわゆるYoutuberやインフルエンサーと呼ばれる人たちが10代で大量に発生し、今や数十万、数百万のフォロアーを持ち、社会に影響を与える存在となりつつあるのである。

デジタル機器の使用は、世界最先端の知を簡単に引き出すことができる一方、いわゆる「検索」は、自分の望む情報を集める機能でもあることから、知りたい知が、自分の望む方向で大量に構築されていくという偏面的恐ろしさも持つ。

ただし、多くの受け手の側も、だからこそできるだけ多くの「異なる知」を集めて検討する、多様性・ダイバーシティ、マイノリティの人権や弱者の権利も考えることができる。旧来の日本人のような、「多数者の平均値が、正しい行動」「人と違うことをするといじめにあう」ということからは、距離を置こうとする世代でもある。

まさに、これまでの日本人とは違う世代が育ってきているということ、そして彼らが発信能力や、数十万・数百万のフォロワーをもって、社会そのものに影響力を与えつつある、という事実である。

これを知らないままにしていると、我々は近い将来、とんでもないどんでん返しに会う可能性がある。その意味で、Z世代の若者を認識し、彼らの行動様式を把握し、理解し、そしてより良い政治・経済・社会形成に巻き込んでいくことは極めて大きな意味を持つのである。

2.Z世代の政治意識
まずZ世代の政治意識について、「Z世代が考える社会を良くするための社会運動調査2022」として、日本労働組合総連合会(以下、連合)が、2021年12月に、全国の15歳~29歳の男女1,500名の有効サンプルによるアンケート[2]を実施し、2022年3月に発行した興味深いデータから見てみよう。

それによれば、次のような興味深い事実が浮き彫りになっている。以下若干長いが引用する[3]

≪社会課題への関心について≫

約 9 割が社会課題に関心ありと回答。
「身近に直面したことがある課題」に関心が高い
社会人 Z 世代[4]の関心の 1 位は「長時間労働」、2 位は「いじめ」、3 位は「医療・社会保障」。
学生 Z 世代の関心の 1 位は「ジェンダーにもとづく差別」、2 位は「いじめ」、3 位は「自殺問題」。

◆ 社会課題に関心を持ったきっかけの 1 位は「テレビ」、2 位は「学校の授業」、環境、平和、健康、経済・社会の分野では「学校の授業」。ジェンダー平等、人権の分野では「SNS」「ネット記事」の影響もあり。

≪これまで参加した社会運動について≫

社会運動参加経験率は約 4 割

参加経験のある社会運動の 1 位は「知識を深めるためのセミナー」、2 位は「SNS での個人の発信」◆ 社会運動に参加した理由の 1 位は「自分ができることをしたかったから」、「顔や名前を出さない」ことを重視する傾向あり。

≪これからの社会運動について≫

◆ 社会運動への期待の 1 位は「運動の成果を感じられること」

◆ 参加したい社会運動の 1 位は「政府や団体、企業への要請」。環境、平和、健康、経済・社会、労働の分野の1位も同様。教育、ジェンダー平等、人権の分野の1位は「SNS での個人の発信」

参加したくない社会運動は「集会やデモ、マーチ、パレードなど」(46.8%)[5]

近年の集会やデモのほとんどが60代以上の老人で占められている所以でもあろう。

これらを読むと、「成人」世代が、10代、20代の「デジタル世代」の若者たちをいかに見くびってきたか、子ども扱いしているかがわかるであろう。我々の知らない間に、彼らはデジタル、SNSにより、時に我々以上の「世界知」を持ち、それを活用して、これまでの日本における成人にもなかった「発信力」と数十万、数百万に及ぶ「影響力」を持ち、既に政治の社会に入ってきているのである。

にもかかわらず私たちの多くは、「集会やデモやパレード」というような目に見える世界に若者が少なく、逆に60代以上の老年者がほとんどを占めることで、「今の若者たちは。。」「政治にも関心がないし、無気力で、ゲームで遊ぶことしか関心がない」と古い価値観で、無視してきている。

これが続けば、彼らが、30代に入り、経済力も持ち始め、中間管理職を担い始めたとき、ドラスティックな転換が起こるであろう。その準備に入るに早すぎることはないのである。

3. Z世代の若者の選挙認識
上記は、連合、という労働組合におけるアンケートから見た意識調査であった。

もう少し流動的なところで、選挙に関するZ世代の若者の意識調査を眺めてみよう。

1年前の5月に行われた株式会社SHIBUYA109エンタテイメントによる「Z世代の政治に関する意識調査 2022年版。Z世代が抱く政治家に対するイメージと理想の政治家とは?」[6] によれば、

選挙があれば投票に行くが7割を超え、旧来の「若者の政治離れ」とは真っ向から対立する状況が現れている。

18歳選挙権を得た若者たちの約8割のZ世代が一方的情報に慎重な姿勢を示し、平均3.6種類のメディアを確認するなど、複数のメディアから情報を収集していることが判明した。「テレビの情報も見た上で、皆の意見がどうなのかをTwitterで見る」など、情報源を使い分けながら吟味している。その上で投票に行く、が約7割だ。これまでの20代の、政治にほとんど関心がない(あるいは政治に関心を持たないことが無難と考える)世代とは様変わりの様子がうかがえる。

これは欧州などで活発化する10代の若者たちの選挙意識とほぼ重なっている。日本ではようやく2015年(平成28年)から18歳選挙権が始まったが、欧州では18歳「被選挙権」が大勢で、オーストリアでは2007年に16歳まで選挙権被選挙権を引き下げた結果、77%の高い投票率を実現した[7]。その結果は、大学生の投票率をも上向かせ、デジタル世代の若者の選挙の関心を高めたとされる。

しかし、では支持する政治家がいるか、と問われれば、「理想の政治家はいない」が約9割である。日本の政治に「期待している」は18.5%にとどまった。Z世代が望むのは「多様な国民の声が届く政治」[8]なのである。

つまり選挙に関心はあるが、入れたい人がいない、という状況である。こうした中、政治に絶望し、10代で高い関心を持っているにもかかわらずその後シールズのように、無党派・非選挙行動に代わっていかざるを得ないのだ。

他方、欧州では、18歳「被選挙権」が保証されているため、「では自分たちが出よう」、と新しいグループ(政党)を組織して出てくる動きが既に15年ほど前から広がっている。日本も18歳「被選挙権」を実現すべきであろう。

現実問題として、日本は以下に見るように、政治に出る権利、被選挙権が、衆議院・市町村で満25歳以上、参議院・知事は満30歳以上だ。[9]

総務省「選挙権と被選挙権」2.被選挙権

結局、日本の被選挙権システムそのものが若者の政治参加を阻んでいるともいえよう。

フランスで39歳の大統領、イタリアやフィンランドなどで30代の首相などが出る中、日本では被選挙権が高い故に、また選挙に出る条件として、(当選してからではなく出馬する前に)職場をやめねば立候補できない、供託金300万円を準備しなければならない(欧州の多くはゼロ)など、個人ではほとんど出られないシステムとなっている[10]。その結果選挙に流動性がなく2世議員や無投票市長村長が多くを占める結果となっている。

政治意識も高く、選挙に関心もあり、発信力や影響力も持つZ世代を生かしていくためには、少なくとも、選挙制度を早急に欧米型、18歳被選挙権に替えて、若者たちの新鮮な発想と、自分たちの生活を生かそうとする気持ちを汲み取り、政治参加を受け止める体制づくりが不可欠であると言えよう。

4. 経済におけるZ世代
経営・マネージメントに詳しい「識学総研」では、「Z世代とは何歳からを指す?意味やX・Y世代との違いを分かりやすく解説」[11]として初歩から解説するとともに、特に経営・ビジネスにおけるZ世代への対応について説明している。

それによれば、2021年に新語・流行語大賞にも選ばれた「Z世代」について、特にビジネス・マーケティングの観点から興味深い分析をしている。

曰く、Z世代は、ミレニアム世代と異なり、インターネットやテクノロジーとの親和性が高いうえ、それによる発信力を持つ、その発祥はアメリカで、DXの時代にオンデマンド型人材を活用する必要性を説く。

彼らは受け身のテレビよりは、インターネットを活用し、休日のインターネットの利用時間は10代で250分以上、20代で300分以上。60代でテレビの視聴時間が300分を超えている(本当か?)のに対して、テレビをあまり見ないので、テレビの広告や宣伝は意味がない。

費用対効果、コスト・パーフォーマンスを重視するミレニアル世代に対して、時間帯効果(タイムパーフォーマンス)を意味する消費行動をとる。

つまり、ブランドよりはその商品・サービスのコンセプトや開発されたストーリーへの共感性を重視、無駄な消費を嫌うが、価値を感じれば惜しまない。こうした行動が、「若者の車離れ、お酒離れ」現象を生んでいるとする。

また社会問題についても、ミレニアル世代より関心が強く、多様性やインクルージョン(排除ではなく包摂)の意識が強い、異なる考え方に対しても肯定的な態度を取る、環境や人種差別、人権といった社会問題に対する関心が強いと論じている。さらに東日本大震災や熊本地震などの災害を体験し、「持続可能な開発目標(SDGs)」などへの取り組みを当たり前のように行っている。

現在世界的な影響力を国際社会や国連をはじめとする国際機関に発信しているグレタ・トゥーンベリさんもZ世代であり、彼女の行動に対する共感も世界のZ世代に広がっている。などが指摘されている。ミレニアル世代との違いは、理想主義より現実主義、目の前の生活を充実させることに関心があり、行動する。彼らが2030年代になると、世界の25%を占め、ミレニアル世代より高い購買量を持つと指摘されている。

これまでのテレビ中心のマーケッティングや広告戦略ではなく、You tubeや音声コンテンツなどでのネット広告が主流になる、また情報を取捨選択し、比較したうえで購入する力を持つので、インターネット上の詐欺や偽物により敏感で、信頼できない商品やサービスを提供する場合、すぐ拡散されて即座に信用を落とす。故に、自社製品をインターネットでアピールする場合は、上方の信頼性を担保したうえで、情報発信やコンテンツ制作を行うことが重要、と述べている。[12]

つまり、旧来のような誇大広告ではすぐばれてしまうばかりかネットで拡散され(意見発信され)、会社の信用に大きく傷がつくので、現在10代や20代の消費者以前に見える若者たちであっても決して侮ってはならない、それにより会社の信用が大きく傷がつくことがありうる、と警告しているのである。

近年のオリンピックにおける電通等の談合独占不正がBBCの国際ニュースになり[13]、最近のジャニーズ事務所社長による性被害が企業生命を危うくする大事件となる[14]など、旧来は経済界大手や芸能界で、少数者や個人がその被害を訴えても多くが強者や権力の前に泣き寝入りせざるをえなかった時代とは大きく変化してきている。

変わりにくい日本の社会を、一人の被害の訴えが大企業本体も揺るがすような役割を持つ時代に替えつつあるのは、デモやストではなく、ネットを駆使し不正を拡散し信用できる企業かどうかを判断し告発する能力を持つ、Z世代の若者たちである。恐るべし、Z世代、ともいえよう。

5. Z世代の社会参加認識
最後に、Z世代の社会参加認識、変わりつつある国際認識を見て、まとめとしたい。

以上見てきたように、デジタル、スマホ、SNSネイティブのZ世代の若者たちは、こうしたネットツールを活用する中、多くの情報を普通に手に入れ、おそらく通常成人以上の情報収集力を持ち、またそれらを比較検討してより自分が納得できる情報を取捨選択し、さらにそれを活用して発信し、You tubeやTwitterを使って数十万、数百万の人々に影響を与える力を持っている。

欧州EUでは、既に、政策提言で100万人分の賛同を集めれば、EUの政策に反映する、という政策を打ち出すことによって、Z世代の若者の政治参加を促し、かつ社会にとっても有用な新しい政策を取り入れる柔軟性を持とうとしている。

先の連合のアンケートによると、◆「関心のある社会課題がある」Z世代の87.0%

◆Z世代が関心のある社会課題は、1位が「いじめ」20.7%、2位が「長時間労働」18.7%、3位が「自殺問題」16.7%、4位が「ジェンダーにもとづく差別」16.3%だ。男性の1位は「長時間労働」19.1%、女性1位は「ジェンダーにもとづく差別」23.6%である。

社会人Z世代1位は「長時間労働」21.9%、学生Z世代1位は「ジェンダーにもとづく差別」22.7%であり、高い政治意識・社会意識がうかがえる[15]

またZ世代の若者たちの社会参加については、Chatworkが、「Z世代の若者の仕事や働き方、価値」について解説している[16]

ここでは特にデジタルデバイスを普通に利用して生きているこれまでの世代とは異なるZ世代の若者たちの特異性について解説している。

まずは、オープンコミュニケ―ション、すなわち、さまざまな年代や国籍、価値観の人と、オンライン上などで交流することに慣れており、自分の価値観を積極的に発信する。また、他者がもつ独自の価値観や多様性に触れながら、「性別」や「国籍」などの属性で人を区別せず、一個人として接する、などの特徴を持つ。日本の若者が、平均的にそこまでオープンでダイバーシティがあるとは思えないが、10代、20代のリーダーとして着実にそうした若者たちが増えてきていることは、多くの人々が感じられるところだろう。

また仕事とプライベートのワークライフ・バランスの取り方、仕事とプライベートを統合するワークライフ・インテグレーション、一つの職場に固執せず、オンラインや自宅ワークなど、多様な働き方を重視する、などが挙げられている[17]

さらに価値観としては、政治のアンケートの所でも見たように、多様性の受容、社会・環境問題への関心、ジェンダーレスな考え方、協力や連帯を重視し、縦の関係でなく横のつながりや弱者や少数者への思いやりを持つなどが、これまでのネット上での攻撃やいじめなどへの批判から、バランスの取れた解決方法への関心が出てきている。

≪Z世代の国際認識≫
さらにZ世代の興味深い国際認識として、中国や韓国への関心がアメリカと同等レベルに高く、その関心も、アイドル、おしゃれ、デジタルなど、それまでの世代とは明らかに違った価値観を持って新興国を見ている。Record Chinaでは、日本のZ世代の中国への好感度が高く、18〜29歳の層では中国への好感度が41.6%と平均の倍以上に達していることから、TicTokやソーシャルメディア、中国料理や歴史文化、おしゃれまで、この世代の中国に対する親近感が多世代に比べて明らかに変化していると論じている[18]

また韓国についても、つい最近まで徴用工問題やGSOMIAの問題があったにも関わらず、韓国のファッションやSNS、アイドル、映画やドラマの質の高さに日本のZ世代からの熱い視線が寄せられている[19]

彼らは日本の年配世代が持つ中国や韓国への「先輩意識」や歴史認識の違和感をほとんど持つことなく、むしろ憧れや共感を持って、近隣国を眺め出かけていることはとても重要であろう。

こうしたZ世代の若者たちに対して、成人が接する態度としては、これまでのように「未成年」扱いするのではなく、我々以上に多様な情報や知識を収集でき、かつ発信し、多大な人々に影響を与えられる脳力を持つ新世代として、IT, AIに並ぶ意識をもって接する必要があるだろう。

歴史的には長寿者が持っていた多くの情報と経験を、経験なしに、目の前のデジタルを通じ、長寿者以上の多様な知を収集することができ、それらを分析し、加工し、発信し、影響を与えることができる存在として、Z世代の若者たちの考えを受け止めリーダーを育てていく必要がある。

最も重要なことは、偏見や上位意識を持たず、目線をそろえて彼らの発信することを聞く謙虚さであろう。

もちろんすべてのZ世代がそのようであるわけではなく、多くの問題や限界も抱えている。それが時として、例えば、紛争地域に義勇兵として参加し捉えられ死亡するとか、一般的には、現代の世界に絶望して死に至る、逆に人を殺す、などの行為に至ることもあるかもしれない。

しかし重要なことは、Z世代の若者たちが、政治・経済・社会にも高い関心を持っており、真摯に生き考えようとする姿勢があること、それが情報収集能力、多様性受容能力、少数者や多様性への理解・受容能力、自分たちの生活を大切にし楽しむという生活スタイルと相まって、次世代を担う役割を持ちつつあること、その現実的な能力価値観を大切に見守り育てていくことであろう。彼らの発信力、影響力を育んで、新しい時代を日本からも作っていくことに心がけねばならない。

何より日本の少子高齢化が、彼らが老人になる40年後に、ピークを迎える中、Z世代は本気で40年後に直面する社会問題に対処する方法を考えざるを得ない状況にある。労働力人口は2分の1になり、人口の4割以上が65歳以上になる中、彼らが最初の責任を取っていくべき世代にいるからである。

今や戦争世代がいなくなりつつある。

第1次世界大戦が、戦争を知る世代がいなくなったころ勃発したと言われるように、アメリカの「民主主義vs権威主義」という「価値の同盟」が世界を分断しつつある中、米欧日のG7諸国では、防衛費増額、あと6年でアメリカを抜くと言われる中国やGlobal Southと呼ばれる新興国への軍事的警戒が高まっている。そうした場にZ世代の若者を引き込むのではなく、むしろ成長する中国・インド・アジア・ASEANの諸国とも対等な関係で結びながら、各国・近隣国のZ世代が協力して新しい、多様な、平和な、豊かな21世紀後半を作っていくことこそが望まれている。

日本でも、Z世代の若者たちが、デジタル、SNS、You tube、twitterを駆使して、多様な情報を集め、発信し、周りに影響力を及ぼしつつ、社会を変えていく新たな時代が到来している。彼らを温かく迎え、育み、近隣国・近隣地域の協力により、豊かな多様性と共同・繁栄のネットワークを作っていくことこそが、未来に向け、我々に求められている課題ではないだろうか。

▼▽▼▽

[1] 「史上最年少の芦屋市長、灘高・ハーバード卒でTicTokも駆使…草の根選挙展開」2023/04/24  https://www.yomiuri.co.jp/election/local/20230424-OYT1T50156/

[2] 日本労働組合総連合会、「Z世代が考える社会を良くするための社会運動調査2022』2022年3月3日、1-20頁。https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20220303.pdf?19

[3]

[4] 社会人Z世代は、就職し働いている若者、学生Z世代は、大学生など学業に従事する若者。

[5] 以上、上記連合の「Z世代が考える社会をよくするための社会運動調査2022」より。https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20220303.pdf?19

[6] 「Z世代の政治に関する意識調査 2022年版

投票意向は7割超!理想の政治家は「いない」が約9割。Z世代が抱く政治家に対するイメージと理想の政治家とは?」株式会社SHIBUYA109エンタテイメント、2022年5月19日。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000158.000033586.html

[7] 「16歳に選挙権「若者も社会も変わる」オーストリアの決断」2015/10/30

[8]

[9] 総務省「選挙権と被選挙権」2.被選挙権 https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo02.html

[10]「なぜ日本には34歳の首相が生まれないのか」【Public Notes】一般社団法人PublicMeetsInnovation(PMI)2020年1月25日 https://note.com/pmi/n/n0b869fe97190

[11] 識学総研「Z世代とは何歳からを指す?意味やX・Y世代との違いを分かりやすく解説」2023/05/10 https://souken.shikigaku.jp/15750/#:~:text

[12] 同、識学総研「Z世代とは。。。」https://souken.shikigaku.jp/15750/#:~:text

[13] 「五輪談合事件、電通など6社と7人を起訴 公取委の告発受け」BBCニュース、2023年2月28日  https://www.bbc.com/japanese/64795512

[14] 「「ジャニーズ事務所」の藤島ジュリー景子社長が動画で謝罪し見解発表 故ジャニー喜多川氏“性加害”問題で」TBS News Dig 2023年5月14日 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/485040

[15] 連合「関心のある社会問題がある」87%、5頁。 https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20220303.pdf?19

[16] 「Z世代の特徴とは?仕事や働き方に対する考え方、価値観について解説」Chatwork, 公開日:2022/11/14、更新日:2023/04/10

https://go.chatwork.com/ja/column/efficient/efficient-526.html#:~:text

[17]

[18] 日本のZ世代の中国への好感度が高いのはなぜか―中国メディア」Record China    2023年2月5日(日)

[19] 「Z世代の若者たちが韓国ファッションに魅了される理由…日本のブランドとの「決定的な違い」磯部 孝、2023.05.11  https://gendai.media/articles/-/109244?page=1&imp=0

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羽場久美子 羽場久美子

博士(国際関係学)、青山学院大学名誉教授、神奈川大学教授、世界国際関係学会アジア太平洋会長、グローバル国際関係研究所 所長、世界国際関係学会 元副会長(2016-17)。

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