【連載】コロナ騒ぎ謎解き物語(寺島隆吉)

第25回 『朝日新聞』批判 ─イベルメクチンは有害・無益 !?⑤:ワクチンの失敗を世界に露呈しつつあるイスラエル

寺島隆吉

では、いまアメリカでは、イベルメクチンをめぐって何が起きているのでしょうか。その一例としてロバーツ博士は、上記の論考のなかで次のような事件を取りあげています。

COVID感染が蔓延している最中に、偽情報が「Coronavirus World Updates」などのサイトからインターネット上でばらまかれているというのは一体どういうことなのだろう。

私に言わせれば、 「Coronavirus World Updates」というサイトは、欲に駆られた巨大製薬産業がカネを出してウソをインターネット上にばらまいているサイトだ。

その目的は、偽情報を拡散することにより、人々がCOVID感染の効果的な治療法を模索したり、入手したりしようとする意欲を削ぐためだ。

この「偽情報拡散サイト」から九月四日、恐ろしい情報が発せられた。それはローリングストーン誌に掲載されていたイベルメクチンの危険性に関する嘘の記事からの情報だった。

この不誠実な記事は、後に取り消される羽目になってしまったのだが、記事内で、一人の医師の発言をとりあげていた。その医師は、イベルメクチンを過剰服用した人々がいることを非難していた。

具体的にはその人たちは、馬のような大きな動物に対する投与量のイベルメクチンを服用していたというのだ。後にこの話は、この医師がでっちあげた話だということが判明した。

だが、ローリングストーン誌やサイトCoronavirus World Updatesだけが偽情報を流しているのではない。すべての御用メディアがこの企みに荷担しているのだ。この記事を参照

ローリングストーン誌は、元々はロック音楽の専門誌として出発したものですが、だんだんと政治的な話題も扱うようになり、反体制的な姿勢でも有名でした。が、そのローリングストーン誌が、イベルメクチンを弾圧する側にまわったというのは、実に大きな驚きでした。

それほど体制側の報道管制が強くなっていることの証左でしょう。逆に言えば、それほどイベルメクチンが有効であることを庶民が知り始めている証拠でもあります。ところが日本では、まだまだ「イベルメクチン」という名前すら聞いたことがないというひとが少なくないのです。

前著『コロナ騒ぎ謎解き物語』を印刷してくれた印刷会社のひとも、表紙の装幀を考えてくれたデザイナーも、私がイベルメクチンの説明をするまで、その存在すら知らなかったのです。

テレビも新聞もイベルメクチンについてほとんど報道してこなかったのですから、当然といえば当然とも言えます。大手メディアはもちろんのこと、何しろ赤旗や長周新聞ですら、イベルメクチンについて、きちんと紙面を提供してこなかったのですから。

それはともかく、ロバーツ博士は上記引用の最後で、 「だが、ローリングストーン誌やCoronavirus World Updatesだけが偽情報を流しているのではない。すべての御用メディアがこの企みに荷担しているのだ。この記事を参照」と述べています。

上記で指摘されている「この記事」というのは、次の記事を指しています。

(4)‘Horse dewormer’ overdose story debunked: We have no such doctor & treat people as
normal, hospital says「病院がイベルメクチンを過剰服用した患者で大混乱に陥った、というニュースは嘘だった」( 『翻訳NEWS』2021-09-22)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-670.html

そこで、この事件がどのようなものだったかを説明するために、以下で少しだけ上記の記事から引用します。

オクラホマ州の或る病院で、銃で撃たれた被害者たちを追い返さないといけない羽目に陥ったのは、非常に多くの人々が、COVID‐19の治療として、 「馬用の寄生虫駆除剤」を過剰服用したからだ、という驚くべきニュースが飛び込んできた。

判明した事実によると、このニュースは初めから終わりまで、 「馬糞」のようなとんでもない話だったことがわかった

しかしこの驚くべきニュースは、後に、証拠不十分で偽ニュースの烙印を押された。

発端は、ネット上で音声や映像を発信するサイトであるボドキャストの司会者ジョー・ローガン氏が放送の中で、自身がCOVID‐19に感染した際、医薬品を組み合わせた「カクテル療法」による治療を受けたことについて触れたことだった。(中略)

ローガン氏が(イベルメクチンを服用して)たった3日でCOVID-19から快復したというのに、イベルメクチンに対するメディアからの激しい攻撃が止むことはなかったし、専門家たちはイベルメクチンのことを、 「馬用の寄生虫駆除剤」だという言い方をし続けた。

上記の記事を読めば、ローリングストーン誌だけでなく、インディペンデント紙や、ローリングストーン誌や、インディペンデント紙や、ガーディアン紙などの報道機関は、9月3日にオクラホマ州の或る病院において、緊急治療室がイベルメクチンを過剰服用した人々で溢れかえり、銃で撃たれた被害者たちが追い返された、というニュースを報じた。

ガーディアン紙までもがイベルメクチン叩きに総動員されていることが分かります。

しかしイベルメクチンの安全性については、バージニア州公衆衛生局の嘱託で、MITにも席をおいているデイビッド・シェイム博士(Dr. David E. Scheim)の次の論考で知ることができます。博士は次の論考(5)で、わざわざ「イベルメクチンの安全性」という項を設けて、次頁のように説明しています。

(5)イベルメクチンへの打ち砕かれた中傷戦術:それはメルク社の欠陥薬品「バイオックス」販売戦略の完全なる再演だ──FDA(アメリカ食品医薬品局)によって承認されノーベル賞まで受賞した医薬品
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-673.html( 『翻訳NEWS』2021-09-22)

イベルメクチンはヒトへの使用がFDAによって承認されているが、COVID治療には適応外で使用されている。

イベルメクチンは、標準用量の10倍である200㎍/kg、特にCOVID‐19治療のための高用量であっても忍容性が高い。

過酷な追加薬剤を用いた実験的プロトコルにおいて、標準用量の5倍のイベルメクチンを受けなかった。

毎日最大180日連続で服用した癌患者ですら、イベルメクチンによっても重篤な副作用を受けなかった。

イベルメクチンまたはその近縁種であるアバメクチンを標準用量の1.000倍まで極端に過剰摂取した19名の患者(いずれも動物用医薬品を使用)のうち、死亡したのは標準用量の440倍を摂取した72歳の男性1名のみだった。

ご覧のとおり、イベルメクチンは極めて安全なのですが、驚くべきことに、この薬を大村智博士と共同して開発したメルク社が、今はアメリカでイベルメクチン攻撃の先頭に立っている観すらあります。

この事情を、上記の論考のなかで、デイビッド・シェイム博士はさらに次のように説明していました。

2021年2月4日、COVID‐19治療薬であるモルヌピラビル(Molnupiravir)の発売を控えたメルク社は、その新薬の競合薬であるイベルメクチンについて報道発表し、その効力と安全性を中傷した。

(中略)

イベルメクチンの安全性に関する大手メディアの警告は、メルク社によるイベルメクチンへの中傷を口写しにしたもので、科学的には無意味である。

イベルメクチンはヒトへの使用がFDA(米国食品医薬品局)から承認されており、その発見は「数百万人の健康と福祉を向上させた」として2015年のノーベル医学賞を受賞し、副作用はほとんどない。

イベルメクチンは、分子生物学上の妙により、SARS-CoV-2のスパイクタンパクに結合し、ウイルスの感染を妨ぐ。だからこそ、COVID治療薬市場への新規参入によってメルク社が期待している数十億円の収益も妨害する。

メルク社が過去におこなった、他社製品を中傷し自社製品を防御する手口については、2004年に発売中止となった致死性医薬品バイオックス(VIOXX)について、4億1,000万ドルを投じて行った偽情報キャンペーンを考えてみるだけでよいだろう。

要するに、自分たちがいま開発しているCOVID‐19治療薬にとってイベルメクチンが強力な競争相手になるからこそ、メルク社は、その効力を否定し危険性を強調せざるをえなかったわけです。

なにしろイベルメクチンは、 「COVID治療薬市場への新規参入によってメルク社が期待している数十億円の収益」を妨害することになるのですから。

メルク社が過去に行った「他社製品を中傷し自社製品を防御する手口」については、デイビッド・シェイム博士が上記論考のなかで詳細に紹介していますので、興味のある方はぜひ読んでいただきたいと思います。

現在のイベルメクチンが置かれている状況を考えると、大村智先生が気の毒でなりません。

(寺島隆吉著『コロナ騒ぎ謎解き物語2—[メディア批判]赤旗から朝日まで 私たちはガリレオ時代に戻ってしまうのだろうか』の第3章第5節から転載)

 

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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