袴田事件の再審公判で検察側が有罪立証の方針

梶山天

1966年に静岡県旧清水市(現静岡市清水区)のみそ製造会社一家4人が殺害された袴田事件の裁判で死刑が確定していた袴田巌さん(87)の再審裁判に向けて検察側は10日、東京高等裁判所(大善文男裁判長)に有罪立証を行う方針を示した。

再審で無罪判決を願う袴田巌さん

袴田さんが求めていた再審・裁判のやり直しついて東京高裁は、今年3月13日に再審を認める決定を行った。しかも捜査機関による証拠捏造にまで踏み込んだ。弁護団は、早期の無罪判決を求めているが、検察側の有罪立証によって審理が長引くことが予想される。

3月の東京高裁の再審決定は、確定判決が袴田さんの犯行時の着衣とした「5点の衣類」について、捜査機関が後からみそタンクに入れた捏造証拠の可能性が「極めて高い」と指摘した。

東京高検は特別抗告に必要な憲法違反や判例違反が見いだせないとして、特別抗告を断念して、再審開始が確定。刑事訴訟法は、再審開始には「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」が必要と定めており、再審開始時点での無罪はほぼ確実となっていた。

一方、検察内には、証拠の捏造にまで言及した決定は受け入れられられないとの意見が強く、衣類に付着した血痕の色の変化と椅子焦点に無ついて改めて専門家に意見を聞く無補充捜査や事故当日の無証拠の精査を行った。その結果、袴田さんの犯人性は変わらず証拠捏造は考えられないとして、再審公判では有罪立証を維持する方針だ。

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梶山天 梶山天

独立言論フォーラム(ISF)副編集長(国内問題担当)。1956年、長崎県五島市生まれ。1978年朝日新聞社入社。西部本社報道センター次長、鹿児島総局長、東京本社特別報道部長代理などを経て2021年に退職。鹿児島総局長時代の「鹿児島県警による03年県議選公職選挙法違反『でっちあげ事件』をめぐるスクープと一連のキャンペーン」で鹿児島総局が2007年11月に石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞などを受賞。著書に『「違法」捜査 志布志事件「でっちあげ」の真実』(角川学芸出版)などがある。

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