【連載】コロナ騒ぎ謎解き物語(寺島隆吉)

第40回 朝日新聞「ワクチン先進国 悩む再流行」を考える②:ワクチン接種後のイスラエルの驚くべき感染激増?

寺島隆吉

前節の最後を私は次のように結びました。

このモンタニエ博士のADE発言については、まだまだ検証を重ねる必要はあります。

というのは、宮坂昌之・大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授も、モンタニエ博士の見方に否定的だからです。

(1)ワクチン接種の時限爆弾「ADE」は本当に起きるのか?
https://news.yahoo.co.jp/articles/b06ed0027aa96283f94311bc8dc18069a20a3644?page=1(現代ビジネス2021-10-13)

しかし世界で最も率先してワクチンを推進した諸国の事例が、 「ワクチンがコロナウイルスに効果を発揮していない」ことを示していることだけは確かでしょう。何しろ「ワクチンさえうてば免疫力がつき、2度と感染しない」というのが推進派の持論だったはずなのですから。

そのことを、さらにジブラルタル、マルタ、アイスランド、イスラエルなどのワクチン先進国を例に説明するつもりでしたが、もう夕食の時刻も近づき、私も力尽きましたので、その続きを次節で展開します。

そこで早速、前節で紹介したジェラール・デレピーヌ博士の論考に立ち戻り、そこに掲載されていたグラフ「アストラゼネカの注射のチャンピオンであるジブラルタルでの記録的な死亡率」を検討してみたいと思います。

下のグラフがその死亡率です。

ジブラルタルのワクチン死はワクチン接種後 19 倍に国民 100%のワクチン接種後、爆発的に患者が増え、デルタ株流行の再発を防げなかった。

 

ちなみに、ジブラルタルはスペイン南海岸の半島にあるイギリスの海外領土です。この地は中世にはムーア人の支配を受けてイスラム圏に入り、15世紀にスペイン領になったのち、1713年にイギリス領になりました。

それはともかく、デレピーヌ博士の解説は次のようなものでした(和訳は寺島)

ジブラルタル(人口3万4,000人)は、2020年12月にワクチン接種を開始したが、保健機関によれば、そのときのコロナ症例数は1,040例、死亡例は5例に過ぎなかった。

しかし、非常に包括的なワクチン接種をおこない115%の接種率を達成した後(ワクチン接種は多くのスペイン人旅行者にも拡大された)、新規感染者数は5倍(5,314人)に増加し、死亡者数は19倍に増加した。

つまり死亡者数は19倍に増えて97人に達し、住民100万人あたりの死亡者数に換算すれば2,853人で、これはヨーロッパの死亡率のなかでは最高記録の1つだ。

しかし、ワクチン接種の責任者たちは、他のもっともらしい病因を提案することなく、因果関係を否定している。

そして、数カ月の鎮静期間の後、感染の流行が再び始まり、115%のワクチン接種率ではこの病気を防ぐことができないことが確認された。

 

ご覧のとおり、 「アストラゼネカのワクチンで、115%の接種率を誇っていたジブラルタルが、 「ヨーロッパの死亡率のなかでは最高記録」の1つになったのです。

これはモンタニエ博士の言うADE(抗体依存性感染増強)と考えては何故いけないのでしょうか。他にどのような説明が可能なのでしょうか。

また、たとえADE効果ではなくても、とにかく、115%のワクチン接種率ですらこの病気を防ぐことができなかったことだけは、間違いないのではないでしょうか。

さて次の事例はマルタです。後掲のグラフを参照してください。上段のグラフは症例数、下段のグラフは死亡率です。

 

ちなみに、マルタ共和国は複数の島からなる小さな島国です。地中海のほぼ中央にあり、アフリカ大陸にも近いので、共和政ローマ時代に既に地中海貿易で繁栄し、その後一時、イスラム帝国の支配に入ったこともあります。

それはともかく、このグラフの解説としてデレピーヌ博士の「84%のワクチン接種率だが、感染も死亡も防げなかった」と題する、次のような説明がつけられていました。

 

人口50万人のこの島では、約80万回の接種がおこなわれており、約6カ月の遅れで約84%のワクチン接種率となった。

しかし、2021年7月初めから再び流行が始まり、重篤な(致死的な)形態が増加しているため、当局はワクチン接種では住民を守れないことを認識し、規制をかけざるを得なくなっている。

ここでも、症例数と死亡率における流行の再発は、高率のワクチン接種が国民を守らないことを証明している。

 

ご覧のとおり、マルタ共和国でもワクチンはコロナから住民を守ることができなかったのです。そこで政府は住民の生活に再び規制強化をかけざるをえなくなったというのです。

だとすれば何のためのワクチン接種だったのでしょうか。 「ワクチン接種をすれば平常の生活に戻れる」というのが、これまでの言い分だったのではないでしょうか。

その言い訳として、しばしば出されるのがコロナウイルスが変異したからだというので
すが、コロナがしばしば変異することは初めから分かっていたことです。

変異するたびにワクチン開発をしているわけにはいかなかったからこそ、今までのインフル用ワクチンも成功してこなかったのではないでしょうか。

他方、世界中には既に試され済みの抗ウイルス薬があるのですから、なぜそれを使わないのでしょうか。日本発のイベルメクチンはその典型例です。

「二重盲検法」によって効果が実証されていないというのがWHOの口実ですが、現場の医師や研究者が目の前の患者で、その効能を日々、実感しているのに、なぜそれ以上の証拠が必要なのでしょうか。

『コロナ騒ぎ 謎解き物語1,2』では、その実例を幾つも紹介してきましたが、最近の事例としてはアルゼンチンの研究者とアルゼンチン医療当局との闘いがあります。次の記事は、そのことを詳しく説明しています。

(2)Ivermectin Wars: Dr. Hector Carvallo Versus the Medical Establishment
「イベルメクチン戦争:ヘクトル・カルヴァロ博士vsアルゼンチン医学界」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-679.html( 『翻訳NEWS』2021-10-09)

この記事では、ブエノスアイレス大学医学部教授だったヘクトル・カルヴァロ博士が、大学を退職してから、ある大病院の院長をしていたのですが、イベルメクチンのことを知り、さっそく現場で試してみて、その効能に驚愕し「思わず涙した」と述べています。

ところが驚いたことに、アルゼンチン医療当局とその意向を受けたアルゼンチン医学界は、カルヴァロ博士の研究と医療活動に圧力をかけ始めたのです。そのときの思いを博士は次のように書いています。

「イベルメクチンの研究を続けることは許されない、さもなければおまえの地位が危うくなると言われました。私は困惑しました。悔しくて、また泣いてしまいました。泣いたことを恥ずかしいとは思っていません。泣いたのは事実なのですから」

この「アルゼンチン医療当局とその意向を受けたアルゼンチン医学界に対する、ヘクトル・カルヴァロ博士や現場の医師の闘い」については、 『翻訳NEWS』に邦訳があります。時間を見つけて、ぜひ読んでいただきたいと思います。涙と感動の物語です。

さて、こんなふうに事例を紹介していると先に進めなくなるので、カナダの腫瘍学者であり統計学者であるデレピーヌ博士の、元の論文に戻ります。

この論文では先述のようにアイスランドのグラフと、それに関連してベルギーについても述べられていたのですが、イスラエルについて詳しく紹介したいので、これらのグラフは割愛させていただきます。

アイスランドとベルギーについての、デレピーヌ博士の結論は、基本的にはマルタ、イギリス、シンガポールのグラフで述べたことと同じで、次のようなものでした。

 

人口36万人のこの小さな国(アイスランド)では、80%以上が1回目のワクチンを接種し、75%がワクチン2回接種のサイクルを完了していた。

しかし、2021年7月中旬には、1日の新規感染者数が約10人から約120人に増加し、その後、ワクチン接種前よりも高い割合で固定した。

この突然の再発により、主任疫学者は「ワクチン接種による集団免疫の獲得」が不可能であることを確信した。 「それは神話である」と公言したのである。

ベルギーでは、人口の約75%が1回目のワクチン、人口の65%が2回目のワクチンを接種し、完全なサイクルを終えた。しかし2021年6月末以降、1日の新規感染者数は500人未満から2,000人近くに増加している。要するに、ワクチンは国民を守れていない。

というわけで、いよいよ最後のイスラエルのグラフに移ります。というのは、イスラエルは「遺伝子組み換えワクチンの接種」において世界チャンピオンの地位を誇っていたからです。その国が今どうなっているか大いに興味がわきます。

まずイスラエルのグラフ(1)を紹介します。

次頁のグラフ冒頭に大きくフランス語で書かれているのは、 「ワクチン接種してから、感染の発生はますます深刻になってる」という題名です。

イスラエルのグラフ(1):ワクチン接種後、感染はますます深刻になっている

 

一番下の大きく楕円で囲まれているグラフには「9月に毎日の感染者数は1万1,000人を超えた」という説明が書き込まれています。

そしてグラフの真ん中あたりに下向きのVACCINATIONという矢印があり、ここでワクチン接種が開始されたことを示しています。

またグラフにおける大きな三つの山のうち、一番左の山には「ワクチン接種の以前では、毎日の感染者数は最高6,000だった」という説明が書き込まれています。

ということは、ワクチンを接種したにもかかわらず、感染者は接種以前の2倍近くにまで激増しているのです。

これに対するジェラール・デレピーヌ博士の解説は次のようなものでした。

かつてはどこでも有効性の例として挙げられていたファイザー社ワクチン接種のチャンピオンだったイスラエルは、今では現実を厳となっている。

人口の70%が1回目のワクチン接種を終え、感染リスクのある人の90%近くが完全なワクチン接種を終えている。

しかし、6月末以降、流行はかつてないほど強力に再燃しており、1日あたり1万1,000人以上の新規患者となっている(2021年9月14日)。

50%近くも上回っている。
これは、ファイザー社の最初の注射後の流行時である2021年1月に見られたピークを

では、イスラエルのグラフ(2)はどんなものだったのでしょうか。

これには次頁に見るとおり、フランス語で「ワクチン接種は入院を防げなかった」と大きな題名が付けられ、その下に「接種率が非常に高いにもかかわらず、7月以降、入院数が増加している」という副題が書かれています。

このグラフには、次のようなデレピーヌ博士の簡単な解説が付けられていました。

ファイザー社のワクチン接種にもかかわらず、このように感染流行が再開している。しかも、ワクチン接種を受けた人が入院者の大部分を占める、という増加ぶりだった。

前節で紹介したインタビュー記事で宮坂昌之教授は次のように言っていました。

「感染増加はワクチンによるADE(抗体依存性感染増強)とは関係ない。なぜならブレイクスルー感染が急増しているとはいえ、8月17日の時点ではイスラエルの感染者の新規感染者の半数近くがワクチン未接種者だ」

しかし、ご覧のとおり、イスラエルにおける9月以降の事態は、宮坂教授のこの分析が間違っていることを示してはいないでしょうか。感染者の大部分は接種者だったのですから。

さていよいよ最後の、イスラエルのグラフ(3)に移ります。

このグラフは「ワクチンを接種しても、感染数どころか、重症化や死亡も防ぐことはできない」ということを示しています。

まず、そのグラフを次に掲げます。上に付けられているフランス語の題名は「ワクチンは重症化を防げない」です。

一番右の楕円で囲まれているグラフには、 「ファイザーのワクチンを接種しても、コロナによる死を防げない」という説明が付いています。

そして真ん中あたりにグラフの大きな山があり枠で囲まれていますが、その中には「ワクチンによる多数の犠牲者」という註が書き込まれ、その枠の左横には「ワクチンの開始」という下向きの矢印があります。

これに対するデレピーヌ博士の解説は、 「ワクチン接種は重症化や死亡を防ぐことはできない」という書き出しで、次のようになっていました。

 

7月末までにイスラエルの重症患者(重症、危篤)118人のうち71%が完全にワクチンを接種していた!

この重症者のワクチン接種率は、完全にワクチンを接種した人の割合(人口の61%)をはるかに上回っている。

かつてイスラエルの保健大臣は軽率にも宣言していたが、今やワクチンがコロナ重症化を予防すると主張することは間違い(あるいは偽情報)である。

イスラエル政府は、自らの過ちを認めないためにこの明らかな失敗を否定し、解決策として相変わらずワクチン接種のみを提案し続けている。

イスラエル政府がインドや日本のように早期治療を導入するまでに、あと何人の死者が出ることだろうか。

ここでデレピーヌ博士は「イスラエル政府がインドや日本のように早期治療を導入するまでに、あと何人の死者が出ることだろうか」と言っています。

確かに日本の開業医でもコロナ患者を扱っているかたは少なからずいます。しかし、日本政府が新型コロナを2類としているかぎり、今の数少ない保健所を窓口とし、限られた医療機関でしか診療ができません。

このような体制では、日本は開業医が自由に早期治療をしようと思っても、なかなかできない現状です。新型コロナをインフルエンザと同じ5類とすることが一刻も早く求められています。

しかし、それができないのは政府がWHOや巨大製薬会社の意向を受けてワクチン接種を最優先しているからではないか、と疑われている理由がここにあります。庶民が次のように訴える気持ちがよく分かります。

自粛の呼び掛けをするより早く5類にしてください。行動抑制で感染を抑えるのは限界です。それよりも増える感染者に医療がきちんと対応できるようにすることが重要です。もし罹患したらと思うととても不安に感じます。

しかし、内部告発で暴露されたように「不安感や恐怖感をいだかせないと国民がワクチンをうつ気にならない」という恐怖政策がドイツ政府の行動の根底にありました( 『コロナ騒ぎ謎解き物語1』 )。同じことを日本政府もとっているのではないでしょうか。

だからこそイベルメクチンを、開業医は予防薬どころか治療薬としても自由に使えないし、それどころかイベルメクチンの存在を知らない開業医も珍しくないのです。

私が主宰する研究所の一員の奥さんが、腎臓透析をしてもらっている病院からワクチン接種を迫られたそうです。そこで彼女は「私はワクチンよりもイベルメクチンでの治療を望みます」と言ったら、 「なんですか、そのイベルメクチンというのは?」と尋ねられたというのが日本の現状なのです。

話が少し横に逸れたので元の論文に戻ります。デレピーヌ博士はこれまで述べてきたように、イギリス、シンガポール、イスラエルなどの実状を具体的なグラフで示しながら持論を展開し、そして最後に、もうひとつのグラフを示しながら、結論を提起していました。

つまり日本でも「早期治療ができない」というのが実状なのです。

そこで、以下でそれを説明したいのですが、またもや少し長くなりすぎましたし私も疲れてきたので、この続きは次節にさせてください。本当は、この小論を本節で終わるつもりだったのですが残念です。

(寺島隆吉著『コロナ騒ぎ謎解き物語3—コロナワクチンで死ぬか、イベルメクチンで生きるか第4章第2節から転載)

 

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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