【連載】コロナ騒ぎ謎解き物語(寺島隆吉)

第43回 朝日新聞「治療薬 増える選択肢」を考える②:メルク社の、モルヌピラビル宣伝作戦とイベルメクチン攻撃

寺島隆吉

話が少し横にそれたので本論に戻します。

メルク社が以前に開発したバイオックスVioxxは、心臓血管に深刻な悪影響をもたらし、その結果、 「13万9,000件もの心臓発作や脳卒中が発生し、そのうち30~40%は致命的なものだった」ことを先に紹介しました。

他方、いまメルク社から攻撃され、FDA(アメリカ食品医薬品局)やCDC(アメリカ疾病管理予防センター)からも問題にされているイベルメクチンの、本当の安全性はどのようなものなのでしょうか。

それを、シェイム博士はこれまで世界中で試されてきた治験にもとづき、イベルメクチン錠剤の安全性について次のように述べています。

イベルメクチンは、標準用量の10倍である200㎍/㎏[33、34]、特にCOVID-19治療のための高用量であっても忍容性が高い[35、36]。

過酷な追加薬剤を用いた実験的プロトコールにおいて、標準用量の5倍のイベルメクチンを毎日最大180日連続で服用した癌患者は、イベルメクチンによっても重篤な副作用を受けなかった[37]。

イベルメクチンまたはその近縁種であるアバメクチンを標準用量の最大1,000薬包まで極端に過剰摂取した19名の患者(患者のいずれも動物用医薬品を使用)のうち、死亡したのは標準用量の440倍を摂取した72歳の男性1名のみ[38]。

(中略)

多くの報道で、イベルメクチンのヒト用と動物用が絶望的なほど混同されているため、このような説明は特に有用である。

イベルメクチンのヒト用医薬品形態のみがヒトへの使用を推奨できる。

動物用の外用剤には、一般的に人間の消費に適さない成分が含まれている。その注射液には一般的にグリセロールホルマールが含まれており、味は悪いが毒性はない。しかし、これらは慎重に調剤しないと過剰摂取になる可能性がある。

COVID-19の患者で、人間用の薬が手に入らずに死の危険に迫られたひとのほとんどが、動物の経口摂取用の絞り出しチューブに入った1.87%の馬用ペーストを使用していた。

上の説明から次のことが分かります。
(1)標準用量の5倍のイベルメクチンを毎日最大180日連続で服用した癌患者でも重篤な副作用を受けなかった。
(2)標準用量の最大1,000薬包まで過剰摂取した19名の患者(いずれも動物用医薬品を使用)のうち、死亡したのは標準用量の440倍を摂取した72歳の男性1名のみ。
(3)人間用の薬が手に入らずに死の危険に迫られたひとのほとんどが、絞り出しチュー
ブに入った1.87%の馬用ペーストを使用していた。

つまり、アメリカのメディアが「イベルメクチンを過剰摂取して死亡した」と大騒ぎをしていたのは、人間用のイベルメクチンが手に入らず「死の危険に迫られて」動物用に手を出して死亡した事件だったわけです。

もしFDA(アメリカ食品医薬品局)が人間用イベルメクチンにEUA(緊急使用許可)を出していれば、どれだけ多くの人が救われたことでしょう。しかしFDAはアメリカ国民ではなく「製薬業界を顧客」と見なしていたのです。

この間の事情を、シェイム博士は、有名な医学誌であるランセット誌の編集者の記事に基づき、次のように説明しています。

ランセット誌の編集者であるホートンは、メルク社のバイオックスVioxxスキャンダルを可能にしたFDA(アメリカ食品医薬品局)の役割を指摘している。

FDAは、アメリカ国民ではなく「製薬業界を顧客」と見なしていた[20]。

FDA副長官デイビッド・グラハム医学博士がバイオックスの致命的な記録を内部告発したとき、彼はFDAの上層部が仕組んだ脅迫、虐待、嘘にさらされた[28]。

バイオックスを承認したFDA長官は辞任に追い込まれた。が、その後、メルク社の宣伝広告会社の上級顧問となった[28]。

ランセット誌の編集者ホートンは、 「バイオックス問題においてメルク社とFDAは、冷酷で、近視眼的で、無責任な自己利益のために行動した」とまとめている[20]。

上の説明から次のことが分かります。
(1)FDA副長官のデイビッド・グラハム医学博士は、人を死に追いやる医薬品バイオックスの致命的記録を内部告発した。
(2)このとき、副長官のグラハム医学博士は、FDAの上層部が仕組んだ嘘、脅迫、虐待にさらされた。
(3)バイオックスを承認したFDA長官は辞任に追い込まれたが、その後、メルク社の宣伝広告会社の上級顧問となった。

要するに、FDAは国民の味方ではなくメルク社の味方だったのです。

だからこそ、FDA長官の地位を奪われても、メルク社を守るために行動してきた元長官への論功行賞として、彼にメルク社の「宣伝広告会社の上級顧問」というポストを与えたのでした。

このような暗い過去をもつメルク社だからこそ、今回もイベルメクチン攻撃に余念がなかったのでしょう。にもかかわらず朝日新聞は、 「治療薬増える選択肢」という記事の最後を次のように結んでいるのです。

飲み薬は、世界でもまだ登場していない。このため、第1号になる見込みのメルクの飲み薬は世界的に需要が高まることが予想され、政府は必要な量を確保できるように交渉している。

これらの飲み薬は感染後の早い段階で使い、ウイルスが増えないようにするものだ。十分な効果を得るには、検査を拡充し、感染がわかればすぐに医療機関を受診して処方してもらえる体制をつくることも必要になる。

ここで朝日新聞は「新型コロナの軽症患者に使える飲み薬は、世界でもまだ登場していない」と述べています。

しかし、私が繰り返し指摘してきたように、イベルメクチンはすでに世界中で「新型コロナの軽症患者に使える」どころか、予防薬や重症患者の治療薬として、顕著な成果をあげてきているのです。

ところが、朝日新聞のこの記事は、そのことに言及することなく、 「このため、第1号になる見込みのメルク社の飲み薬モルヌピラビルは世界的に需要が高まることが予想され、政府は必要な量を確保できるように交渉している」と述べています。

つまり朝日新聞は、 「安価・安全・有効な飲み薬」として世界的に需要が高まることが予想されているイベルメクチンについてきちんと紙面を割かず、その普及のために政府が何も努力してきていないことについても追求する気が全くないのです。

この記事によれば、メルク社の飲み薬を「政府は必要な量を確保できるように交渉している」というのですから、まさに国賊と言うべき政府です。

なぜなら、 「(コロナ用の)飲み薬は世界でもまだ登場していない」どころか、イベルメクチンはすでに世界中で使われてきているからです。巨額の税金を使ってメルク社の新薬を「必要な量を輸入し」 「確保する」必要もないからです。

ところが、朝日新聞はメルク社の新薬を「このため第1号になる見込みのメルクの飲み薬」と書いています。しかし、くどいようですが、イベルメクチンは「いわば第ゼロ44号として、世界で使われてきた飲み薬」なのです。

だとすれば朝日新聞は、政府の尻をたたきながら、日本が誇るべきイベルメクチンを正式に世界で使えるように、その世論づくりをする先頭に立つべきだったのではないのでしょうか。

そのためには、まず日本で医師が自由に使えるようにしなければなりません。そうすれば危険なワクチンを接種する必要もなければ、ワクチンによる死者を増やすこともありません。

ましてロックダウンで経済を疲弊させたりすることもなければ、倒産や失業が生まれませんから
鬱病になったり自殺するひとも出てこなくなるでしょう。京王線での殺人事件も、なかったかもしれません。

しかしそれにしても、朝日新聞は、なぜこれほどにまでしてメルクの飲み薬を持ちあげなければならないのでしょうか。どこからか圧力があったのでしょうか。どこからかお金が回ってきているのでしょうか。

そんなことを考えさせる紙面作りでした。

〈追記〉

それは別にしても、今までメルク社と良い関係を築いてきたはずの大村智博士にとって今回の事態は、何とも言いようのない思いをいだかせる事件だったことでしょう。

前著をお送りしたとき、大村先生から、素晴らしい講演録まで同封された非常に有難いお手紙をいただいていただけに、大村先生の胸の内を想像すると、私も非常に辛くなってきます。

(寺島隆吉著『コロナ騒ぎ謎解き物語3—コロナワクチンで死ぬか、イベルメクチンで生きるか第5章第2節から転載)

 

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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