【連載】コロナ騒ぎ謎解き物語(寺島隆吉)

第44回 朝日新聞「治療薬 増える選択肢」を考える③:モルヌピラビル 契約価格は1350億円

寺島隆吉

私は前節を次のように結びました。

しかしそれにしても、朝日新聞は、なぜこれほどにまでしてメルクの飲み薬を持ちあげなければならないのでしょうか。どこからか圧力があったのでしょうか。どこからかお金がまわってきているのでしょうか。そんなことを考えさせる紙面づくりでした。

ところが、この原稿を書いて、ブログ「百々峰だより」に載せた当日、次のようなニュースが飛び込んできて、私を驚かせました(朝日新聞2021年11月10日)。

 

新型コロナウイルスの飲み薬について、後藤茂之厚生労働相は11月10日、米製薬大手メルクから「モルヌピラビル」を調達することで合意したと発表した。薬事承認を前提にした契約で、感染の再拡大に備える。飲み薬は自宅で使いやすく、病院の負担を軽減できる。メルクによると、契約価格は12億ドル(約1,350億円)。

 

この記事によれば、160万回分を1,350億円もかけて輸入するわけですから、1回分で8万4,375円の費用になります。それを「1日2回、5日間で、計10回投与」だそうですから、1人あたり84万円強になります。

ただし記事によって「160万回分」と「160万人分」の2とおりがあります。160万人分なら、1人あたり8万4,375円となります。

しかし、これまでにも書いたように、外国から高価な経口薬を買わなくても日本には世界に誇るべきイベルメクチンという経口薬があるのですから、何のために巨額の税金を無駄遣いする必要があるのでしょうか。

いま日本では市販されたイベルメクチンを購入することができませんから、欲しいひとはインターネットによる通販で個人輸入する以外にありません。が、それでも一番安いもので、3㎎,1錠を120円(12㎎の場合、1錠152円)で購入することができます。

しかも、それを通販で購入した場合、アメリカでコロナ治療の先頭に立って奮闘しているFLCCC(コロナ緊急治療最前線同盟)で試され済みの使用法を、その通販サイトから知ることができます。

それによれば使い方は次のようになっています。

感染予防:1回につき、0.2㎎/㎏(50㎏の方なら10㎎)を食前または食後に服用します。

当日に1回服用し、48時間後にもう1回服用します。その後は週に1回服用します。

早期治療:1回につき、0.2~0.4㎎/㎏(50㎏の方なら10~20㎎)を食前または食後に服用します。1日1回の服用を5日間、または回復するまで服用します。

つまり体重によって使用量は異なるのですが、普通の成人体重が51~65㎏だとすれば、1回につき12㎎を1錠飲むだけでよいことになります。

これまでの治療実績によると、早期治療の場合は「1日1回の服用を5日間」で基本的には回復するのですから、費用としては、1錠152円×5日間=760円で済むことになります。

この金額を先ほど計算した「1回あたり8万4,375円」 「計10回投与で、1人あたり84万円強」と比べてみてください。いかに政府が税金を無駄遣いしているかが、よく分かるのではないでしょうか。

これはイベルメクチンを個人で輸入した場合の値段ですから、国内で生産できるようになれば、もっと安く購入できることになります。

なぜならイベルメクチンの特許はすでに切れてしまっているのですから、 「後発品(いわゆるジェネリック医薬品)」は、 「先発品」よりはるかに安く製造できるからです。

メルク社の先発品は「ストロメクトール」という名称で売られていて、私がインターネットで調べた輸入通販では、3㎎1錠で1,475円になっていました。

この場合でも、12㎎(3㎎×4錠)×5日間=1,475円×4錠×5日間=2万9,500円で済むことになります。 「後発品」から比べれば20倍近い費用がかかることになりますが、それでも「1人あたり8万4,375円」あるいは「ひとりあたり84万円強」と比べれば、違いは歴然です。

人によっては、 「後発品」よりも「先発品」のほうが信頼がおけると考える人もいます。そのような人の意向を受け、たとえ一歩譲って「先発品」を使ったとしても、モルヌピラビルを輸入するよりは、はるかに安く済むことが、これで分かるはずです。

とはいえ「後発品」は、新薬として売られていた「先発品」と同じ有効成分で作られ、ざまな厳しい基準や規制をクリアし、効き目や安全性が新薬と同等であると認められてから、発売されています。

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に基づくさまですから、イベルメクチンが国内で生産できるようになれば、もっと安く購入でき、しかも「先発品」と同じ効果が期待できます。ですから、医療費を節約するという意味で、良心的な医師も薬局も、そして厚労省すら、 「後発品」を勧めることになるでしょう。

逆に、だからこそメルク社は、前節で説明したように、イベルメクチン攻撃に総力を注いできたのでしょう。 12億ドル なぜなら、国内生産のイベルメクチンを私たちが利用できるようになれば、日本政府に (約1,350億円)の契約価格で、モルヌピラビルを売りつけることができなくな
るからです。

しかも、いま日本では、医薬品製造などを手がける興和(名古屋市)は北里大学と提携して、2021年10月中旬から「イベルメクチン」の新型コロナウイルス感染症に対する治療効果を確認する治験を始めると発表しています。

中日新聞(2021-10-09)は次のように述べていました。

 

同社によると、企業が主体となった治験は国内では初めて。薬としての承認に必要な三段階の試験の最終段階に当たる第三相試験を行う。およそ千人の軽症患者に、イベルメクチンか偽薬を飲んでもらって経過を比較し、回復を早めるかどうかなどを調べる。終了は12月末の予定で、来年早々の承認を目指すという。

だとすれば、なぜ政府は今この時点で、早々にメルク社と12億ドル(約1,350億円)という高額の契約を結ばなければならないのでしょうか。

なぜ12月末に予定されている最終治験を待つことができないのでしょうか(ちなみに、フランスは12月22日にモルヌピラビルの発注取消を発表しました。治験で期待した効果が得られなかったことが理由です)。

コロナの感染状況からすると、それまで待てないというのであれば、なぜ日本版の緊急使用許可(EUA)をイベルメクチンに適用しないのでしょうか。

それとも、アメリカ政府から強要されて、欠陥商品であることが分かっている戦闘機を147機
(6兆2,000億円)も爆買いした愚を、ここでもう一度繰りかえそうというのでしょうか。

(1)志葉玲「墜落したF35、1機分のお金で何ができたか─『欠陥商品』147機を爆買いの愚」( 『ニューズウィーク日本』2019-04-16)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/04/f35114762000.php

このように、イベルメクチンをめぐる政府の言動には疑問の尽きることがありません。

なぜならイベルメクチンには今さらこと改めて「二重盲検法」による検証が必要ないほどの、豊かな治療実績があるからです。

しかし、そもそもイベルメクチンに「二重盲検法」による検証が必要なのでしょうか。

このように世界各地の現場で驚くべき治療実績を上げているイベルメクチンを、WHOは、「有効かつ安全であるとの二重盲検法にもとづく十分な調査結果をもっていないから」という理由で、コロナ治療薬として認定することを拒んできました。

ところが、最近、次のような衝撃的情報が入ってきました。それは、カナダに拠点をおく研究所「国際化問題研究センター(Center for Research on Globalization)」のオンライン誌による、次のようなニュースです。

(2)100-200 Members of Congress, Families and Staff Treated with Ivermectin. No Hospitalizations (Oct 13, 2021)
https://www.globalresearch.ca/report-100-200-congressional-reps-staff-treated-ivermectin-protocol-front-line-covid-critical-care-doctors/5758305
(100〜200人の、議員、家族、議員秘書がイベルメクチン治療を受け、入院も不要だった)

これは気も動転するような衝撃的なスキャンダルです。このニュースが本当だとすると、ワクチン推進のためイベルメクチンの承認を拒んだ議員たちが、イベルメクチンで治療を受けていたことになるからです。

このスキャンダルを暴露したのがFLCCCという団体です。

アメリカにはすでに紹介したように、現場で患者の命を救おうと奮闘している医師・研究者の集団があり、それはFLCCC(コロナ緊急救命最前線同盟:the Front Line COVID-19 Critical Care Alliance)と自称しています。

この集団は、コロナを口実にワクチン強制接種しようとする政府の妨害と闘いながら、主としてイベルメクチンを使いながら、多くのコロナ患者を救ってきました。その涙と汗の物語は、前著でも紹介しましたが、次のサイトで読むことができます。

(3)The Drug that Cracked COVID「イベルメクチン。COVIDを駆逐した医薬品」( 『翻訳NEWS』2021-07-18)
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-607.html

ニューヨークタイムズのベストセラー作家が書いたこの記録には、次のような驚くべき興味深い事実も書かれていました。

このイベルメクチンは、トランプ大統領がウォルター・リード病院で使った医薬品だったが、メディアはそのことは報じなかった。

この治療法の中心となっていた医薬品が、イベルメクチンだったのだ。

しかしこれが事実なら、イベルメクチンが実は大統領の命を救ったのかもしれない。トランプ自身は、巨大製薬産業の薬を売り込もうとしていたのだが。

(中略)

この医師たちは自分たちの突破口的な治療法をウェブ上の非営利の研究サイトでリアルタイムに公表していた。

そのサイト名は、FLCCC(www.flccc.net)であり、世界中のどんな医師でも新しい治療法を見つけることができ、すぐに取り入れることができた。

その中心となったマリク医師、コーリー医師、バロン医師、メドゥリ医師、イグレシアス医師の5名は、世界中の緊急救命医たちにとって、パンデミック時の英雄となった。

このFLCCCが、先述の衝撃ニュースで明らかにしたところによると、 「コロナに感染した100人から200人の議員、スタッフ、その家族らが、彼らが開発した『イベルメクチンの処方手順』で治療を受け、誰も入院すら必要なかった」というのです。

そしてこれには、さらに次のような解説が付けられていました(和訳は寺島)。

すなわち、多くの議会議員がワクチンを推進する政治をおこない、そのためイベルメクチンによる効果的な抗ウイルス治療を蔑視し、アメリカ市民がイベルメクチンによる効果的治療を求めるのを阻止する行動をとってきた。

この成功した治療は、次のような議員の矛盾する行動と同時期だった。

議会は、他の人にはイベルメクチンを否定しながら、その否定する薬で治療を受けることができるのか?これは「スキャンダル」の域を超えており、早急に調査する必要がある。

他方、メルク社はモルヌピラビルという新しい同様の抗ウイルス剤を発表した。が、インドの製薬会社2社は、治験の終了を要求した。

どうやら、この新薬は、中程度の病気で入院する患者には効果がないということが問題になっているようだ(詳しくはロイターの次の記事を参照)。

*Two Indian drugmakers to end trials of generic Merck pill for moderate COVID-19
「インドの製薬会社2社、軽中症のCOVID-19用の、メルク社製ジェネリック錠剤(モルヌピラ
ビルの後発薬)の治験を終了へ」
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/aurobindo-pharma-stop-molnupiravir-trial-moderate-covid-19-patients-2021-10-08/ (Oct 9, 2021)

 

このロイター記事を読んでみると、 「メルク社自身が2021年早々に、入院しなければならないほどの症状をもつ患者にはモルヌピラビルが効かないことを知り、治験を中止していたことが分かった」ということでした。

インドの製薬会社による治験はモルヌピラビルのジェネリックだったのですが、 「この薬が軽症と中程度のCOVID患者を対象とした治験に成功した」とメルク社が嘘の発表をしてから、 たった1週間後に、 中症者への治験終了をインドの製薬会社が求めたものです。

というのは先述のように、 「メルク社自体が、入院中のCOVID患者にモルヌピラビルを処方しても病状が進行したので、中症者にすら効かないモルヌピラビルの開発を中止していた」ことを知ったからでした。

にもかかわらず、日本政府は「世界各地で、軽症どころか中症や重症のコロナ患者でも卓効を発揮しているイベルメクチン」を早期に緊急使用許可(EUA)として認証することを怠り、巨額の税金をメルク社に献金したのです。

 

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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