【連載】コロナ騒ぎ謎解き物語(寺島隆吉)
テス・ローリー博士、BIRD(英国イベルメクチン推進協会)会長

第46回 朝日新聞「治療薬 増える選択肢」を考える⑤:「私たち医師は『ヒポクラテスの誓い』を 守ることができない立場に置かれています」

寺島隆吉

前節は、焦点にしようと思っていた「二重盲検法」に行き着かないうちに、時間と体力・気力が尽きてしまいました。そこで本節こそは「二重盲検法」に決着を付けたいと思っています。

さて、WHO(世界保健機関)やCDC(アメリカ疾病管理予防センター)は、 「イベルメクチンは『二重盲検法』という方法で十分な試験データーをもっていないから、その有効性や安全性を確認できず、だからこれをコロナ用の医薬品として認めることはできない」と
言っています。

イベルメクチンは、コロナ用の正式な医薬品どころか、EUA(緊急使用許可)としての医薬品としてすら、認められないという姿勢なのです。

しかしmRNAワクチンも、 「二重盲検法」で検証した十分なデーターをもっていないからこそ、EUA(緊急使用許可)としてしか認められていないのです。だから、これは明らかに「二重基準」による差別です。

しかも、mRNAワクチンはこれまでに何度も紹介してきたように、重大な副反応を示し、莫大な死傷者を出してきています。

ところが世界各地でイベルメクチンを利用してきた現場医師からは「驚異的に死傷者を減らした」という報告はあっても、 「深刻な副反応があった」という報告は、ほとんどないのです。

だとすれば、イベルメクチンにたいする差別・二重基準は、歴史上、類を見ないものだと言ってよいでしょう。その具体的証拠として、テス・ローリー博士(Dr. Tess Lawrie)の発言を以下で紹介したいと思います。

テス・ローリー博士は、世界的な研究者であり、WHO(世界保健機関)のコンサルタントでもありました。彼女の最大の関心事は、再利用可能な医薬品の抑圧でした。

だからこそ彼女は、現在の医療体制に抗議するために、かなりの個人的リスクを負って発言することを決めたのです。

先述のように、アメリカにはFLCCC(コロナ緊急治療最前線同盟)という団体があり、積極的にイベルメクチンによる治療を呼びかけているのですが、彼女はイギリスでBIRD(英国イベルメクチン推進協会)を設立しました。

これは、イベルメクチンの透明で正確な科学的研究を目的とした国際的な専門家集団です。そして彼女は、2021年4月24日、COVID-19の予防と治療のためのイベルメクチンに焦点を当てた世界初のシンポジウム「International Ivermectin for COVID Conference」を開催しました。

その会議で彼女は「二重盲検法」および現在の医療制度について非常に重要な発言をしています。そこで以下では、彼女の発言を紹介しながら「二重盲検法」の問題を考えることにします。

以下の引用は、 「テス・ローリー博士、医学の良心」からの引用です。これは、Justus R. Hope『Ivermectin for the World』という本の「あとがき」に載っていたもので、イベルメクチンについて調べているうちに発見したサイト「Alzhacker」からのものです。

このサイトの運営者は、医療関係の文献、とくに自分の母親がかかったアルツハイマーという病気について実に詳細な研究をしているひとで、 「アルツハイマーについて調べているうちにイベルメクチンにたどり着いた」と書いています。

そこで以下の私の論考では、このサイトに載せられていた『Ivermectin for the World』の和訳からの引用を多用させていただきます(ただし若干の加筆修正あり)。サイトのURLは次のとおりです。
https://alzhacker.com/ivermectin-for-the-world-frequently-asked-questions-afterword/#i-4

それはともかく、テス・ローリー博士は、BIRDという国際会議で、次のような「医学史に残る記念すべき閉会の辞」を述べました。

テス・ローリー博士、BIRD(英国イベルメクチン推進協会)会長

 

医薬品の試験をデザインし、データをコントロールする者が、結果をもコントロールします。したがって、このような業界主導の試験制度は終わりにしなければなりません。現在進行中のCOVID治療法の臨床試験や今後の臨床試験のデータは、独立して管理・分析されなければなりません。完全な透明性がなければ信用はできません。

さらにローリー博士は、科学的証拠を分析する方法の改革を求めて次のように述べています。

イベルメクチンの物語は、私たちが医学の歴史の中で注目すべき時期にいることを強調しています。

私たちが治療のために使用している手段や患者とのつながりが、企業の強欲さからくる容赦ない偽情報によって、組織的に損なわれています。

イベルメクチンの話は、私たち一般市民が当局への信頼を見誤り、金と権力が腐敗する度合いを過小評価していたことを示しています。

もし世界中の医療関係者が2020年にイベルメクチンの有効性を当局に知らせた時に、これが採用されていれば、何百万人もの命が救われ、それに伴う苦しみや損失を伴うパンデミックを迅速かつ適時に終結させることができたでしょう。

さらに続けて、ローリー博士は、大手製薬会社やその他の利害関係者による現代医学の腐敗を、次のように訴えました。

それ以来、何億人もの人々が、人類史上最大の人体実験・医療実験に参加しているのです。実験的ワクチンの集団接種は証明されていない新しい治療法でした。

何千億ドル(数十兆円)もの利益が巨大製薬会社にもたらされ、その費用は国民によって支払われています。政治家や医療関係者ではない人たちが病気の人に何を処方してよいかを指示しているため、私たち医師は「ヒポクラテスの誓い」を守ることができない立場に置かれています。

彼女は上記で「私たち医師は『ヒポクラテスの誓い』を守ることができない立場に置かれています」と述べています。が、この「ヒポクラテスの誓い」とは何でしょうか。

かつて私が岐阜大学医学部の学生たちを教養部で教えたことがあり、その縁で医学部自治会の季刊誌に原稿を依頼されたことがあるのですが、それが出版されて私の手に届いたとき、その表紙の裏に「ヒポクラテスの誓い」が載せられていました。

それで、紀元前四世紀の「医学の父」ヒポクラテスが語ったとされる、その印象深い誓いが今も私の頭に記憶されています。医学部の学生は全員、卒業式の時、この誓いを胸に刻むことになっているそうだからです。

その一部を紹介すると、それは次のような誓いとなっています。

●自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。
●依頼されても人を殺す薬を与えない。
●同様に婦人を流産させる道具を与えない。

この「ヒポクラテスの誓い」は、その後、1947年におこなわれたニュルンベルク裁判の一環としておこなわれた「医者裁判」の結果、 「ニュルンベルク綱領」となりました。ナチスドイツが非倫理的な人体実験を医者に強要したからです。

この「ニュルンベルク綱領」は、人間を被験者とする研究に関する一連の倫理原則で、これがのちに、1964年6月にフィンランドのヘルシンキで採択された「ヘルシンキ宣言」へと発展しました。

この「宣言」が研究倫理の確立に繋がり、医療倫理の発展、そして患者の権利の確立へと結びついていったわけです。これは、研究倫理の歴史において、医療研究の礎石たるべき重要文書と見なされています。

さて、この「宣言」の精神をふまえて、さらにローリー博士はBIRD閉会の挨拶を、大略、次のように続けています。

 

この運命的な岐路において私たちは選択を迫られています。

腐敗した組織、医療当局、大手製薬会社、億万長者という社会不適合者によって身代金を要求され続けるのか、それとも私たちの治療を受けている人々に害を与えず、常に最善を尽くすという道徳的・職業的義務を果たすのか、という選択です。

後者には、志を同じくする世界中の仲間・同僚に緊急に連絡を取り、私たちが試した安全な旧来の医薬品のうち、どの薬がCOVIDに使用できるかを議論することが含まれています。

考えてみれば、イベルメクチンが誕生した日本に、アメリカのFLCCC(コロナ緊急治療最前線同盟)やイギリスのBIRD(British Ivermectin Recommendation Development:英国イベルメクチン推進協会)のような団体が、いまだに存在しないことが不思議です。

現場では、長尾クリニックを経営する長尾和宏医師や三上クリニックを経営する三上修司医師などが、目の前でコロナで苦しんでいる患者を放置できず、イベルメクチンを処方しながら効果を上げている実例があるにもかかわらず、このようなひとたちが手をつないで「イベルメクチンをもっと自由に使わせろ」という団体が生まれていないのです。

それどころかイベルメクチンという薬が存在することすら知らない開業医や病院経営者すらいるのです。

以前の章でも紹介しましたが、私の主宰する研究所の一員の奥さんが人工透析を受けている病院からワクチン接種を強要され、 「私はイベルメクチンを考えていますので」と断ったところ、 「何ですか、そのイベルメクチンというのは?」と言われたそうです。

またイベルメクチンは政府も「適応外使用」として保険を使って使用できると言っているにもかかわらず、そうするためにはどういう手続きをすればよいのかを知らない医師も少なくないのです。

私は、その保険を取り扱っている「国民健康保険中央会」に電話をして、開業医がイベルメクチンを使用したときにどのような手続きをすればよいのかを尋ねようと思ったら、その電話に出てきた職員もやはり「何ですか、そのイベルメクチンというのは?」と言うのですから驚きました。これが日本の現状なのです。

 

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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