自然災害か、それとも人為的な破壊工作か? 日本企業も関与するマウイ島大火災の〝疑惑〞

浜田和幸

下方修正された被害実態
去る8月8日、ハワイ・マウイ島で発生した大規模な山火事は110人を超える死者と、多数の行方不明者をもたらし、アメリカ史上最悪の自然災害といわれています。19世紀前半にハワイ王国の首都だったラハイナ地区は最も大きな被害に見舞われており、内外からの観光客で賑わっていた人気の街は廃墟となってしまいました。

しかし、9月15日、ハワイ州政府がDNA検査を行なった結果、死者数は97人で、行方不明者は31人であると修正報告を公表しました。「今後、増える可能性は否定できない」とはいうものの、疑わざるを得ません。9月28日に連邦議会の下院にて、火災の原因に関する公聴会が開かれることを意識して、犠牲者の数を少なめに抑えたのでしょうか。

なぜなら、その地域には6つの小中学校があり、生徒数は3000人ほど。ところが、ハワイ州の教育省によれば、8月21日の時点で所在が確認されたのは1000人弱です。要するに、残りの2000人を超える子どもたちが「行方不明」という扱いになっていたからです。

当日はハリケーンが接近していたため、学校は休校となっていました。親は仕事で外出していても、子どもたちは「家にいるように」と指示されており、火災が迫る中、外には出なかったために、家屋と共に犠牲になった子どもたちが多かったに違いありません。火の勢いが強く、遺体を回収しても、身元の確認はほとんど不可能の状態といわれていました。

今回の犠牲者数の下方修正については、「動物の遺体と子どものそれを見誤った」との説明がされました。そんな程度の検死能力には信用が置けません。

驚くべきことに現在、被害の大きかったラハイナ地区は高い黒塀で覆われ、内部の様子をうかがうことができません。ドローンによる空中撮影も禁止されています。元の住民が自宅の様子を確認しようとしても、警察や軍隊によって立ち入りが認められないのです。内部をメディアにも公開しようとしないのは、なぜなのでしょうか?

今回の大火災について、バイデン米大統領は当初、記者からの質問に対して「ノーコメント」を繰り返し、「被災者には700ドル(約10万円)の見舞金を出す」と発言。あまりの少額に皆、愕然としたものです。火災発生から2週間近く経ってからマウイ島を訪れたバイデン大統領に対して、地元の住民たちは「ノーコメント大統領はお呼びではない! お帰りください」と冷たい反応を見せました。なぜ、バイデン大統領はノーコメントを連発したのでしょうか。

消火のための水が止められていたそれ以外にも、この前代未聞の大火災については、不思議な現象が数多く報告されています。たとえば、火災の発生を知らせる警報機が島内に80台も設置されていたにもかかわらず、全く作動しなかったことです。この点を記者から問われると、防災担当の局長は「サイレンは津波への警報が主たる目的であったため、もしサイレンを鳴らせば、津波が迫っていると誤解し、山の方へ避難する住民が出るおそれがあったので、あえてサイレンを鳴らさなかった」と釈明し、「対応に問題はなかった」と大見えを切っていましたが、どう考えても納得できません。結局、この局長は会見直後に「健康問題」を理由に辞職しました。

サイレンを鳴らさなかっただけではなく、携帯電話へのオンライン警報も、テレビやラジオによる避難勧告もありませんでした。結果的に、子どもたちに限らず多くの住民が、火の手が迫っていることに気づかず、焼け落ちた住宅の下で命を失うことになった模様です。特に高齢者に、逃げ遅れた犠牲者が目立ちました。

そのうえ、電力会社のハワイアン・エレクトリック・インダストリーズは、送電線への電力供給を停止しませんでした。そのため、崩落した電線から地上の草木に飛び火したことで火災が拡大したのです。しかも、同電力会社が調査・復旧のために派遣したトラックが道路を封鎖してしまったために、火災から逃れようとした住民の車が走行できなくなってしまったとのこと。本来であれば、警察が誘導し、避難を円滑に進めるべきでしたが、警察も全く動いた形跡がありません。現在、住民たちが電力会社に対し集団訴訟を提起しています。

また、住民が消火のために自宅で水を放出しようとしたものの、水道を管轄する州の土地自然資源部が水の供給をストップさせていたため、火の勢いを食い止めることもできなかった模様です。この点を問い詰められたグリーン州知事いわく、「マウイ島では水は神様から与えられた貴重なお宝という考えが根強く、消火のために水を放出することには反対の声があったからだ」。何とも信じがたい説明に終始しました。

あれもこれも、にわかには信じがたい説明ばかり。そもそも、雨が降らず空気が乾燥していたところに、ハリケーンが襲来し、火の手が一斉に広がったと説明されていますが、“放火犯”による人災の疑いは否定できません。というのも、カナダ・スペイン・ギリシャなどでも大規模な山火事が頻発。近年の発生件数の多さに、環境テロ集団による「人為的な山火事」を発生させることで、「地球温暖化への警鐘」を鳴らそうとする活動ではないかとの見方も出ています。実際、それらヨーロッパの山火事では放火犯が多数、逮捕されているのです。

火災現場は「スマートシティ構想」予定地
 さらに奇妙なことに、マウイ島にはオバマ元大統領をはじめ、ビル・ゲイツ氏やジェフ・ベゾス氏といった経済界の大物や、オプラ・ウィンフレイやレディー・ガガなど有名なアーティストもたくさん別荘や大豪邸を所有しているのですが、こうした著名人の物件はいずれも火災を免れていることです。

それどころか、火災発生の直前に不動産を買い増す動きもありました。事実、火災発生前と比べ、不動産価格が急騰しているのです。値上がりを見越しての買い増しとしか思えません。2022年の現地の住宅の平均価格は60万ドルでしたが、現在は100万ドル(約1・5億円)を突破しています。ほぼ倍近い値上がりです。

特に、ラハイナ地区では、ICT技術を活用して持続可能な都市をつくる「スマートシティ構想」が進められる中、地元住民は「スマートシティより自然な暮らし方が望ましい」と、土地を売ろうとしませんでした。後に述べますが、未来のスマートシティ構想の実現にとって、土地を売却しない地元の住民は厄介な存在と見なされていたようです。

今回の火災を受け、土地開発業者からは「高値で買い取るので売りませんか」といった勧誘が殺到しているとのこと。すると、州知事からは「不動産業者の買い取りには応じないように。州政府が買い取る用意があります」と、州政府と不動産業者の間で争奪戦が発生しています。うがった見方をすれば、売却に反対していた住民を追い出すために、大規模な山火事を人為的に起こしたのではないかと疑う声も聞かれるほどです。実際、火の回りは凄まじく早かったようですが、火の手の進み具合が、これまた実に不自然で、円を描くような形で進んでいったことが映像で確認できます。

最も腑に落ちないのは、ハワイ州政府の肝いりで計画が進んでいた「ジャンプ・スマート・マウイ」と命名された未来のスマートシティの建設予定現場が跡形もなく消滅してしまったこと。見方によっては、この計画にとって邪魔になりそうな住宅や建物を意図的に狙ったと言えなくもありません。

ジャンプ・スマート・マウイは2045年を目標に電力需要の100%を自然再生エネルギーで賄うという構想で、日本企業も全面的に関与してきたプロジェクトです。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を中心に、日立製作所やみずほ銀行、サイバー・ディフェンス・インスティテュートなどの日本企業がハワイアン・エレクトリックの子会社のマウイ電力などと協力し、電気自動車(EV)をはじめ、最新技術を導入することで、「公害も犯罪もない、クリーンな未来都市」建設を進めようと意気込んでいました。EVに関しては日産自動車が島内各所に充電スタンドを導入し、データの収集に取り組んできました。

もともとの構想を立案したのは「世界経済フォーラム」(WEF)でした。毎年、スイスで世界の政財界のトップを招き、「ダボス会議」を主催している組織です。彼らの後ろ盾もあり、ハワイ州政府は2008年に「100%自然再生エネルギーが稼働する未来のスマートシティ」を建設する計画を大々的に発表。計画ではそれが「2045年までに完成する」と宣伝されていました。

その構想は国連でも評価され、マウイ島を皮切りに世界で36カ所の「グリーン・スマート・シティ」が建設されるとのこと。そのため、今年7月にはニューヨークの国連本部でグリーン州知事が大演説をぶったばかりでした。

そうした構想も活動も、一瞬にして崩壊してしまったように見えます。しかし、もし山火事が人為的なものであれば、スマートシティ構想の現場はある意味で、全てクリーンな更地になったようなもの。ハワイのマウイ島から日米が協力して、自然のエネルギーを活用する未来都市を建設しようとしていたわけで、状況が落ち着けば、再起動の可能性は高いと思われます。

偶然かもしれませんが、大火災が発生する直前の7月、ハワイ州政府はマウイ島の住宅再開発諮問委員会を発足させていました。州の住宅局長はグリーン知事の指揮の下、スマートシティ構想の実現にとって必要な区割りを検討しようとしていたわけです。しかし、たとえそうであったとしても、これほどの被害をもたらすことでしか、事業を円滑に進められないというのであれば、もとからこの構想には無理があったといえなくもありません。

いずれにしても、今回の大規模災害には不可思議なことが多すぎるのです。

 

マウイ島の隠された事実
 今回の山火事で、岸田首相は20万ドル(約2.9億円)のお見舞金を送ることをバイデン大統領に直接伝えました。それ以前に、不可思議な現象の究明にしっかりと取り組む必要があるのではないでしょうか? 日本でもいつ何時、同じような災害が起こるかもしれませんから。

実は、マウイ島の住民約16万人のうち、2割は日本人や日系アメリカ人です。日本企業も数多く進出しており、今回の山火事の影響は深刻と思われます。再建や復興には1兆円近い資金が必要といわれ、日本政府の3億円弱の義援金ではどうにもなりません。

しかも、不思議なことに、火災が発生した2日後の8月10日、ネット書店のアマゾンで『Fireand Fury : The Story of the 2023 Mauiand Implications for Climate Change』(「火災と怒り:2023年マウイ島で起きた現象と気候変動の影響」)なる書籍の販売が始まったのです。ペーパーバックの値段は15.99ドル。タイミングの良さが追い風となり、たちまちベストセラーにランクインしました。とはいえ、同書の著者とされるマイルズ・ストーンズ博士なる人物は実在していません。調べてみると、チャットGPTによる“即席作品”であることが判明しました。マウイ島の大規模災害を時系列に沿って分析し、地球温暖化と関連づけて、化石燃料の使用をやめ、再生エネルギーへの転換を促そうという主張を散りばめた本です。

多方面で公表されているデータや論説を組み合わせただけの内容で、新鮮味はありません。しかし、題名に「マウイ島」を冠のように配していたため、多くの人々の関心を呼んだわけです。ある意味では、「火事場泥棒」のようなもの。かつてない災害をもたらした山火事を題材に、発生直後に発売がスタートしたため、読者の興味に火がついたのでしょう。

とはいえ、発売開始1週間ほどで完売したとして、現在は販売リストから消されています。読者から「過去の論評の寄せ集めに過ぎない」といった批判が殺到したからでしょう。AIを使ったあまりに安易なビジネスモデルと言わざるを得ません。

日本人観光客にも人気のあったマウイ島は、今回の大規模な山火事によって、資源価値が大きく傷つきました。再建には1兆円程度の費用が必要といわれるものの、まだまだ被害の全貌が明らかになっていません。そのため、復興費用はさらに膨れ上がる可能性も否定できないでしょう。

加えて、マウイ島の隠された真実は封印されたままです。実は、日本の有名なヤクザ組織が以前からマウイ島に進出しており、この島に別荘や大豪邸を維持している有名人を相手にした非合法な薬物売買、マネーロンダリングや地上げに関わっていました。マウイ島には日本人や日系アメリカ人が多数暮らしていたため、日本との接点は広く、深いものがあったことも影響していたと思われます。

日本の政府や企業も様々な事業を展開する拠点を持とうとしてきました。また、日本では知られていませんが、マウイ島にはアメリカの空軍や海軍の研究施設がいくつもあります。たとえば、空軍の監督下にある宇宙観測天文台が何か所もあるのです。

気になるのは、こうした天文台が山火事の発生する直前の8月1日にサイバー攻撃を受けていたことです。実は、火災発生前後にレーザー光線が肉眼で観測されたというのですが、その記録が得られていません。一部専門家の間では、「特定の地上の施設を狙ったレーザー光線が放出されたことが大火災の原因ではないか」との指摘も出ています。「HAARP」とか「MASER」という名称で知られる高周波マイクロ波兵器が使われたとの疑惑も生じているほどで、実に恐ろしい限りです。

こうした兵器の開発に取り組んでいるのはアメリカに限らず、ロシアや中国もしのぎを削っています。ということは、外国勢力の関与もあり得るということ。

さらにほとんど知られていませんが、マウイ島には米空軍の電磁波兵器や指向性エネルギー兵器の実験場もあれば、スパコンの研究施設も隣接しているのです。

もちろん、こうした兵器が使われたと思われる災害はマウイ島に限らず、カリフォルニア州やブリティッシュ・コロンビアでの火災でも、同様の指摘が相次いでなされていました。マウイ島の火災が発生した当日には、連邦緊急事態管理庁(FEMA)の研修会がすぐそばのオアフ島・ホノルルで開催されていました。しかし100人ほどの参加者のうち、誰1人として火災現場に急行しようとはしませんでした。これも、「あえて火災を見て見ぬふりをしていたのではないか」との疑惑を招く一因となっています。

一事が万事、自然災害の衣をまとった人災、あるいは人為的な破壊工作の可能性が否定できないうえ、その可能性に触れるメディアが皆無であることこそ、最大の“疑惑”といえるでしょう。それが、アメリカ史上最悪と目されるマウイ島の山火事なのです。

(月刊「紙の爆弾」2023年11月号より)

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浜田和幸 浜田和幸

国際未来科学研究所代表、元参議院議員

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