【連載】ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 メールマガジン
ノーモア沖縄戦

メールマガジン第125号:南西諸島軍事強化トピック(4月24日~4月30日)

ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会

勢い増す改憲論
この原稿を書いている5月4日の沖縄2紙に前日5月3日「憲法記念日」に国内各地で催された憲法集会の記事(共同通信配信)が載った。日本国憲法は本来、政府、政治家が遵守すべき最高規範であり「護憲」が基本であるべきだが、記事は「改憲」派集会が先に紹介され分量も多く、「護憲」派集会は記事の末尾で分量も少ない。岸田首相の「改憲に向けた気運をこれまで以上に高めることが重要」とするメッセージが冒頭に記され、国政野党・国民民主党の玉木代表は戦力不保持の9条2項の「削除も排除せずに議論」と改憲論に同調し、「命をかけて前線で頑張る自衛官に報いるために、違憲論を解消できる国防規定を作りたい」と〝戦争をできる国づくり〟に前のめりだ。都内のミュージシャン、女性(60)は「自国を守るのにどうればいいか知りたくて参加した。厳しい安全保障環境に合わせて憲法も変えるべきだ」とコメントしている。

共同通信記事が「改憲」論に偏っていると批判するのではない。共同通信は澤地久枝氏「死ぬまで憲法にこだわる」「安保関連閣議決定に危惧」など護憲派の主張、軍事大国化を懸念し「戦争をする国」への傾斜に警鐘を鳴らす記事も配信している。前記の「憲法集会」の記事は、政府、国政与野党、国民を含めこの国の論調が「改憲」「戦争をする国づくり」になだれ込む現状を、あるがままに反映していると思う。

「戦争をする国」に抗う
日本が戦争をする国となり、南西諸島が戦場となることを肯定する国民世論、メディアの論調が勢いを増す現状に、沖縄県民、危惧する国民はどのように抗い、「日本が再び戦争をすることを許さない」、「沖縄も本土も戦場にしない」ための国民運動を再構築していくか。そのことが私たちに問われている。

 

台湾・沖縄対話プロジェクト
そのよすがとなる一つが、県内外の有志、有識者が立ち上げた「台湾有事を起こさせない・沖縄対話プロジェクト」だ。4月29日に琉球新報社が共催して第二回シンポジウムを開催した。このプロジェクトが画期的であることは、台湾の有識者を招き、沖縄と台湾の対話の中から「戦争回避」を目指すことにある。2月の第一回シンポは台湾から蔡英文政権与党の民進党系、野党国民党系の識者を招いた。この顔ぶれ自体、東京ではあり得ない画期的な企画だ。沖縄も台湾も、有事が現実になれば多大な犠牲を免れない。沖縄も台湾も戦場とならない。そのための対話による「戦争回避」の道筋を見出すことが対話プロジェクトの主眼だ。

第二回シンポは台湾人ジャーナリスト、出版編集者、大学教員3氏を招いた。いずれも複雑な台湾問題に深い学識と洞察を持つ識者である。本コラムの筆者(新垣)は複雑な台湾問題に浅薄な知識しか持ち合わせず、本コラムでは5月4日、琉球新報に掲載されたシンポ詳報から3氏の発言を紹介するにとどめる。後日のメルマガで3氏発言の新報記事を詳しく紹介したい。

ゼロサムゲーム
基調講演した香港メディアの台湾駐在主席記者・張釣凱氏は、台湾有事への対処(中国の武力侵攻に対する台湾防衛)を想定する米シンクタンクCSIS報告が「米台が辛勝する前提は日本(自衛隊)の参戦が含まれていること」。この報告に「西側の(勝つか負けるかの)ゼロサムゲームの思考パターンが見て取れること」。中国の国家統一方針が「武力使用」よりも「平和統一」に重きを置いていること。安倍元首相が喧伝した「台湾有事は日本有事、日米同盟の有事」の「三段論法」には、台湾と中国が対話によって「両岸関係、台湾問題の解決」を図る「ロジックとルート」が「巧妙に消えている」こと。そのような問題点が提起された。

米国の仕掛け
香港理工大助理教授・李陳邦は「台湾漁民の立場」で見解を述べた。釣魚台(尖閣諸島)について台湾の領有権を主張する立場だ。「1971年、米国は釣魚台の行政権を日本に移管することを一方的に発表」し、「現在、台湾漁民が経済的苦境、安全保障上の不況をもたらすのは日本とその背後にいる米国が仕掛けたもの」と米国を批判した。「米国は釣魚台の管理権を無責任、意図的に日本に委ね、今日の安全保障のジレンマを作り出した」。「台湾有事論は、日米安保の拡大で、日本の一部ではない台湾を安全保障の対象にした結果」と批判した。

中国封じ込め
出版社編集者・張智●氏は「蔡英文政権は兵役を延長し、米国からの兵器購入額が過去最大を記録するなど軍事化」。「戦争の備えは戦争を回避する唯一の方法と主張するが、軍事対立の激化が戦争の可能性を高めているように見える」。「沖縄の米軍基地も台湾も、米国が中国を封じ込める橋頭保として機能し、台湾有事が起きれば戦争に巻き込まれる運命共同体」と指摘した。その上で台湾と沖縄の違いは、沖縄が地上戦と米軍基地被害を経験し、台湾はその経験がないこと。沖縄の平和教育と反戦の活動は「台湾に欠けている生きた教訓」であり、沖縄を学ぶことで「台湾でも平和の選択肢を持つことができる」。「民間交流を深化させ台湾、沖縄両者で団結して戦争を回避する必要がある」と提起した。

台湾蔡英文政権は米国の武器支援により「台湾有事」で中国に対抗する軍備強化を進めている。日米は「台湾有事」に軍事力で中国軍に対抗し、「台湾を守る」ための南西諸島のミサイル要塞化を進めている。軍事に偏重する米国主導の「勝か負けるかのゼロサムゲーム」に対し、台湾の3氏は「戦争に陥らない対話解決」を提起したものと受け止めた。

シンポでは米国が煽り立てる台湾の軍備強化を批判する台湾有識者の声明が「親中」派のバッシングを受けていること、軍備によらない対話解決の声が少数派であることも報告された。「対話プロジェクト」に対し、ツイッターで中国寄り、中国側の「認知戦」に取り込まれたものとする誹謗中傷も見受ける。しかし日米・台中が「対話解決」に目を閉ざした果てしのない軍拡競争の行き着く先は、「有事」の懸念が現実の「戦争」となることでしかないのではないか。「軍事強化・抑止論」が万全ではなく破綻しうることはウクライナでも明らかだ。「明日のウクライナ」(岸田首相)とならないために、軍事一辺倒から「対話解決」の道を探るべきだ。「対話プロジェクト」が貴重な一歩を踏み出したと確信する。

台湾も沖縄も犠牲にならない 
「対話プロジェクト」シンポを共催した琉球新報が5月1日から「台湾有事」に注がれる東アジアの民衆のまなざしを紹介する連載を始めた。皮切りの台湾報告は軍事一辺倒ではなく「台湾の民主主義を守る」ことと同時に「沖縄を基地の犠牲にしない」ことを望む台湾市民の声を伝えている。次回のニューストピックで紹介する。沖縄メディアが「対話プロジェクト」に呼応する企画を評価し歓迎したい。「台湾有事」、アジアの戦争回避は、日米同盟が扇動する軍事対決に陥らない民衆とメディアの連携がよすがになると期待する。

新垣邦雄(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 発起人)

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