【連載】ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 メールマガジン
ノーモア沖縄戦

メールマガジン第131号:5.21平和集会に寄せて

ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会

私は30代で糸数アブチラガマ(糸数壕)の専属ガイドをさせて頂いている。このガマでは一番若手である。5月は修学旅行生が多く、全国各地から大勢の学生が訪れ、このガマに入り沖縄戦の追体験をしている。大人も子供もガマから出た後、「ニ度と戦争を起こしてはいけないと思いました。」と、ほとんどの方がそう言ってくださる。「沖縄ではミサイル配備が進んでいる事をご存知ですか」と尋ねると、知らない方もたくさんいらっしゃる。沖縄が今再び戦場となるかのような動きが着々と進んでいる現状を伝えると、北朝鮮のミサイルも恐いし、中国が攻めてくるかもしれないからねと話す方も多い。そして二十代の若者の中には、専守防衛になるからミサイル配備をする事には賛成していると答える方もいる。戦後78年が経った今、「戦争は絶対にしてはいけない」とほとんどの方が知ってはいるはずなのに、戦争へと進んでいる今の現状に気付いていない方、そして無関心な方が多い。もしくは、この現状に気付きながら、今のうちにお金を稼いでビジネスを頑張ってしっかり備えよう、そればかり考えている方もいる。平和学習をしていても、戦争は確実に風化されている。命の大切さ、生きていく上での自然の大切さを、真に理解できる人が少ない。

沖縄では敵基地攻撃も可能なミサイル配備が着々と進んでいる。忘れてはいけないのは、基地や武器がある場所が一番最初に攻撃されるということだ。沖縄戦でもそうであった。戦争の恐ろしい所は、嘘の情報が拡散され、それがあたかも本当の事であるかのように国民に伝わる事だ。かつて、日本軍は国民、県民に「鬼畜米英」「米軍に捕まったら男は八つ裂きにされ殺される、女は強姦されおもちゃにされ殺される」などと教え込んでいた。それとは逆の情報を持つ人たちもいた。「米軍は住民を殺さない」この2つの情報、さてどちらを信じるか?そして実際はどうだったのか、歴史は教えてくれている。アメリカ軍は、投降に応じた日本兵に丁寧に治療をしたという記録も残っている。そして78年経った現在、「中国は脅威で、いずれ攻めてくる」という情報がある。それとは逆に「中国はそんなことはしない」という情報もある。さてどちらを信じるか?どの情報を信じるのか、それによって生死が分けられる。情報を見極める力が必要だ。情報を掴み取るセンスも必要だ。

私は2.26緊急集会の司会を担当し、今回の5.21平和集会の司会も務めさせて頂く。シニア世代と若者世代の想いを一つに愛のエネルギーを作り出したいと本気で考えている。チラシにも「争うよりも愛しなさい」のスローガンが載せられ、平和を強調し、多くの世代に受け取りやすいものが作成された。そして今回は、平和集会を開催する隣の広場にはマルシェのように一般の方々や若者が入りやすいように工夫もされている。マルシェの案やチラシが完成された時にある方々から、こんな意見が出た。「今にも戦場になろうとしているこの現状なのに、お祭り騒ぎはできない。こんな生ぬるいものではダメだ」と。その意見もしっかり受け取めているが、若者世代からもはっきりとお伝えしたい事がある。私達は、1人でも多くの人にこの危機的状況をどうしたら伝えられるのか真剣に考えているという事を。
だからこそ、工夫をして、どうにかして知ってもらう機会を作っていかなければいけないと試行錯誤している。1人でも多くの人に知ってもらい、考えるきっかけとなるようにと。

つい1年前まで、私は基地があっていいのか無くていいのか分からなかったのである。基地問題は「難しい問題」という言葉で片付けていた。「自然が破壊されるのは許せない」、だけど反対活動をしている人たちを見て「あんな事しなきゃいいのに」と。本当にそう思っていたのだ。今でも多くの若者がそう思っている事だろう。SNSでは辺野古前で大声を上げて反対して争う姿だけがピックアップされ画像や動画が、沖縄の子どもたちに拡散されている。真意が伝わらず怖い姿だけが映ってしまい、それを見ただけの子供たちは怖い近づきたく無い思う、これが事実なのだ。本当の想いは、子や孫に平和な沖縄を残したいと真剣に考えて行動しているのに。どんなに正しい事をしていても、次の世代に伝わらなければ、そこで終わってしまう。いかに学びやすい空気を作るのかはとても大切だ。
世代によって発信の仕方や心に響く言葉も違う。だけどどうか信じてほしい。若者の力を!
若者の心に届けばどれだけ大きな力になる事か。

時代が大きく変わり新しい風を吹かせるには、若者のエネルギーがどうしても必要なのだ。シニア世代のパワーも若者のエネルギーも一つにしたい。北谷町で開かれる「5.21平和集会」はまさにそのような集会になる。隣のマルシェにキッチンカーが出て、「プラカードを一緒に作ろう」のブースのほか「ミサイル展」「PFAS」の学習ブース、そして保護犬活動の里親譲渡会も行われる。多くの世代に来て頂きたい。共に参加し平和をつくろう。あなたの力が必要だ。

平良友里奈
(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター
Young Friendship Okimawa-Youfo-)

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