【連載】安斎育郎のウクライナ情報

1月29日のウクライナ情報

安斎育郎

みなさま、こんにちは。

昨日・今日で『ウクライナ戦争論』改訂第9版が60冊以上注文がありました。昨日、宇治の教会であった講演会では、170枚ほどのパワーポイントを使ってほぼ100分お話をして、時間いっぱい2人の質問に答えました。講演会に来た人々の中には、ウクライナ戦争を「ロシアの悪逆非道なプーチン大統領が指揮する国際法違反の侵略戦争」と考えていた人もそれなりにいたようですから、私の話にはかなり戸惑った表情をしていた人がいました。「来なければよかった」と感じたか、「来てよかった」と感じたか━それが問題ですね。今日注文を頂いた人の中にも、知人に勧められて読んだものの、「今まで私たちがとらえていたウクライナ戦争の見方を180度転換するほどの内容に、正直なところとまどっています。仲間たちに読んでいただいて、みんなで考えたいとおもいます」と言い、4冊の注文を頂いた方がいました。「異端の論」と言われているものを排除せずに、「みんなで考えてみる」という姿勢は嬉しいものです。

さて、今日のウクライナ情報は、❶ロシア輸送機墜落、ロシア側は事前通知を主張…ウクライナ「捕虜の遺体を示さない のはなぜか」(讀賣新聞、2024年1月28日)、❷ウクライナ国防省高官、軍需企業幹部と59億円横領 砲弾調達巡り(毎日新聞、2024年1月28日) 、❸ロシアに道を開いた 独仏が犯した大きな誤り(毎日新聞、2024年1月25日)、❹スロバキア首相、戦争終結には「ロシアへの領土割譲必要」 ウクライナ反発(CNN, 2024年1月23日) 、❺ ウクライナにNATO からの支援がなくなった場合の「最も危険なシナリオ」…懸念 されるゼレンスキ―大統領の動き(現代ビジネス、2024年1月28日)、❻ウクライナ、東部アウジーイウカの防衛で危機的局面 重要陣地あわや喪失 (Forbes, 2024年1月24日)、❼ウクライナ軍のレオパルト2戦車が「絶滅」の危機。部品不足で修理進まず(2024年 1月24日)、です。❺には、「ウクライナの戦闘能力は落ち、国民の士気も下がっていることから、ロシアに占領された 4 州を奪 還するのはもはや難しい。ゼレンスキー大統領は相当焦っています。彼はロシアに敗北したら、すべて を失う。それを避けるためにゼレンスキー大統領が暴走しないかが心配です」とあります。ホントに。

寒いのでお気を付け下さい。私は毎朝のご近所衆とのラジオ体操も続けながら「八十路じじい風」に頑張ります。では、ごきげんよう‼2月1日からは福島に行きます。

あんざい

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安斎育郎 安斎育郎

1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。

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