【連載】今週の寺島メソッド翻訳NEWS

百々峰だより(2024/02/16):タッカー・カールソンのプーチン大統領インタビューその2:世界の反響とその分析

寺島隆吉

※元岐阜大学教授寺島隆吉先生の百々峰だより(2024/02/116)国際教育(2024/02/16)
タッカー・カールソン(Tucker Carlson)
イーロン・マスク(Elon Musk、「X」所有者)
ヴァレリー・ザルジニー将軍(Valery Zaluzhny)
アレクサンダー・シルスキー将軍(Alexander Syrsky)
セルゲイ・カラガノフ教授(Sergey Karaganov、地政学者)
ロン・ポール(Ron Paul、元共和党下院議員、Ron Paul Institute主宰)


EUの拠点ブリュッセル(ベルギーの首都)を占拠する、欧州各国から集まった農民のブルドーザー
EUの拠点ブリュッセル(ベルギーの首都)を占拠する、欧州各国から集まった農民のブルドーザー
https://strategic-culture.su/news/2024/02/05/farmers-roll-into-brussels-as-protests-flare-up-scross-europe/

前回も書いたように、私が主宰する研究所の仕事の一つとして『翻訳NEWS』というサイトの運営があります。
その「翻訳グループ」の皆さんに素材情報を送るのが私の仕事ですが、前回のブログでは、タッカー・カールソンの世界を揺るがすインタビューが飛び込んで来たので、「緊急下訳のお願い」をしたようすを紹介しました。
しかし、このプーチン大統領インタビューがいまバイデン政権やEU幹部に衝撃を与えていますので、その続報を以下に紹介します。

翻訳グループ、研究所の皆さん


昨日は「偽痛風」の治療に時間がかかって、『英語成句』『反中国心理作戦を脱却せよ』第2巻の出版や『翻訳NEWS』素材情報などにかける時間が取れず困っているという便りを書きました。
それでも今日は長良整形外科に行く日だったので、院長に前回の血液検査の結果を尋ねたところ「着実に数値が良くなっている」という返事だったので喜んでいます。
それにしても手元に溜まっている『翻訳NEWS』素材情報を整理する時間が取れません。そこで今日は、またもや「緊急下訳して欲しい」情報のみを取りあえず送ることにしました。


というのはタッカー・カールソンのプーチン大統領インタビューにたいするアクセス回数が2億を超えるという反響ぶりなので、これに関する評論とウクライナ情勢を中心にして以下の情報を集めてみました。
ただし後掲の6)はEU諸国の幹部がウクライナ援助にしか関心が無いことに欧州の農民が激怒していることを論じたものです。
また私は前回のブログで「プーチン大統領インタビューの字幕版をつくってくれるひとがいないか」と書きましたが、期待どおり「字幕版」が出ました。しかも色々なひとが色々なバージョンで出しています。
今のところ私が一番良いと思ったものが下記の8)でした。それにしても、これだけ多様なバージョンが出てくるというのは、このインタビューに関する関心の高さを示しているように思います。


プーチンはインタビューのなかで「アメリカは世界のメディアを支配しているから、容易に世界の世論を変えることはできない」と言っていました。
が、それでもやはり、このインタビューはバイデン政権やNATO勢力に大きな動揺をもたらし、世界に強烈な衝撃を与えたインタビューではなかったかと思います。
そいうことを念頭において、1)~7)に挑戦していただければ有り難いと思います。例によって食指の動くものに挑戦ください。
なお、手元に溜まっている情報にコメントを付けて、できるだけ早くお手元にお届けしたいと思っています。どうかお許しいただければ幸いです。

(1)Zaluzhny’s Removal Does Not Resolve Political Standoff in Ukraine(ザルジニー将軍を辞任させても政治的手詰まりに見通しは出て来ない)

Zaluzhny’s Removal Does Not Resolve Political Standoff in Ukraine


February 13, 2024

(2)‘No way in hell’ Russia will lose Ukraine conflict – Musk (イーロン・マスク「ロシアがウクライナ紛争で敗北するなどということは断じてありえない」)
https://www.rt.com/news/592365-musk-ukraine-aid-putin/
13 Feb, 2024

(3)Time to stop Ukraine ‘meat grinder’ – Musk (イーロン・マスク「もうウクライナは『肉挽き器』『屠殺(とさつ)』であることを止めるべし」)
https://www.rt.com/news/592238-musk-stop-ukraine-meat-grinder/
10 Feb, 2024

(4)Sergey Karaganov: Here’s why Russia must permanently abandon Europe and turn fully to Asia(セルゲイ・カラガノフ:ロシアが恒久的にヨーロッパを捨て、アジアに完全に目を向けなければならない)
https://www.rt.com/russia/592244-karaganov-russia-abandon-europe/
Feb 10, 2024

(5)Tucker Carlson Committed ‘Treason’ to Interview Russian President Vladimir Putin… and the World Loved It!(タッカー・カールソンのプーチン大統領へのインタビューは「反逆罪」を犯した…だが世界はそれを愛した!)
https://strategic-culture.su/news/2024/02/09/tucker-carlson-committed-treason-to-interview-russian-president-vladimir-putin-and-the-world-loved-it/
February 9, 2024 、Editorial(社説)

(6)Farmers Roll Into Brussels as Protests flare up Scross Europe(農民がブリュッセルに押し寄せ、ヨーロッパ全土で抗議デモが勃発)
https://strategic-culture.su/news/2024/02/05/farmers-roll-into-brussels-as-protests-flare-up-scross-europe/
February 5, 2024

(7)Tucker Slayed the Mainstream Media Dragon(タッカーが主流メディアの龍を倒した)
https://strategic-culture.su/news/2024/02/13/tucker-slayed-the-mainstream-media-dragon/
February 13, 2024 、Ron PAUL

(8)タッカー・カールソン、プーチン大統領インタビュー 日本語全文字幕付き
https://twitter.com/i/status/1755821082861605280

(9)ウラジミール・プーチン:タッカー・カールソンとのインタビュー(ロシア語からの翻訳)ロシア語翻訳:青山貞一(東京都市大学名誉教授)
https://eritokyo.jp/independent/Ukraines-war-situation-aow4561.htm

プーチンの顔1
プーチン大統領



以上が先日、「翻訳グループ」の皆さんに送った素材情報ですが、以下に少し解説を付け加えたいと思います。

まず上記(1)の情報です。
ゼレンスキー大統領は、ザルジニー将軍を解雇して、新しいウクライナ軍の司令官としてシルスキー(Alexander Syrsky)に代えたわけですが、未来に明るい光は見えないことを報じたものです。
それと同じことをアメリカの政治紙Politicoですら報じていると(10)の記事は述べています。それどころか、ウクライナ軍の新将軍シルスキーは「実りのない攻撃」に駆り出されて戦場で「屠殺される」ことを恐れているというのです。

(10)Ukraine’s new commander-in-chief is an unpopular ‘butcher’ – Politico(ウクライナの新司令官は不人気な「屠殺人」。Politico紙)
https://www.rt.com/russia/592184-ukraine-commander-syrsky-unpopular/
Feb 9, 2024

しかも、次の11)は、シルスキー将軍は「ロシア生まれ、ロシア育ち」で「親も兄弟もロシアに住んでいる」のに、こんな人物をゼレンスキーは選んだのかの謎解きをしたものです。
11)A very Soviet union: Why has Zelensky picked a Russian general as the new leader of Ukraine’s army?(まさにソビエト連邦だ。なぜゼレンスキーはウクライナ軍の新指揮官にロシア生まれ・ロシア育ちの将軍を選んだのか?)
https://www.rt.com/russia/592347-syrsky-zaluzhny-ukraine-army/
14 Feb, 2024
プーチン大統領はインタビュー冒頭でカールソン氏にロシア史の講義をし、「ウクライナという国は、実態としてまともに存在したことはなかった」と言っていましたが、まさにそれを絵に描いたような人物が新将軍シルスキーだったわけです。


上記(2)(3)の記事は大富豪イーロン・マスクが、「ロシア軍がウクライナで敗戦するなんてことは絶対にない」「むしろウクライナ軍は前線で『屠殺』されるだけだから、こんな戦いはもう止めろ」と訴えたものでした。
同じ大富豪でもビル・ゲイツは絶対にこんな発言はしません。ビル・ゲイツはワクチンを売りまくって金を儲けることしか考えていませんから。
他方、イーロン・マスクが検閲・言論弾圧をしているTwitterを買い取って「X」と変名して、それを活躍する場としてタッカー・カールソンに与えました。だからカールソンも、次の(12)のような発言をしているのは当然かも知れません。
なぜなら、それは戦いを長引かせ、死者を増やすだけだからです。ところが岸田政権どころか、日本の左翼・リベラルまでも、ウクライナに援助することが平和運動だと信じているのですから悲劇です。

(12)Giving Kiev more money ‘insane’ and ‘cruel’ – Tucker Carlson(キエフに金をやるのは「正気ではない」「むしろ残酷だ」と、カールソン)
https://www.rt.com/russia/592348-carlson-ukraine-aid-insane/
Feb 13, 2024

つまり「ウクライナに援助するな」という声をあげることこそ平和運動なのに、「良心的学者・研究者」と言われるひとたちが、いまだにそのことに気づいていません。『コロナとウクライナをむすぶ黒い太縄』全4巻を出さざるを得ないと私が考えたゆえんです。

タッカー・カールソンの笑い顔2
タッカー・カールソン(Tucker Carlson)


さてタッカー・カールソン(Tucker Carlson)のプーチン大統領インタビューが世界に嵐を巻き起こしましたが、それを論じたのが上記の(4)(5)でした。
アメリカ政府やEU幹部は「カールソンは反逆罪を犯した」と激怒したわけですが、世界の多くの民衆(とりわけ「グローバル・サウス」の民衆)はむしろ歓迎しました。
それどころか、「プーチンはそろそろEUとキッパリ縁を切って、ユーラシア経済圏の一員になる決意をすべきだ」と訴えたのが、上記(4)の論考を書いた地政学者カラガノフ教授(Sergey Karaganov)。
私はこれまでカラガノフ教授についてはあまり知らなかったのですが、高名な評論家ペペ・エスコバル(Pepe Escobar)がいたく評価しているのが、この教授ですから、よほどの人物なのでしょう。
そう言えば、エスコバル氏自身が「将来は中国とロシアが居を固めるハートランド、すなわちユーラシア経済圏が世界の中心になり、英国・EUおよび日本は、その周辺国家の地位に落ち込むだろうと言っていましたから、カラガノフ教授の言い分と一致します。
バイデン政権は「ロシアが崩壊するまでウクライナ紛争を継続する」つもりのようですが、その前にEUが崩壊する可能性の方が強くなってきました。
それを具体的に示すのが(4)の記事です。
これはEU諸国の幹部がウクライナ援助にばかり金を使い、今や欧州各国の農業が崩壊の危機に瀕していることに抗議して、フランス、ドイツ、ポーランド、オランダの農民が大挙してベルギーの首都ブリュッセルに乗り込み、EU議会前の広場をブルドーザーで埋め尽くす運動でした。
彼らはウクライナの農産物が関税なしでEU諸国になだれ込んで来るのを止めようとしているのです。さらには「地球温暖化」を口実に、農業への援助金を減らし、農業のやり方にまで制限を加えようとしているからです。


このようにウクライナ紛争に端を発したロシアへの経済制裁は、むしろ「ブーメラン効果」でEU経済に大きな打撃を与えているのですが、EU諸国の幹部の頭は「ロシア政府の政権転覆」で一杯になり、どうも他のことは考えられなくなっているようです。

アメリカは、ロシアがソ連だった頃にソ連軍をアフガニスタンに誘き出して、世界中から集めたイスラム原理主義勢力(ムジャヒディン)と戦わせて、10年かけてソ連という国を崩壊させたわけですから、今それと同じように、ロシア軍をウクライナに引きずり込み、10年かけてロシアという国を崩壊させる作戦をたてている可能性があります。

EU諸国も、ウクライナという国も、そのための道具に過ぎません。まして、これを契機にドイツという経済大国も崩壊させれば、アメリカは将来の仮想敵国をひとつ減らせるわけですから一石二鳥というわけです。
アメリカは、本国が戦場になるわけではないしアメリカ兵も死ぬわけではありませんから、ウクライナ軍兵士がどれだけ死のうが、ドイツやEU経済が崩壊しようが知ったことではありません。むしろ競争相手がひとつでも減った方がありがたいのですから。
ウクライナ紛争が起きなければEUがアメリカの競争相手になったかも知れませんし、ましてEUが独自の軍隊を持ちたいと言いだしたら、もっと面倒です。

日本もEUやウクライナと同じ罠に嵌まりつつあるのに、岸田政権はいまだそれに気づいていないようです。というのは、アメリカの本命は経済大国1位の中国であり、中国を倒すための道具として台湾と日本を使おうと考えているからです。
その戦略に乗せられて遂に日本は「経済大国4位」というという地位に転落してしまいました。第3位のドイツと入れ替わったわけです。次の記事はそのことを示しています。
(13)Japan loses crown as world’s third-biggest economy
https://www.rt.com/business/592467-japan-recession-economy-world-ranking/
Feb 5, 2024


話しが少し横に逸れたので、タッカー・カールソン(Tucker Carlson)のプーチン大統領インタビューに戻ります。
このインタビューが世界に大きな嵐を引きおこしたことは先述しました。日本でも大きな反響を呼びました。その証拠に、このインタビューの文字起こしが多様なバージョンで登場しているからです。
私がいろいろ視聴してみた限りで一番良かったものが先に紹介した(8)でした。他のものは字幕の付け方がまずかったり、字幕も間違いや抜けているところがあったりしました。 また録画そのものがTCN (Tucker Carlson Network、タッカー・カールソン・ネットワーク)のものを使っていないので、プーチン大統領やカールソン氏の肉声が伝わってこないものすらありました。
さらに調べてみると、録画に字幕をつけたものではなく、ロシア政府の公式ホームページに載せられていた録画とその文字起こしを利用して、ロシア語から日本語に翻訳したものすら見つかりました。それが先述の(9)です。
それを次に再録しておきます。
(8)タッカー・カールソン、プーチン大統領インタビュー 日本語全文字幕付き
https://twitter.com/i/status/1755821082861605280
(9)プーチン:タッカー・カールソンとのインタビュー(ロシア語からの翻訳)
https://eritokyo.jp/independent/Ukraines-war-situation-aow4561.htm

これは2時間にもわたるインタビューを(たとえ日本語字幕であっても)見る時間的ゆとりがないひとにはありがたいものです。
しかし映像と肉声を聞きながら字幕を見ていくとカールソンがどこで驚き、どこで笑っているのかが分かりますし、プーチン大統領がどこでため息をつきながら説明しているのかが分かりますから、やはり時間のある方には字幕版がお勧めです。


私がこのインタビューを見て興味深く思った点は少なくなかったのですが、一番記憶に残ったのはクリントンが大統領だった頃、「NATOに入りたい」と言ったら、クリントンは個人的にはOKしたのに、翌日になったら側近に止められてしまったというエピソードでした。
現在はウクライナのNATO加盟が大きな焦点になっているのに、そのときはロシアのNATOが話題にのぼったというのですから、実に興味深い話です。
しかし考えてみれば、NATOはロシア侵略・ロシア解体の道具なのですから、そこへロシアが加盟してしまったら、その道具がなくなってしまうのです。ですから今にしてみれば、そんなことはあり得るはずもなかったのです。
英米を裏で支配している勢力は、歴史的には一貫してロシア解体を狙っていました。ヒトラーもその道具のひとつだったのだということが、80歳を目前にして私が最近やっと分かったことだったのですから、当時のプーチン大統領がそのことを分からなかったのも当然かも知れません。
プーチン大統領も若かりし頃、「資本主義の牙城WEF(世界経済フォーラム)のYoung Global Leaders」の一員だったということを、WEF会長のクラウス・シュワブが語っているのを読んで半信半疑だったのですが、かつてNATO に入りたいと言ったのであれば、さもありなんと納得しました。
しかし今やプーチン大統領は西洋社会にキッパリと見切りをつけたようですから、ユーラシア経済圏といわゆる「グローバル・サウス」の未来はますます明るくなったようです。
BRICSとSCO(上海協力機構)への加盟国も増える一方です。
それにしても、「分裂させて支配する」というのが支配者・覇権国家の常套手段のはずですが、ロシアに経済制裁を加えてプーチン政権を崩壊させるという手段が、今となっては逆効果となり、経済的にも軍事的にも中国とロシアがますます強く手を握るようになったのですから、皮肉と言えば皮肉です。
かつてベトナム戦争のとき中ソの間にくさびを打ち込み、中国を親米化させるという成果をあげたキッシンジャーも、今頃は草葉の陰で歯ぎしりをしているかも知れません。

10
さて最後は、このインタビューを終えたカールソン氏とプーチン大統領のコメントです。
それを報じたのが(14)(15)の記事です。

(14)Tucker Carlson ‘is dangerous’ – Putin (タッカー・カールソンは「危険だ」、とプーチン)
https://www.rt.com/russia/592452-putin-tucker-carlson-dangerous/
Feb 14, 2024
(15)Tucker Carlson reviews Putin interview and reveals what ‘radicalized’ him. (タッカー・カールソンは、プーチンとのインタビューを振り返り、何が彼を「過激化」させたかを語った)
https://www.rt.com/news/592332-tucker-carlson-dubai-speech/

プーチン大統領は、「私はもっと鋭い質問が出てくるかと思って準備していたのに肩透かしを食らった。だから私にとっては不満が残るインタビューだった。私に言いたいことを言わせなかったという意味では彼は危険人物だ」と述べています。
面白い評価です。
他方、カールソン氏は、「もっと鋭い質問をしてプーチンを追い詰めるべきだったのにそれを避けた」という批判があることは承知しているが、大統領を私との論争に巻き込みたくなかった。私にとって大切なのは、大統領との論争で自分の美徳を示すことではなく、妻と子どもの評価だけだ」と述べています。
これも面白い観点でした。
いずれにしても、このインタビューで今まで欧米人には知ることのできなかったロシア像とプーチン像が広まることによって、平和の到来が少しでも早くなることを願うのみです。

サンフランシスコ1 SANNFURANNSISUKO 2 SANNFURANNSHISUKO 4
サンフランシスコの惨状
https://www.zerohedge.com/medical/san-franciscos-post-apocalyptic-hellscape-full-display-viral-tiktok-video

11
蛇足としてひとつだけ。
上記(15)の記事の題名は「タッカー・カールソンは、プーチンとのインタビューを振り返り、何が彼を『過激化』させたかを語った」とありますが、この「過激化(radicalized)」とは何を指すのかと思って本文を読んだら、彼は次のように語ったと書いてありました。

自分は54歳で、安全で美しい都市があるアメリカで育った。
アメリカの都市よりもきれいで安全で美しいモスクワを見たり、ドバイやアブダビでそのことを思い知らされたりするのは「意識の根本的転換だった」と言った。
それは意志による選択の結果だ。このような美しい都市では犯罪に巻き込まれる必要はない。

つまり、「かつて美しかったアメリカの都市は今はない。ニューヨークも汚くて危険な街だ。ところがモスクワに来てみて、その美しさに驚かされた。これは為政者による選択の結果であり、このような美しい都市では、まず犯罪は起きない」と言うのです。
これがカールソン氏のモスクワ観でした。私も高校教師だった頃、生徒10人を引率して1か月のアメリカ滞在をしたことがあるのですが、ニューヨークの汚さに驚かされましたし、落書きだらけの地下鉄には絶対に乗るなと忠告されました。
その後、アメリカはかなり改善されたはずなのですが、タッカー・カールソンに言わせれば、それは過去の話だというのです。かつて「花の都」として皆が憧れたサンフランシスコですら、今やホームレスが溢れる汚い街に変貌してしまったことを次の記事は示しています。(下記に載せられている衝撃的動画で御確認ください。たった2~3分ですから)

*San Francisco’s Post-Apocalyptic Hellscape Is on Full Display in This Viral TikTok Video
「サンフランシスコの黙示録的な地獄絵図がTikTokの動画で話題に」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-2084.html (『翻訳NEWS』2023/11/26)

ところが、国内がこのように悲惨な状態になっているにもかかわらずバイデン政権は相変わらず国民の血税と湯水のようにウクライナに注ぎ込んでいるのです。トランプ人気が高まる理由も、このような状況を反映しています。
それがタッカー・カールソンのモスクワ印象記になって現れたのでしょう。ちなみに、この印象記は、カールソン氏がその後、ドバイで開催された世界政府サミットに酸化した際に、そこで受けたインタビューで語ったものでした。
いまアメリカの言いなりになって、ロシアへの経済制裁とウクライナへの武器援助に酸化しているEU諸国も、同じ状況に陥っています。ロシアに経済制裁しているつもりが、その「ブーメラン効果」で逆に自分たちが苦境に陥っています。

RonPaul2.jpg
元下院議員、Ron Paul Institute「平和と繁栄のためのロン・ポール研究所」の主宰者
https://ronpaulinstitute.org/

12
ところで、このインタビューで世界は変わるのでしょうか。
プーチン大統領に言わせれば、「アメリカによる世界のメディアの支配力は巨大なので、このインタビューで世論が変わることはあまり期待できない」のです。
が、それでも次の(16)が示すとおり、欧米の支配勢力や大手メデイアが真っ青になったことは間違いないのですから、今後の推移をじっくり見つめていきたいと思います。

(16)Tucker Slayed the Mainstream Media Dragon(タッカーは大手メデイアという龍を倒した)

Tucker Slayed the Mainstream Media Dragon


February 13, 2024 、Ron PAUL

というのは、かつて大統領戦にも出馬し、「平和と繁栄のためのロン・ポール研究所」を運営していることで有名な、元共和党下院議員ロン・ポール氏が、上記の記事で次のような主張をしていたからです。

この記事を書いている時点で、ツイッターの動画だけでも2億回近く再生されており、歴史上最も視聴されたニュースイベントとなりそうだ。
主要メディアは、この間ずっと「ロシアとウクライナの軍事衝突は2022年に始まった」と報道してきたが、実際には8年前に米国が支援したウクライナでのクーデターによって始まった。
物語の裏側を知らなかった何百万人もの視聴者が、タッカーによるインタビューで、このことを初めて知らされた。
アメリカのメディアがこのことを報じないのは、国民に、歴代政権による介入主義的な外交政策に疑問を抱かせたくないからだ。
「カラー革命」であれ、経済制裁であれ、爆弾攻撃であれ、アメリカ政府が他国の問題に干渉することは、外交政策の受け手である国々に、現実的で致命的な結果をもたらすことを、アメリカ人には知られたくないのだ。

この記事をロン・ポール氏は次のように結んでいました。

結局のところ、タッカー・カールソンとウラジミール・プーチンのインタビューが大成功を収めたことは、アメリカ国民が主流メディアの宣伝マンや嘘つきにうんざりしていることがはっきり示されたということなのだ。
彼らは政府のシナリオではなく、真実を求めている。それが、このインタビューに関する本当に良いニュースだ。

先述のように、このインタビューはプーチン大統領にとって不満の残るものであったでしょうが、それにしても「ツイッターの動画だけでも2億回近く再生されており、歴史上最も視聴されたニュースイベントとなる」ことだけは間違いないからです。
プーチン大統領もインタビューを終えての会見で、「アメリカによる大手メディアの支配力は巨大だから情報戦で勝つことは至難の業だ」「だからカールソン氏が自分の身に降りかかる危険をものともせず、私とのインタビューに挑んでくれたことに感謝している」と述べたのも当然でした。
今後も大手メディアやバイデン政権は、タッカー・カールソンをこっぴどく痛めつけるでしょうが、視聴者はインタビューの内容を自分の頭で判断するでしょうから。

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寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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