泉房穂・前明石市長の岡山講演で「総理待望論」が飛び出す(データマックス2024.3.25)
政治写真:泉房穂・前明石市長
「救民内閣」実現へむけて、湧き上がる総理待望論
次期総選挙での政権交代(「救民内閣」構想)を打ち出した泉房穂・前明石市長(以下、泉氏)が3月20日に岡山市内で講演、主催者から総理待望論が飛び出した。3期12年間の明石市政を振り返る岡山講演を企画したのは「静かに、落ち着いて、そして激しく議論する」がモットーの「武蔵野政治塾」。そして泉氏の基調講演と質疑応答を終えた後、講演会の最後に同塾の橘民義・事務局長が挨拶。「27回を数えた講演会でこんなに盛況だったのは初めて」と切り出し、次のような熱いエールを送ったのだ。
「講演は絶対に面白いし、こういう話を日本中に伝えていただきたい。泉さんが応援したら結構地方選挙も勝つので、日本中の選挙も応援していただきたい。だけど、泉さんご自身がやはり──。今日も『明石市長としてできることには限界がある』と仰いました。そして、もう1つは『総理になれば、(政治は)やっぱり変わる。政治は総理が変えるのだ』とハッキリと仰った。私はぜひ、泉さんには総理大臣になっていただきたい。(参加者から大きな拍手)おべんちゃらでも何でもない。今日、(今日の講演を)聞いて『日本の次の総理は泉房穂だ』と確信しました。もう是非なって欲しい。そのためにどうするのか。もちろん衆議院議員にならないと総理大臣になれない。そのためにどうするのか。これからは、私が言うべきことではない。泉さんが何とかしてくださると私は思っています。泉・新党でもつくってもらいますかね。ちょっと、それは時間がかかる。立憲民主党の党首になってくれたら、ならないとは思いますが、なってくれたら立憲民主党の人気は2倍になります」「今日は楽しくて楽しくてしょうがない話で、もうこれから泉房穂さんに大きな期待をかけていくので、皆さんも一緒に応援しようではありませんか」
こう締めくくると、会場からは再び大きな拍手が沸き起こった。隣で聞いていた泉氏がマイクを譲り受けて、「ありがとうございました。共に頑張りましょう」と締めたが、次期衆院選に出馬するのか否かに触れることはなかった。
最低でも5回の勝利が必要 国政選挙で描くシナリオ
そこで講演後に泉氏を地元記者と直撃、総理待望論の受け止めについて聞いてみた。すると、囲み会見でも講演と同じようなマシンガントークがすぐに始まった。
「誰がどうこうではなくて、今の時代の空気が『やっぱり今の政治ではダメだな』という気運になってくれば、一気にそこは跳ねるから。跳ねるのはそこだけではなくて、他の地域も同様になるから、一瞬で状況は変わると思う。今の政治はここまでひどいのだから。私のキーワードは『“あきらめ”を“希望”に』。あきらめでは何も変わらないから、あきらめずに目覚めて、投票行動を起こす。そのときに、自分の方に近い側、国民の味方の側に入れる投票行動に雪崩を打てば、状況は変わると思いますけどね」
話が一段落したところで、「総理大臣待望論が今日出ていたが」と聞いたが、以下のような否定的な回答しか返って来なかった。
「私自身はこのキャラクター、(総理大臣に)向いていないし、私は映画の総監督や」「国民を救うためには、方針転換をして、そのためには総理が変わる必要がある。総理が変われば(国民)負担増政治は止められるが、国民を救う政治にするには、予算案と法律案を通さないといけない。そうすると(衆院選)1回では足りない。小選挙区で多数を占めて総理を取って(国民)負担増政治は止められるが、(国民を)救う政治に変えるには、予算案を通さないといけない。予算案を通そうと思ったら、いったん総理大臣を選んだ人も、場合によっては予算案のシフト(方針変更)に反対するから再び解散総選挙を断行して、(反対国会議員の)差し替えも含めて、ちゃんと国民負担減の政治に方針転換に賛同できる国会議員に変える。そうすると、予算案は通る。そして(国民の負担減のための)法律案を通すには参議院の過半数もいる。参議院の多数を取るには2025年と2028年の参院選で勝たないといけない。それまでに、もう1回衆院選があるから、衆院選(総選挙)の3回と参院選の2回、合計5回くらいは(国政)選挙に勝たないといけない。5回の選挙勝利のシナリオぐらいは書かないといけない」
シナリオライターとして倒閣を演出?
泉氏の持論は「政治はあっという間に変わる」。つまり次期総選挙での政権交代は可能で、総理大臣を変えることはできるというわけだが、同時に、出発点にすぎないとも強調している。国民負担減の政治を実現するには、合計5回ほど国政選挙で連戦連勝する必要があるとも訴えているのだ。そして、その長期戦のシナリオを描くのに専念したいという考えのようなのだ。そして、泉氏はこう続けた。
「このキャラクターが(総理になっても)マスコミのネガテイブキャンペーンの餌食になる。私はどこを切り取っても失言なのだから、金太郎飴のように。どこを取っても失言なのだから。こんなキャラは(総理大臣に)向いていない」
しかし、明石市長時代もマスコミのネガティブキャンペーンの餌食になったが、市民が応援して3期目の市長選では圧勝した。そこで「でも(ネガキャンにあった明石市長時代も)市民が応援してくれたわけだから」と指摘。総理になってネガキャンの嵐が吹き荒れても国民の支持があれば乗り切れるのではないかと示唆したが、それでも泉氏は慎重姿勢を崩さなかった。
「大統領選ならさておき、総理大臣は衆議院の多数で選ぶから、市長や知事とは違う。市長や知事は権限があるけど、総理はそうではない。おまけに国は縦割りの行政だから、これまでの政治を変えるのはそんなに簡単ではない。細川政権も民主党政権だってどこまでできたのかと私は思っている。国民の期待を受けながら失望に変えた。国民の期待を受けたのなら、国民を救うところまで辿り着かないとダメ。
自分としては、辿り着くまでのシナリオを描いて、(国政選挙の)キャステイングも5回しないといけない。289小選挙区の映画館で上映をして、どの映画館でも人気を博すようにするのはけっこう大変なんや。1つの選挙区、映画館に専念する状況ではないし。ただ最近、いろいろな人から声がかかって、少し動きが始まっているからあきらめを希望に変える。一種、動きが始まったところかなと思っています」
衆院選出馬可能性は残す
それでも私は、泉氏ほどパワフルであるならば、一人二役(監督兼選手=プレイングマネージャー)が可能ではないかと思い、「シナリオライター(監督)兼選手、プレーヤーはやらないのか。その可能性は」「今日も総理待望論が出ていた」と再質問をしたが、それでも泉氏の返答に変わりはなかった。
「そんな器用ではない。口も悪いし、態度もデカいし。すいません。言っていただくのはあれですけれども」
ここで、やや角度を変えて聞いてみた。橘氏が挨拶で引用した講演での発言「総理大臣になれば、市長よりも簡単に(政治を)変えられる」をぶつけてみた。すると、泉氏はこう答えた。
「それはそう。総理のほうが市長より楽やわ。総理だったら総合的にできる。(国民の)給料が変わらないのに、税金は上がる、保険料は上がる、負担が上がる、物価が上がる、どうしますか。市長ができるのは負担の軽減と、国からきた交付金の活用の2つだけ。総理は全部できます。給料を上げる政策、そして物価を下げる政策をできるし、税金も保険料も下げられる、負担も下げられる。総合的にできる。しかも財源を(確保するのに)国債発行の手段もあるのだから、総理のほうが本当は思い切った大胆な政策ができる。自治体の組長はやりくりしかできないが、国の総理はやりくりだけではない方法があるからできるはずだ」
やや泉氏が前向きになったと感じたので再度、「それを聞いて、まさに泉さんが総理大臣になろうとしているのかなと思ったのだが」と聞いてみたが、最後まで泉氏の慎重姿勢に変わりはなかった。
「私は(総理に)向いてない。このキャラクターで、こんな関西弁の早口の総理なんか向きませんよ。国際的な恥やよな。関西弁が恥だというわけではないけれども」
否定はしたものの、泉氏は笑みを浮かべながら答えていた。総理待望論が盛り上がってくれば、衆院選出馬の可能性はゼロではないとの感触を得たやりとりでもあった。「救民内閣」構想実現に向けてどう動いていくのか、今後も泉氏から目が離せない。
【ジャーナリスト/横田 一】
本記事は「泉房穂・前明石市長の岡山講演で「総理待望論」が飛び出す(2024.3.25)」の転載になります。
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1957年山口県生まれ。選挙取材に定評をもつ。著書に『亡国の首相安倍晋三』(七つ森書館)他。最新刊『岸田政権の正体』(緑風出版)。