民間人・企業を狙う「国家管理」 「経済安保」新法案の危険な中身 取材・文◉足立昌勝(紙の爆弾2024年5月号掲載)
社会・経済政治#セキュリティ・クリアランス #高市早苗 #特定秘密保護法 #武器輸出 #重要経済安保情報保護活用法
3月19日の衆議院本会議で、所管の高市早苗経済安保担当相が、経済安保法の第2弾にあたる「重要経済安保情報保護活用法案」の趣旨説明を行なった。
今後は2022年に成立した経済安保法と同様に、内閣委員会に付託され、審議が続くことになる。
この法案の正式名称は、「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案」といい、経済安保法が成立した時から第2弾として予定されていた。
「経済活動の担い手が民間事業者であることに留意しつつ、官民の情報共有を可能にする仕組みが必要」と、法案の観点が説明されているが、その内容は、重要経済安保情報を“秘密”と指定し、漏洩や不正取得を罰することで、情報漏洩のリスクに万全を期するというもの。
いわば経済情報秘密保護法である(本稿ではこの名称を用いる)。
日本には2013年からすでに特定秘密保護法が存在し、防衛・外交・特定有害活動の防止・テロリズムの防止の4項目が“秘密”と指定されてきた。
その指定件数は年々増加し、指定が始まった14年の382件から1年ごとに約20~70件が追加され、23年は751件。10年間でほぼ倍増している。
このように国家秘密は増加傾向にあり、国民の監視からどんどんと離れている。
この現状において、さらに経済情報秘密保護法を成立させることにより、経済面での秘密指定が行なわれていけば、世界経済における自由競争も阻害することになる。
政府は安全保障の確保のため必要だと言う。
しかし、経済の国家管理という意味で、今から50年くらい前に頻繁に言われていた「国家独占資本主義」の再来といえるだろう。
曖昧すぎる対象
この法案は、特定秘密保護法と一体をなし、「特定秘密保護法の経済安保版」といわれている。
「法律案の概要」によれば、まず政府保有の経済安全保障上重要な情報として特定秘密があり、それに加えて重要経済安保情報が挙げられている。
その具体例として、「サイバー脅威・対策等に関する情報」が採り上げられている。
形の上では、特定秘密保護法と一致しているように見られるが、今回の法案の最大の特徴は、後に述べる「重要経済基盤毀損活動」の適性評価につき、その調査を内閣総理大臣の任務としていることである。
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「ブッ飛ばせ!共謀罪」百人委員会代表。救援連絡センター代表。法学者。関東学院大学名誉教授。専攻は近代刑法成立史。