【特集】砂川闘争の過去と現在

砂川から~父宮岡政雄の砂川闘争

福島京子

・砂川平和ひろば

2010年5月私は砂川闘争55周年の年に、父が拡張中止とともに、建てた基地直前の建物を『砂川平和ひろば』として開設し、主宰者となりました。母の介護が始まり、私自身が60歳を迎える年に私のライフワークは、戦後の日米関係や憲法のあり方を今なお問い続ける砂川闘争を伝えていくことだと思いました。

様々な研究者が砂川闘争について発表していますが、地元からの声も大切だと感じたからです。

これ以降、宮岡政雄の次女の前に、砂川平和ひろば主宰を名乗り福島京子としての活動が始まりました。砂川闘争50周年の時に父の「砂川闘争の記録」を再刊した時、出版記念会場に飾った反対同盟の人たちが写っている、当時の写真をA4に引き延ばしたものを壁面に飾り、毎月フィールドワークや、映画上映などのイベントを企画しました。しかし母の介護もあることから、いつも告知は早くて1週間前に手書きのポスターをシャッターに張っただけでしたので、毎回参加者は殆どいない状況でした。

平和ひろばを訪れる人も少なく、学校帰りの子どもが立ち寄るくらいでした。それでも水曜日と土曜日には、麦茶をたくさん準備して、平和ひろばにいました。午後2時過ぎ頃に母を連れてきてもらい、一緒に過ごしました。母は、飾られた写真を見ながら、これは誰などと写真をみていました。同じ年頃の反対同盟のご婦人が散歩のついでに立ち寄り一緒にお茶を飲みながら失われつつある記憶をたどりおしゃべりをしました。

しかし2年もすると、目の前の自衛隊基地を見ながら「広い場所だね、何が出来るのかしら」と私に話すようになりました。かつてそこは米軍基地でその拡張阻止のために自ら闘ったことは、忘れ去られている現実に、胸が詰まる思いでした。一人で始めた砂川平和ひろばにも、少ないながらも訪問者があり、再刊した本を見た人が、問い合わせてくることや、かつて父と交流があった方からの連絡が入り、新たな交流が始まりました。

そして、砂川平和ひろば開設から4年目に母の介護は終わりを告げ、私の平和ひろばでの活動時間が多くなりました。その頃、レイクランド大学日本校の学生さんを通しアダム・トンプキンス先生との交流も生まれました。

5年目、砂川闘争60周年には、平和ひろばを訪れた方や、父と交流のあった方からさらに繋がり、その方々とともに、砂川闘争60周年記念「砂川の大地から届け平和の声」を開催し、映画『流血の記録 砂川』の上映会と野外集会そして被爆アオギリ二世の植樹を行ないました。

そこでは、レイクランド大学の学生さんたちが、準備や片付けに大活躍し、歌を歌って集会にも参加しました。

集会では、その年の6月に訪れた沖縄で撮影してきた、キャンプシュワブや辺野古、高江のビデオ上映もしました。また、沖縄でお世話になった桜井国俊先生のメッセージや、横田からのメッセージもいただき、砂川との新たな交流が始まりました。砂川闘争でお世話になった弁護士の新井章先生のメッセージに加え、当日は、砂川闘争でお世話になった弁護士の90歳を超えられた相磯まつ江先生が、現地砂川にご参加下さいました。

この60周年の集会開催以降、毎年秋には集会・講演会、春にはフィールドワーク、夏には研修会が開催されています。一人で始めた砂川平和ひろばも、今では社会教育団体となり会員で運営され、賛助会員によって支えられる会となりました。「砂川平和しみんゼミ」、「ひろば食堂ふらっと」の子ども食堂や「無料塾ふらっと教室」による学習支援等の活動もボランティアさんのご協力をいただき実施しています。

砂川平和ひろばには、多種多様な人々が様々な角度から砂川闘争を考え、また砂川闘争から今をそしてこれからを考えています。次世代への繋がりが生まれ、多方面に広がっていくことを嬉しく思っています。これからも砂川平和ひろばから世界各地との繋がりを広げ、父が最後に掲げたテーマである「ひとりひとりの人間が尊重される世界」を築いていくことを地球上に生きる人々と共に考えていきたいと思っています。

注1:宮岡政雄(2005)「砂川闘争の記録」、御茶の水書房刊、P49~P50。

(参考資料)
「私の履歴書」宮岡政雄未発表原稿。

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福島京子 福島京子

砂川平和ひろば代表

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