第95回 世界を裏から見てみよう:『自由の民』とプーチン専制の闘い
漫画・パロディ・絵画・写真国際・フェイクニュースに気を付けろ
ウクライナに侵攻したロシア軍だが、いまだ首都・キエフ市内への侵入は果たせていない。ウクライナの抵抗のためと西側メディアは報じているが、果たして本当だろうか。
テレビ塔が攻撃された映像が報じられたが、確かに閃光らしきものが映っていたものの、塔そのものは崩壊しなかった。元ウクライナ大使の馬渕睦夫氏は、この映像はフェイクの疑いがあると指摘している(3月24日付のユーチューブ)。
フェイクといえば、2003年、イラクが大量破壊兵器を隠し持っていると決めつけて侵攻に踏み切ったのはアメリカだった。調査の結果、大量破壊兵器は見つからず、ブッシュ政権のまっ赤な嘘が発覚する。
1990年の湾岸戦争でも、イラク軍兵士がクウェートの病院で新生児を死に至らしめていると涙ながらに述べた「ナイラ」を名乗る少女の国連での証言が、実は全くの作り話だったことは有名な話だ。しかも、この少女は当時クウェート駐米大使の娘だった。
当時10歳のナイラは現在40歳を過ぎた。今、何を思っているのだろうか。いや、彼女を責めるのは酷というものだろう。ブッシュ、お前だぜ。国際金融資本や武器商人の筋書きどおりに動いただけ、と釈明しても、歴史的犯罪を償うことはできない。
話をウクライナに戻そう。3月14日、ロシアの国営テレビ「第1チャンネル」のニュース番組の放送中に「NO WAR」などと大書した反戦ボードを持って、スタジオに侵入した女性編集者マリーナ・オフシャンニコワさんが当局に拘束され、裁判で罰金刑が科された。彼女はSNSにプーチン大統領を批判する動画も投稿しており、罰金はこの投稿に対するものとはいえ、その額3万ルーブルは侵攻前のレートで約4万8000円。意外に少額では?と思ったのは私だけではないはず。
オフシャンニコワさんは動画で、「ウクライナで起きていることは犯罪。侵略の責任はプーチン大統領にある。私の父はウクライナ人、毋はロシア人だが、一度も敵対したことはない」「私は何年も第1チャンネルでクレムリンのプロパガンダを広め、画面で嘘を伝えることを許してきた自分を恥じている」などと訴えていた。フランスのマクロン大統領は、彼女を亡命などで保護する考えだというが、オフシャンニコワさんはドイツの「シュピーゲル」誌インタビューで、自らを「愛国者」と話し、亡命はしない意向を示している。
・プーチン大統領の演説
世界から非難を浴び続けるプーチン大統領は、ウクライナ南部のクリミア併合を記念したモスクワ市内のイベント(3月18日)で、ウクライナへの軍事侵攻の正当性を改めて主張した。会場内と周辺に20万人以上が集まった。大統領は「ロシアの力によってクリミアは成長を遂げた」と強調し、「市民を苦難の大量殺戮から救うことが、ウクライナでの軍事作戦の目的だ」と話した。
この模様はロシアの国営テレビなどで中継されていたが、演説途中で突然、映像が切り替わり、男性歌手のコンサートの映像が流れるハプニングが生じた。大統領府報道官は「サーバーの技術的な問題だ」と説明したが、ああそうですか、とにわかに納得できるだろうか。西側のディープステートの妨害が水面下で遂行されていた疑いは否定できないのではないか。
そんなプーチン大統領は3月11日、中東シリアなどからの志願兵を募り戦場に送り込む考えを示した。彼は、ウクライナを支援する国々が国際法を無視して公然と志願兵を戦場に送り込んでいると非難しているから、それへの対抗手段ということか。
ウクライナ政府によると、同国への志願希望者は2万人を超えているという。ゼレンスキー大統領は「これは単なるウクライナ侵攻でなく、欧州に対する戦争の始まりだ」として、外国人の参加を呼びかけていた。
一方、ロシア側の志願兵は、基本的な契約期間が6カ月で、延長もあるという。渡航費用や医療・給与はロシア側が負担。月給は諸説あるが、1100ドル以上と伝えられている。この金額は、シリアの兵士の月給の10倍前後に相当するとされる。
さらに、ロシア側が勝利すれば、最大5万ユーロ(約670万円)の報奨金まで出るといい、シリアの首都・ダマスカス周辺では、登録施設となった与党バース党の事務所などに、大勢の若者が詰め掛けているそうだ。
シリアのアサド政権は、ロシアが2015年に内戦に介入したことで命脈を保った。ロシアに志願兵の規模で恭順の意を示そうというわけだ。そこで、志願兵になれば反体制的な過去の「犯罪歴」を帳消しにしたり、家族の身の安全を保証するなどと、数集めに躍起となっているという。
さらに、国営メディアなどは、ロシアによる「特別軍事作戦」の戦果を華々しく伝え、その目的についても、NATOの「東方不拡大の約束」を無視した西側の覇権主義的な動きに対抗しているロシアの自衛的な行動との報道姿勢を構えている。
志願兵になった人々は、ロシア軍の空軍基地で簡単な訓練を受け、前戦に派遣される。契約の第一条件が、その期間は帰国しないこと、という。募集期間が最低半年ということは、ロシア側がある程度、戦争の長期化を見込んでいる証という分析もある。
シリアの反体制活動や武装闘争に従事した者は、当局から旅券を取得したり、更新するのが困難だ。ウクライナに志願兵として渡り、早々に投降して亡命を試みる人も少なくないと予想される。
日本では数少ないパロディスト(風刺アーティスト)の一人。小泉政権の自民党(2005年参議院選)ポスターを茶化したことに対して安倍晋三幹事長(当時)から内容証明付きの「通告書」が送付され、恫喝を受けた。以後、安倍政権の言論弾圧は目に余るものがあることは周知の通り。風刺による権力批判の手を緩めずパロディの毒饅頭を作り続ける意志は固い。