ノーマスク認めた元校長が真意を語る、宇都宮講演で
社会・経済マスクは免疫力を下げるなどとして、2㍍以内で15分以上の対面でなければ着用は不要との方針を打ち出していた栃木県日光市立の中学校校長が2022年1月8日、宇都宮市内で開かれた講演会で当時を振り返り、その真意を明かした。校長は21年3月末に定年退職している。
この校長は原口真一さん(61)。当時、校門に「ご来校の皆様へ」と題し、冒頭の3条件全てが当てはまる場合でなければマスクは不要との張り紙を掲げた。社会標準から外れることをあざ笑うネットニュースやSNSがこのことを取り上げ、批判にさらされた。
講演会は特定非営利活動法人Zen主催、栃木命と人権を守る市民の会が共催したもので、他に井上正康・大阪市立大学名誉教授と谷本誠一・呉市議会議員が講師を務めた。原口さんは「感染症対策で失われるものにも目を向けて」の演題で、スライドを使いながら当時の思いを吐露した。
スライドに、子供たちの躍動的な姿が次々と映し出される。合唱や太鼓演奏、習字の作品群、調理実習、運動会の応援練習……。いずれも20~21年のコロナ騒動下での風景だ。
原口さんは「アクティブラーニング」の方針に沿ってプログラムを考えたまでだという。「アクティブラーニング」は、教員による一方的な講義形式の教育とは異なり、修学者の能動的な参加を取り入れた学習法で、12年の中央教育審議会に答申されている。
「主体的・対話的であるには、自己肯定感の育成と他者の尊重が基盤になる。感動がなければ学ぶ意欲は湧かないから、私は右脳を重視している。正しいものは美しいが、コロナ下では、美しくないことが随所に現れた」と、取り組みの動機を語る。
日光市の実態はというと、8万人中、死者0人、重傷者0人。PCR検査では増幅回数(Ct値)が決定的に大きな要因であり、日本で採用されている40~45では、全ての物質を1兆倍まで増幅することになる。「糸くずなら、月まで届く」と形容する。生徒には、もし濃厚接触者と見なされ検査で陽性になったら、Ct値幾つでなったか聞くように指導した。35以上は無意味だから。
そもそも、「PCR検査陽性イコール、ウイルスの感染性の証明ではない」と20年12月2日、佐原康之・厚労省医務技術総括審議官が国会答弁している。同年6月18日には、厚労省が全国の都道府県に、PCR陽性者が死亡した場合、死因にかかわらず全数をコロナによる死者として計上するよう通知している。
厚労省がマスク着用に感染予防効果があるとする根拠にした機構研究論文は機械的な実験による論文であり、エビデンスレベルは7。一方、最高位のシステマティック論文には、「屋外でのマスク着用は感染予防にほぼ無意味」「感染予防に付与するマスク着用のエビデンスは皆無」などの結論が並ぶ。
原口さんは、とにかく知識を求めた。政府の分科会の報告書を読むと、感染は飛沫と接触によるもで、空気感染はほぼないことが分かった。校長会はコの字型の座席になってる。あるとき、素朴な疑問をぶつけた。
「何でマスク着けてるんですか」。
子供たちに、科学的な感染症対策をしていきたいと思ったからだ。ウイルスがどのように感染していく可能性があるか、想像しながら考えてもらうことに。教室でさまざまな距離を取り、マスクを着けた場合、着けなかった場合など、多様なシミュレーション写真を撮った。それらをホームページで発信した。
国や自治体、医師会、学校も、感染リスクゼロにしようと全てを判断しているように思えた。感染リスクゼロを実現するなら、「学校に来るな」とやればいい。生徒同士のコミュニケーションを図り、教育の質を高めるなら、感染症対策は全廃した方がいい。実生活は100%対0%ではなく、その間の落としどころを探ること。そこが校長の判断と考えた。
原口さんに美しくないと思えた1つは、「自分も感染者だと思って他人に接しなさい」という教え。これは生徒を自己否定と疑心暗鬼に陥れる。「感染しない、させない」との標語も、感染者に対する差別・偏見を助長しかねない。
「感染イコール悪との印象を植え付けることに、ものすごい危機感を抱きました。自己肯定感を高め、他者を尊重するなら、掛けるべき言葉は『感染してもいいんだよ』になるはず」と戒める。
文科省の『新型コロナに関する衛生管理マニュアル』には、「身体的距離が十分とれないときはマスクを着用すべき」と定められている。そこで、原口さんは身体的距離を十分取ることをまず考えた。国立感染研究所は濃厚接触を「1㍍以内かつ15分以上の接触」と定義する。「このような場面は、そんなにない」と冷静に見る。
教育の質を落とさない感染症対策を講じるには、とにかく知識を付けることが必要と考えた。従来から、特別授業でその道の第一人者に実地またはオンラインで講師を引き受けてもらってきたが、コロナ騒動下では個人的に専門家諸氏にアプローチし、何をどう工夫すれば(対策を講じれば)、何がどこまでできるかを念頭に質問し、「落としどころ」を見つけていった。
主体性を重んじた結果、ほとんどの生徒が通学時、ノーマスクになった。学校内では、場面によってそれぞれの判断で着けたり着けなかったり。利害関係者とは対話を欠かさなかった。保護者からの要望に対しては、受容できることと受容できないことの双方について理由を添えて伝えた。「理由を説明しさえすれば、分かってくれた」と振り返る。
教職員に対しては常に、「子供たちの利益を念頭に考えよう」と促した。対外的には、校長自らが全てのコロナ対策の窓口になった。責任を負う覚悟の表明だった。ある教諭は「今まで何人もの校長が『生徒のため』と言うのを聞いてきたが、この言葉がこれほどふに落ちた校長はいなかった」と打ち明けたという。
原口さんがもし今、現職だったら何をしているか? 「きちんと情報提供すること」を真っ先に挙げた。「校長にはやれることがたくさんある。ワクチンの問題を発信するだろう。子供たちの健全な成長を願って何ができるかが全て」と笑みを浮かべた。
※この記事は、「高橋清隆の文書館」(2020年10月05日)からの転載です。
原文は、コチラ
→http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/2046664.html
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反ジャーナリスト。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。元ローカル新聞記者。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&K プレス)、『山本太郎がほえる~野良犬の闘いが始まった』(Amazon O.D.)など。翻訳にデーヴィッド・アイク『答え』第1巻[コロナ詐欺編](ヒカルランド)。2022年3月、メディア廃棄運動を開始。 ブログ『高橋清隆の文書館』http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/