【連載】紙の爆弾

送電線と人脈でつながる「原発とリニア」リニア新幹線の目的は原発の復活だ!広瀬隆(紙の爆弾2024年7月号掲載)

広瀬隆

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3・11直後の火事場泥棒

 リニアをめぐる不条理に枚挙の暇はありません。
まず、そもそも計画の進め方が不条理でした。リニア中央新幹線計画の公式の最終答申が出されたのは2011年4月21日です。
この日の1カ月ほど前、3月11日に東日本大震災が起こり、東京電力福島第一原発の原子炉が次々と爆発しました。日本破局の大惨事の最中です。
そのどさくさに紛れて計画を審議する国土交通省交通政策審議会の中央新幹線小委員会(委員長=家田均東京大学教授)は最終答申案をまとめ、「南アルプスルート」「超電導リニア方式」でのリニア中央新幹線の建設を明記・公表したのです。

もちろん、リニアのプロジェクトは以前からあって、宮崎県では実験線を敷設しています。
その際、JR東海は何と言ってこれを進めてきたか?「東海道新幹線の東京―大阪間の輸送能力が限界に近い。バイパス(迂回路)としてリニア中央新幹線を敷設する必要がある」と表明したのです。

自動車ならばバイパス道路は必要ですが、鉄道のバイパスなど、全世界でも例がありません。
JR東海はそんな非常識なことを公言したのです。
しかもJR東海は御用学者の東大教授たちを連れてきて答申案をまとめながら、国交省鉄道局によるパブリックコメント、いわゆる世論の意見公募を求めました。
その結果が2011年5月12日に報告されたのですが、当時は東日本大震災から2カ月後で、「JR東海が言うように中央新幹線を早期に整備すべきだ」を支持した人はわずか106人。対して「リニアに反対、または計画を中止、
または再検討とすべき」という人は648人と、パブコメの97%がリニア建設に反対しました。
ところが5月26日には整備計画が決定され、営業および建設主体にJR東海が指名されました。
続いて6月7日にはJR東海が中間駅の候補地案を公表して、勝手に話を進めていきます。震災と原発事故の大惨事で日本中があたふたしているその間にJR東海はリニア建設を決定した。まさに火事場泥棒です。

JR東海と行政が住民に初めて説明会を開いたのは計画発表から2年が経った2013年5月。住民にとっては寝耳に水でした。
そもそも国交省が環境アセスメント(環境影響評価)なしに計画を決めること自体が、国の法律に違反しています。なぜこんな無理が通るかというと、JR東海が裏で地元の利権者を懐柔したからです。
なにしろ巨大なトンネル工事ですから、事業者や建設業者は儲かります。
でも、本当に地元に多大な利益があるのか? 中間駅の建設費5900億円は地元負担が前提です。
しかも、リニアの多くの乗客は東京と名古屋の大都市間を迅速に往復するのが多数派ですから、中間駅で降りる客などほとんどいない。つまり中間駅にはほとんど利益をもたらしません。

リニア新幹線は時速500キロという高速走行が売りです。だから、可能な限りまっすぐトンネルを掘るという工事です。しかし、これは自然界から見れば無謀です。
しかも、路線の8割がトンネルで外の景色はほとんど見えない。誰がそんな不愉快な鉄道に乗りたいですか? 電磁波まで浴びせられる列車にまともな人は乗りません。
このままではまずいということで、リニア建設に反対する人たちは2016年5月に「ストップ・リニア!訴訟団」を結成しました。そして、「国交省の認可は行政庁の裁量権の範囲を超えている。
住民無視の国法違反だ」として行政訴訟を起こしています。

ちなみに2010年12月、中国の新幹線走行実験では、日本の川崎重工業製の従来の新幹線車両をベースにした「和諧号」が、486キロという驚異的な時速を記録しました。
リニアの最高時速は500キロの予定ですが、日本企業がつくった「和諧号」が時速486キロを出した時点で、高速鉄道がリニアでなければならない理由・動機はとうの昔に吹き飛びました。

岐阜県では東濃ウラン鉱山の悪夢再び

 岐阜県では、寝ていた子が叩き起こされるような事件が起こっています。
同県内の停車予定駅である中津川には東濃(とうのう)ウラン鉱山(閉山措置中)があります。
2003年4月、この近くの可児市の東海環状自動車道トンネル掘削土の処分場から流れ出た酸性汚染水によって、木曽川水系の一級河川である久々利川の水系で、マスやアマゴといった魚が約1000匹も死ぬという事件が起こりました。
この一帯は瑞浪市と御嵩町と土岐市にまたがって東濃ウラン鉱床が分布しています。東濃のウランは岡山県の人形峠と並んで原子力産業にとって最も重要な鉱床です。

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