与那覇けい子さん詩集：ゴミ集積場
琉球・沖縄通信絡み合い
渦巻き
固まりあって
積み上げられた
得たいのしれないものたち
日々の生活から吐き出され
人の息と汗にまみれ
人の手におえぬほど
ぶくぶくに肥大して
次々と投げ込まれていく
不気味に開けた口の中へ
深い闇の底へ
四角い形、丸い形
赤かった、緑だった
ピカピカ光っていた
すべすべしていた
甘かった、苦かった
自分が何ものであったのか
遠い記憶を喪失して
暗い底に 落ちていく
朽ち果てるために
存在そのものを失うために
人が 生きるために
吐き出されたものもの
人が生き続けていくために
吐き出され続けるものもの
おそるおそる
のぞきこんだ
深い底に
人間が いた
眼をぎらぎらさせて
いた
ひとりひとりが
囁いていた
囁きは
絡み合って
渦巻いて
叫んだ
深い底から叫んだ
「今日を 生きたぞ！！」
「明日も 生きるぞ！！」
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与那覇恵子
独立言論フォーラム・理事。沖縄県那覇市生まれ。２０１９年に名桜大学（語学教育専攻）を退官、専門は英語科教育。現在は非常勤講師の傍ら通訳・翻訳を副業とする。著書は「沖縄の怒り」（評論集）井上摩耶詩集「Small World」（英訳本）など。「沖縄から見えるもの」（詩集）で第３３回「福田正夫賞」受賞。日本ペンクラブ会員。文芸誌「南瞑」会員。東アジア共同体琉球・沖縄研究会共同代表。
